キレキレのテンポ、キメキメの構図に大仰に動くカメラと、ケレン味だらけのうるさい映画なのだけど、高峰秀子と仲代達也の二人が画面を支配する力がヘビー級なので、結果的に完璧なバランスになってる。
一瞬も飽きさせない面白さ。
戦争は外部としてしか描かれず、二人の生きる世界は、憎しみ合ってきた数十年間、何も変わらずそのまま存在している。
壮大な阿蘇の大自然が存分に映し出されるのに、全てが外界から遮断された箱庭のように見える。
憎しみの太い幹で貫かれた半生記。
深く激しく憎み合う二人のなんと生き生きしていることか。
憎み合う事と愛し合う事は紙一重というお話でもある。
とにかく高峰秀子と仲代達也の説得力が物凄い。