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レディ・バードのmatsukawaのレビュー・感想・評価

レディ・バード(2017年製作の映画)
5.0
無駄のない編集テンポが、推敲に推敲を重ねた文章のようで、とても気持ちいい。
様々な断絶や対立が描かれるが、常にフェアな目線がキープされる。
そんな凛とした映画の中で暴れ回るのが「超絶リアル感」のシアーシャ・ローナンなので、表現の強度が半端ない。

カトリックから迫害される者に対してクリスティンが(半ば無意識に)「愛」を実践する一方、その抑圧的なカトリックが、クリスティンに「愛」とは何かを気付かせる役目を担っていたりする。
母と娘の対立に於いても、娘の心情と同等かそれ以上に母親の心情が手厚く(主に言葉以外で)描写される。
そういう複眼的な描写の数々が、複雑で割り切れなくて、それ故に豊かな「実人生」そのもの。

「フランシス・ハ」のオフビート感も大好きだけど、「レディ・バード」の魅力はちょっと桁違いでした。
「監督グレタ・ガーウィグ」凄いですね。天才なのかも。
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