菩薩

異人たちの菩薩のレビュー・感想・評価

異人たち(2023年製作の映画)
4.5
あまりの素晴らしさにエンドロール入った瞬間に静かに小さく拍手をかましてしまった。大林版のラストがどうかしているので若干エクソシスト展開を期待してしまったのも事実だが、こんなにも美しい終わり方ってあって?と叫び出したくなった。大林版とは違ってそのままの自分をただ当たり前には受け入れてくれない母親。同性愛者に対する差別や偏見が根強くエイズのスティグマの真っ只中にある世代のままこの世を去った者としては嘘偽りのない反応であると思うし、それは父親の素直過ぎる心境の吐露とて同じ。だからこそあの年代には決して相容れなかった「クィア」と「家族」とが見事な抱擁を迎える様に感動を覚えるし、時代のスティグマを乗り越え今を、そして未来を生きるクィアへの賞賛と励ましの映画としてこの作品は非常に高い位置にある。これに備えて大林版を急いで鑑賞してらっしゃる方も多くいると思うが、であれば観るべきは『WEEKEND』であると思うし、その2作をあまりにも巧みに調合したのが本作になると思う。これはおそらく未来永劫クィアのみならず孤独な人々を照らし寄り添う輝く星となるべき作品だと思う、マジでめったクソ良かった、全人類案件。
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