菩薩

呼吸 友情と破壊の菩薩のレビュー・感想・評価

呼吸 友情と破壊(2014年製作の映画)
4.2
主演の足元から始まり背後→横顔とカメラがぐるりと一周し大きめのカフェオレボウルから解放され遂にその顔面が露になった瞬間に謎の勝ちを確信した。そこから先はひたすらビジュアルの勝利が続いていくし、あらあら仲睦まじいナイスなシスターフッドですねぇと安心し切って観ていたのも束の間、2人の関係性はあれよあれよ悪化していき、ガンダムWのヒイロとリリーナのあのやり取りを思わせる様な「殺す」に至り決定的な破綻を迎える。それでも必死に吸う側の酸素濃度が段々と低下していく中で紫煙を吐き続ける側はどんどんと彼女の内部へと侵食し、支配し、破壊していく。これがリアルだと言われれば…えっ…マジ?…とおじさんはその苛烈さに怯えるしかないのだが、一思いに殺すでもなく真綿で首を絞めるかの様にじわりじわりなぶり殺しにしていくのが大変精神衛生上不健康だしこう言うのが1番怖い。最後の最後まで彼女の想いは届かぬのかと落胆しかけたら…これまた思わぬ形で彼女の想いは成就されることとなる。欲は裏を返せば罪となり愛は裏を返せば憎となる。メラニー・ロランってこんなのも撮れるのか…と素直に驚いた。オススメはしない、つか出来ない、ただ悲しいくらい綺麗。
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