matsukawaさんの映画レビュー・感想・評価

matsukawa

matsukawa

映画(330)
ドラマ(1)
アニメ(0)

スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム(2021年製作の映画)

-

このレビューはネタバレを含みます

トビーとアンドリューの2人のピーターが「やり直し」できて、トムホが素晴らしい決断をして孤高のヒーロー(手作りタイツ)に戻るという完璧な展開。
ライミ版とウェブ版が大好きでワッツ版にイマイチ乗れていない
>>続きを読む

DUNE/デューン 砂の惑星(2020年製作の映画)

5.0

重さとか距離感を本物よりもリアルに感じさせる映像が本当に凄くて、映像を浴びる楽しさだけで何時間でもイケそう。
(IMAX2D最高)

余韻という余韻をバッサリ切り捨てる編集が小気味良く、上映時間の長さ
>>続きを読む

ブラック・ウィドウ(2021年製作の映画)

5.0

「襲ってくる敵から世界を守る」受け身の話ではなく、「女達を支配し搾取するオヤジを探し出して殺すために出かけて行く」という自発的な話なのがいい。
「全世界の女性を抑圧から解放する」というテーマに相応しい
>>続きを読む

ゴジラvsコング(2021年製作の映画)

3.0

ヘビー級の肉弾戦バトルが最高に盛り上がるお祭りムービー。
ストーリーのポンコツ加減はKOMと同様っていうか更に酷くなってる気がするけど、シリアスぶった雰囲気が全然無く、「真面目にやる気はありません」オ
>>続きを読む

ザ・バニシング-消失-(1988年製作の映画)

4.5

途中まで普通に良質なサスペンスなのだが、犯人のプロフィールが明かされて以降、おじさんの「はじめての誘拐」が始まり、だんだん何を見ているのか分からなくなる。
何度も失敗を重ねながら、少しずつ改善して次第
>>続きを読む

永遠の人(1961年製作の映画)

5.0

キレキレのテンポ、キメキメの構図に大仰に動くカメラと、ケレン味だらけのうるさい映画なのだけど、高峰秀子と仲代達也の二人が画面を支配する力がヘビー級なので、結果的に完璧なバランスになってる。

一瞬も飽
>>続きを読む

正しいバスの見分けかた(2015年製作の映画)

4.0

30分に満たない尺の中で、中条あやみの輪郭が段階的にはっきりしていき、どんどん美しくなっていく様が楽しい。
ソニックユースに関するほんの数十秒の会話だけで、その他3人のキャラクターが同時に浮かび上がる
>>続きを読む

NINIFUNI(2011年製作の映画)

4.5

優れた短編映画は、この世界の成り立ちとか本質みたいな見えにくい物を、ナイフで切った断面のようにくっきりと示してくれる。
ダルデンヌよりもハネケよりもこの短い映画が遥かに切実に胸に刺さるのは、ここに映し
>>続きを読む

ノマドランド(2020年製作の映画)

3.5

ドキュメンタリーの点と点をドラマで繋いでいくような前半は、対象となる人達の面白さもあって結構楽しく観られる。
アメリカ大陸の広大でむき出しの風景は異星感が強くて、宇宙の中の孤独を感じさせるようで、なか
>>続きを読む

ウィッチ(2015年製作の映画)

4.5

このレビューはネタバレを含みます

この映画の中で起きる事件が一つ一つ全て心底怖いのは、人間には理解できない原理で行われているように見えるからで、「誰が何のために」が分からないだけでなく、「本当のところ何が起こっているのか」すら全く掴め>>続きを読む

愛がなんだ(2018年製作の映画)

5.0

「何故だろう私は未だに田中守の恋人ではない」から「何故だろう私は未だに田中守ではない」へ至る物語。
何かが変化したというよりも、気付いて諦めて開き直る、要するに「腹をくくった」ということ。
まさに「愛
>>続きを読む

MOTHER マザー(2020年製作の映画)

1.0

雑な台詞と雑な演出をリアリズムっぽい絵作りで糊塗している感じ。
全てが嘘っぽい中でも、特に長澤まさみの演技が酷い。こういう役で映画を背負えるようなスキルがないのが明らかな人に、映画全体がおんぶに抱っこ
>>続きを読む

バーニング 劇場版(2018年製作の映画)

5.0

ファンタジックな面白さとクールなリアリティが不思議なくらい自然に混ざり合う、唯一無二のイ・チャンドン作品。
今回も人類の宝級の大傑作。
大袈裟でなく全シーンが素晴らしい。

日没時にヘミが舞うシーンの
>>続きを読む

悪人伝(2018年製作の映画)

5.0

10分毎(体感)にストーリーが急角度で方向を変えてしまうようなトリッキーな構成で、普通なら落ち着きのないガチャガチャした映画になってしまいそうなものだが、この映画はどんな急カーブも余裕すら見せながら安>>続きを読む

ドッグマン(2018年製作の映画)

4.0

舞台空間の設定が見事で、店の外に広がる奇妙に広漠とした広場と、店内の手前の接客スペースと、奥にあるマルチェロと娘と犬たちの空間。
これらの空間を大きく使ったカメラワークと動きの表現が、濃厚なリアリズム
>>続きを読む

オクトパスの神秘: 海の賢者は語る(2020年製作の映画)

4.5

人間と動物のパーソナルな関係を軸にしたドキュメンタリーは珍しくないが、対象がタコとなると驚きの連続。

彼女(タコ)に対する興味・情熱が恋愛感情レベルだが、そうなってしまうのも無理はないくらいタコが可
>>続きを読む

私をくいとめて(2020年製作の映画)

5.0

モノローグというのか独り言というのか、能年玲奈がとにかく喋りまくる。
怒りも不安もモヤモヤも、全て言葉となり音として口から出ていく様が何とも風通しが良くて楽しい。
と思っているのも最初のうちだけで、次
>>続きを読む

ビール・ストリートの恋人たち(2018年製作の映画)

4.5

それぞれ掘り下げ甲斐のありそうな多彩な人物が登場するも、印象的な表情や言葉を残して、その多くが1シーンだけでスクリーンから居なくなる。
ティッシュ目線で語られる物語であり、基本的に彼女が認知できた事柄
>>続きを読む

透明人間(2019年製作の映画)

5.0

透明人間という古い道具を使い、肉体的DV&精神的DVという現代的な案件をホラー化した快作。
「周りからは見えない加害」によって、肉体的に傷付けられるだけでなく、味方になるはずの家族・友人から孤立させら
>>続きを読む

天気の子(2019年製作の映画)

4.0

ポップな絵柄で明るく描かれる、現代日本の若者の貧困。

風俗で働くしかないほど追い詰められた未成年の少女と、無給同然でいいように使われる少年。
搾取されている少年が無自覚に少女を搾取する存在になってい
>>続きを読む

ゴーストランドの惨劇(2018年製作の映画)

5.0

苦痛と恐怖と絶望を、見せるのじゃなく観客にリアルに体験させてしまう、本当に本当に恐ろしい映画。
中盤に仕掛けられたストーリー上の大きなツイストも、驚かすための仕掛けではなく、絶望を体感させる為の無情な
>>続きを読む

クロール ー凶暴領域ー(2019年製作の映画)

5.0

とんでもない拾い物。
何もかも本気の傑作です。

「所詮B級パニック映画」なんて事はたぶん作り手の誰一人として思ってなさそう。
思い返すとちょっと感動しちゃうくらい熱い。

ド直帰に面白くなる為に考え
>>続きを読む

魂のゆくえ(2017年製作の映画)

4.5

全編スタンダードサイズの本気。
抑制された画面の中で、本当の意味で次の瞬間何が起こるか分からないサスペンスがずっと続いて目が離せない。

「宗教者としての葛藤」は重要な要素だと思うけど、宗教から(特に
>>続きを読む

ソウルフル・ワールド(2020年製作の映画)

5.0

「夢がなくてもいい」「きらめきは目的じゃない」と言い切ってくれる救いの映画。

夢のために生きる主人公を否定するわけではないが、夢に向かって生きる人間の無意識な傲慢さは(ソフトな表現とはいえ)かなりし
>>続きを読む

レディ・バード(2017年製作の映画)

5.0

無駄のない編集テンポが、推敲に推敲を重ねた文章のようで、とても気持ちいい。
様々な断絶や対立が描かれるが、常にフェアな目線がキープされる。
そんな凛とした映画の中で暴れ回るのが「超絶リアル感」のシアー
>>続きを読む

斬、(2018年製作の映画)

5.0

家のテレビで観ていても映画館の暗闇に座っているような錯覚をしてしまうほど、映像と音が強い。
監督としても役者としても円熟したように見えながら、核の部分が「鉄男」の頃から何も変わっていない。
金属の軋む
>>続きを読む

A GHOST STORY ア・ゴースト・ストーリー(2017年製作の映画)

3.5

いいシーンとダサいシーンの落差が激しすぎる。
全体の7割を占めるダサいシーンが本当にダサくて、別人がシーンを撮り足したのではと疑いたくなるレベル。
ちゃんとしたシーンだけ繋いで30分の短編にしておけば
>>続きを読む

ハーフ・オブ・イット: 面白いのはこれから(2020年製作の映画)

4.5

アメリカ映画の抜けの良さと人懐こさ、東アジア映画の静けさと細やかさと曖昧さが、溶け合って一つになったような魅力がある。
内省的だったり、小さな話だったり、マイノリティの扱いがフラットだったりと、「今の
>>続きを読む

37セカンズ(2019年製作の映画)

5.0

魅力だらけのこの映画の中で、一際特別に輝いているのがやはり主演の佳山明で、この魅力はちょっとすごい。
被写体として魅力的というだけではなく、(演技スキルは高くないはずなのに)周りのプロ俳優と完全に同じ
>>続きを読む

ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書(2017年製作の映画)

4.5

地味な話なのにカミンスキーのカメラが宇宙戦争並みに動きまくる奇妙な映画。

題材にふさわしい厚みも重さもある脚本が、テンポの良さと躍動的な撮影によって社会派らしからぬ軽快さで進んで行く。
「合衆国VS
>>続きを読む

アメリカン・アニマルズ(2018年製作の映画)

5.0

失敗の仕方の「ドラマの無さ」と「つまらなさ」が面白かった。
恐らく「事実」を忠実にトレースした為にそうなっているのだけど、作ったストーリーでは醸せなさそうな、絶妙な空洞感が味わい深い。
そして、そこに
>>続きを読む

君が君で君だ(2018年製作の映画)

3.0

「息もできない」以来のキム・コッピでしたが、やはり唯一無二の、この人にしか出せない空気を色濃く漂わせている。
目を合わせた瞬間。目を逸らした瞬間。この人が目線を変えただけで意識を全て持っていかれるよう
>>続きを読む

ブラインド・マッサージ(2014年製作の映画)

5.0

「スプリング・フィーバー」がそうだったように、登場人物が年齢に関係なく皆んな「青春」真っ只中という感じで、映画全体が生命力に溢れかえっている。
文字通りの暗闇の中を、ぶつかったり怪我したりしながら動き
>>続きを読む

失くした体(2019年製作の映画)

4.0

「何もない」場所で、カセットテープに残る過去を上書きして、運命を変えるためにジャンプする。
ジャンプした後の余韻がいい。
さっきまで自分がいた場所を振り返る。
吐く息が白い。
誰も見ていないところで人
>>続きを読む

運び屋(2018年製作の映画)

4.0

遂に自分のアイドル性を全開にしてきたイーストウッド。
行く先々で自然と皆んなに好かれるアイドルお爺さん。
あれだけ父を憎んでいた娘も割と簡単に許しちゃう。
何せ可愛いので。

主役を引き立てるだけの脇
>>続きを読む

>|