いち麦さんの映画レビュー・感想・評価 - 4ページ目

いち麦

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宇宙人のあいつ(2023年製作の映画)

3.0

気になる中村倫也主演なので鑑賞。うーん…兄弟家族の絆を芯にした物語が緩いし、もうマペット紛いまで登場するし、滑ってる笑い処は一周回って失笑。でも何故か最後まで見させてしまうこの吸引力はナニ? いい意>>続きを読む

ジョン・バティステ:アメリカン・シンフォニー(2023年製作の映画)

5.0

グラミー賞受賞に先立ち、カーネギー・ホールで演奏する交響曲作りでジャンル融合に挑むジョンを追う。その陰に妻スライカの闘病に寄り添うジョンの姿があった。このドキュメンタリーには自分を一人の人間として見>>続きを読む

ナイアド ~その決意は海を越える~(2023年製作の映画)

5.0

実話ベースのドラマ。ハバナ(キューバ)からキーウェスト(フロリダ)までの165km を泳いで渡る。ダイアナ・ナイアドは 28歳のときに失敗した挑戦を60歳になって再チャレンジの決意、61歳で決行。そ>>続きを読む

伯爵(2023年製作の映画)

4.0

250年も生き永らえてきたヴァンパイアがなんとチリの独裁者ピノチェトというユニークな設定。社会主義者・共産主義者を粛清してきた経緯や政権がアメリカの絶大な支持を得ていたこと、同じ新自由主義を掲げた英>>続きを読む

ニモーナ(2023年製作の映画)

5.0

私たちは本当の姿をよく知らずに相手を怪物に仕立て上げているだけなのかも知れない。また、一度、携えた軍事力は維持するために巨悪の幻影さえ必要とする。テーマの芯にストレートな反戦の訴えを感じ取れる物語。>>続きを読む

哀れなるものたち(2023年製作の映画)

5.0

このレビューはネタバレを含みます

これまで男性中心の社会が都合よく敷いてきた道理に縛られないのなら、年頃の若い女性の身体を得た純粋無垢な脳はどのように成長していくのだろうか?それは言うなれば長大な時間を掛けたスケールの大きい大胆な実>>続きを読む

ビヨンド・ユートピア 脱北(2023年製作の映画)

5.0

特別に海外へ赴く機会のない一般市民が北朝鮮から命懸けの亡命を遂げられるか否か、全てはブローカーにかかっていると言っても良い過酷な実情を思い知らされた。コーディネートするキム牧師の献身的な尊さの一方で>>続きを読む

ショコラ(2000年製作の映画)

4.0

まさにチョコレートは媚薬。いや麻薬か。ヴィアンヌが新たに開いた菓子店の名前とそれに合わせた内装が素敵。作り並べた菓子の可愛らしさも魅力的。この映画も見てるうちにチョコレート菓子が堪らなく食べたくなる>>続きを読む

世界のはしっこ、ちいさな教室(2021年製作の映画)

4.0

西アフリカのブルキナ・ファソ、バングラデシュ、シベリアの3箇所を舞台に過酷な環境下で初等教育に奮闘する3人の女性教師の姿。教えている内容(教材)や子供達を取り巻く状況が全く異なり興味を引いた。3例を>>続きを読む

告白、あるいは完璧な弁護(2020年製作の映画)

4.0

スペイン製「インビジブル・ゲスト 悪魔の証明」の韓国版リメイク。原版がコッテリしたドンデン返しミステリー・サスペンスだったがこちらもその味わいをほぼ変えずに翻案されていて良かった。一部、台詞までその>>続きを読む

ネズミ捕りの男(2023年製作の映画)

4.0

W.アンダーソンによるロアルド・ダール短編作品集。得意とするネズミ退治の凄腕がなかなか披露できないラットマンが周囲の冷めた視線を他所に次第に自らを焚き付け究極の技を披露するまで。アニメーションで擬人>>続きを読む

白鳥(2023年製作の映画)

3.0

W.アンダーソンによるロアルド・ダール短編作品集。次第次第にエスカレートしていく子供達のイジメの陰湿さと恐ろしさ。鋼のように強靭な心が時に却って悲劇を生むという残酷な教訓も。映像では少年も登場するが>>続きを読む

(2023年製作の映画)

2.0

W.アンダーソンによるロアルド・ダール短編作品集。猛毒のアマガサヘビに噛まれそうになっている男をB.カンバーバッチが演じ、D.パテルが語り手。先回りして大仰な行動を取る滑稽さを描いているのだろうか?>>続きを読む

ヘンリー・シュガーのワンダフルな物語(2023年製作の映画)

3.0

W.アンダーソンによるロアルド・ダール短編作品集。映像のついたオーディオブックといった体。B.カンバーバッチ、R.ファインズ、D.パテル、B.キングズレー…とキャスト勢豪華。休む暇もなく次々とリレー>>続きを読む

サンクスギビング(2023年製作の映画)

5.0

祝祭も本来の意味が少しずつ薄れ、商魂逞しい輩たちが荒稼ぎするだけの機会に成り下がっていく病んだ現代が透けて見える。少しは痛い目に遭った方がいい連中がエクストリームな制裁を受けていく展開には不謹慎なが>>続きを読む

アクアマン/失われた王国(2023年製作の映画)

3.0

前作同様、お調子者で粗野なアクアマンを不潔感なしでJ.モモアが演じていて愉快。見届けた感に浸れた。今作アーサーが弟オームの助けを借りるなど敵対関係の仕切り直しに初めはちょっと強引さを感じたがラストの>>続きを読む

笑いのカイブツ(2023年製作の映画)

4.0

笑えるコメディ作品ではなくてニューロダイバシティーのことを考えさせられた辛い作品。
好きなことなら一つのことに一人で何時間でも集中して取り組んでいくことができる。でも他人の気持ちや場の雰囲気を読む
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カラオケ行こ!(2024年製作の映画)

3.0

この展開だと聡実クンが祭林組にスカウトされるんじゃないかと本気で心配になった(笑)。

合唱部男子中学生とヤクザが真面目にカラオケで交流する…面白そうなプロットで掴みは上々。だから、もっと笑えてグ
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Lift/リフト(2024年製作の映画)

5.0

ミッション・インポッシブルやワイスピの廉価版みたいな(笑)。でも僕はとっても楽しめたので★5。荒唐無稽な強奪計画を、コンパクトな尺で至ってマジメに見せてくれて着地も爽快。笑いの要素もふんだんに散りば>>続きを読む

眠りの地(2023年製作の映画)

5.0

実話ベースの法廷劇。白人vs.白人の裁判だが、根底にあるのは社会的強者が弱者を食いものにしていることへの憤り。そのためか争点が事あるごとに人種差別問題の色あいを帯びてきて非常に興味深い。更にその論点>>続きを読む

ママボーイ(2022年製作の映画)

4.0

売春宿に勤める副支配人の熟年女性とマザコン青年との恋愛モノというからドロドロした展開かも?と予想したが全然違っていた。晩生な青年シャオホンが求めていたのはララのような母親、ララが求めていたのはシャオ>>続きを読む

聖なる復讐者(2022年製作の映画)

4.0

邦題も原題(「クリスマス・キャロル」)もどちらも物語からは一寸ずれているように感じたけれど…。吸引力は十分あるが途中で、まだ先があるのか?やけに長いなぁと感じる尺…でもこれにはちゃんと理由があってと>>続きを読む

Saltburn(2023年製作の映画)

5.0

このレビューはネタバレを含みます

フェリックスや彼の家族から窺われるように、裕福な人間は気のおけない親友や真の恋人を渇望している傍ら、常に自分たちの周りに近づいてくる卑しい偽者を如何に見抜き切り捨てるか特異な嗅覚や冷淡さを自然と身に>>続きを読む

雪山の絆(2023年製作の映画)

4.0

1972年アンデス山脈での墜落事故と遭難。20代前半のラグビー選手団が乗っていたチャーター機だった。体力ある若い男性たちのサバイバルらしく、彼らの判断や行動、仲間との会話など様々な描写に、ある意味で>>続きを読む

ライフ・ゴーズ・オン 彼女たちの選択(2016年製作の映画)

4.0

3人の女性が主人公の3話オムニバス。

1話:厄介なクライアントに付き纏われる弁護士(ローラ・ダーン)が窮地の末に取った選択の是非。

2話:新しく建てる家のちょっと変わった屋外装飾品に拘る妻(
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ナイト・スリーパーズ ダム爆破計画(2013年製作の映画)

4.0

過激な自然保護派青年たちの危険な目論見をスリリングに見せる前半のサスペンスと、折り返しから舵を切り変えたような後半の人間ドラマの両方が味わえて面白い。登場人物の視点で切り取られた映像だからこその緊張>>続きを読む

ウェンディ&ルーシー(2008年製作の映画)

4.0

一人仕事を求めて愛犬ルーシーと共にアラスカへ。インディアナ州ウェインからオレゴン州ウィルソンヴィルまでは長距離を切り詰めながらも車で順調な旅だったようだが、ここで車が故障し足止めを食らい様々なトラブ>>続きを読む

オールド・ジョイ(2006年製作の映画)

3.0

静かな森の中へ小旅行に出かける若者2人。かつての親友同士が身辺変化によって距離感を感じるようになってしまったか。特に語りがちなカートの淋しさがそこはかとなく伝わってきた。もうすぐ子供が誕生する妻帯者>>続きを読む

コンクリート・ユートピア(2021年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

大災害でも倒壊を免れた高層マンションが舞台のサバイバル・スリラー。生きるか死ぬかの瀬戸際で、ほぼ予想される通り住人たちの狂騒・狂乱エピソードが展開していく。そんな中、イ・ビョンホン演じる男キム・ヨン>>続きを読む

レンフィールド(2023年製作の映画)

3.0

ドラキュラとその助手を務める青年との深い因縁、そこに麻薬組織を追う警官が一枚噛んだバトル・アクション主体のホラーだった。ニコラス・ホルトが演じたヒーロー青年はナイーヴなんだけど必笑アイテムでパワフル>>続きを読む

逃げきれた夢(2023年製作の映画)

2.0

定時制高校教頭の末永は長い間、本音で人と関わることをしてこなかったのかも知れない。認知症になった自分の行く末を考え周囲との関係を修繕しようとするが、どうもうまく行かないようだ。

ほぼ、光石研の演
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アルマゲドン・タイム ある日々の肖像(2022年製作の映画)

5.0

このレビューはネタバレを含みます

少年ポールの日々の行動は見るからに軽率で危うい。不公平でマイノリティに容赦ないこの社会を生き抜いていくためには何が必要か。事あるごとに鞭打つ厳しい父親も、プレゼントを欠かさぬ優しい祖父も実は同じこと>>続きを読む

カサンドラ・クロス(1976年製作の映画)

4.0

大惨事は免れて欲しいし最後は正義が勝って欲しい。でもどうせフィクションなら最悪のシナリオの方もどんなものになるのか見てみたい…というのが映画を観る側の欲張りな本音。相反する2つの結末をどうやったら両>>続きを読む

テノール! 人生はハーモニー(2022年製作の映画)

4.0

いわばラップは下から相手を睨み上げる喧嘩、オペラは極上階から人々に歌いかける調和。2つの音楽は青年アントワーヌにとって全く対照的な音楽であり、正反対な生き方のシンボルのように思えた。オペラが彼のそれ>>続きを読む

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)

5.0

大衆が追い求めてきた便利さや快適さ、経済性などの行き着く先の生活とは全く対極にある、手間をかけてこそ得られるような、実際に手でモノの感触を味わうことのできるタクタイルな生活。長く再生しているうちに劣>>続きを読む

TALK TO ME/トーク・トゥ・ミー(2022年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

“手”を握って行う降霊・憑依に至るプロセスに実は2ステップあり、1ステップ目と2ステップ目の間に遷移段階があった。この視点転換の起こる設定が絶妙で現実を目眩ます幻惑的な映像演出が成功している大きな理>>続きを読む