菩薩

ファースト・カウの菩薩のレビュー・感想・評価

ファースト・カウ(2019年製作の映画)
3.6
ファーストショットが(ちと短いが)あまりにもジェームズ・ベニング過ぎて珍しく「進研ゼミでやったやつだ!」みたいな気分になったが全く初めましての人に献辞が捧げられててそっちへの目配せっぽくてすいませんとなった(寝てるおっさんをゆっくり映す左右のパンもマイケル・スノウっぽいって言いたくなったが…)。なもんで風景と時間についての映画なのだろうと思いながら観ていったがたぶん資本主義の悲しい性についての映画で、収奪や搾取の先にしか存在し得ない資本主義社会の中では被搾取者は同時に搾取者へと成り下がりその枠組みの中で破滅していく現実についての映画っぽかった。最も搾取を受けている存在が声無き者と言うのも象徴的だし、欲をかいた者がどの様な末路に至ったかを「掘り起こす」意味でも面白かった、本来そこは友情に視点を当てるべきなのだろうが。片方が薪を割るなら片方が掃除を始める、アウトサイダー同士の社会主義的並列の関係、全体的に『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』のB面みたいだなと思った。
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