Frapentaさんの映画レビュー・感想・評価 - 5ページ目

ラストブラックマン・イン・サンフランシスコ(2019年製作の映画)

4.2

正直個人的になかなかの癖強映画で観終わるまでに時間を要したが、最後まで観るとなんとなく観せたかった世界観が伝わってきてよかった。
アート映画の部類にギリギリ入るレベルだと思う。こういったものをたまに観
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aftersun/アフターサン(2022年製作の映画)

4.8

この映画を観た直後にまず切なさが先行したのは、おそらく自身のノスタルジー、とりわけその構成要素の一つとしての悲しさが不思議と自分の境遇とリンクしてしまったからだと思う。

僕が幼い頃にビデオカメラをい
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グレイマン(2022年製作の映画)

4.0

ゴズリングvsクリエヴァ

いい意味でキャラ造形や設定が軽い。そしてアクションは人間ができるギリギリのラインを攻めていてテンションが上がる。ルッソ兄弟は間違いない。

ライアンゴズリングとアナデアルマ
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ニーベルンゲン/ジークフリート(1924年製作の映画)

3.9

壮大な叙事詩の前編。
日本語ではないのであらすじを他サイトで読みながら鑑賞。
ジークフリートは自分としては英雄としての印象が強く、本編で人間臭く描かれているのはかなり驚き。また、ドラゴンが割とリアルで
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ディヴォーション:マイ・ベスト・ウィングマン(2022年製作の映画)

4.0

『トップガンマーベリック』と同時期の公開により完全に陰ってしまった本作だが、実際両者は似て非なるものであった。マーヴェリックも緊迫感はあったのだが架空の設定であるのに対し、本作は実話ベースなので違った>>続きを読む

ダンジョンズ&ドラゴンズ/アウトローたちの誇り(2023年製作の映画)

4.5

今作は文句なしの「気軽に観れる良作」。

口が達者の主人公エドガンを始めとして、個性豊かなキャラクターたちが小言を言い合いながら物語を展開させていくのは爽快感があるし、屍の敵や超巨大なデブドラゴンとの
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ザ・ハーダー・ゼイ・フォール 報復の荒野(2021年製作の映画)

4.2

面白い!

個性的な仲間と一緒に宿敵と対決する物語は決まって胸熱になるが、演出がいちいち刺さって憎いくらいだ。
まずはオープニングで「ナットラブ団」と「ルーファスバック団」をクールに紹介するのがよい。
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ダ・ヴィンチ・コード(2006年製作の映画)

4.0

美術館からここまで宗教の根源にまで行き着くとは思わず、魅せられたなという気分になった。ロケーションも有名どころが多いため、派手なシーンがない分素材の力で攻め切った印象がある。前観た時はラングドンたちが>>続きを読む

シン・ウルトラマン(2022年製作の映画)

4.0

ケツ叩きショットはちょっと謎だが、全体としては好き。このアクションなら全然観られる。

神永とシンクロしたウルトラマンがドクターマンハッタンみたいな様子で人類に対して良い感触で悟ってるのがよかった。
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西部戦線異状なし(2022年製作の映画)

4.6

このレビューはネタバレを含みます

人間1人の命は駒でしかないのがあらゆる場面で強調されており、反戦映画としての元作品を現代で力強く甦らせた素晴らしい作品となった。

第一次大戦において人間は"モノ"同然に扱われているという残酷性が最初
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シン・仮面ライダー(2023年製作の映画)

3.0

庵野秀明、仮面ライダー、特撮に造詣が深くないことを前提に書くが、好みじゃない。


用語の難解さはまだしも(むしろ好き)、アクションのカット割りの異常な多さと撮影方向の乱雑さによってそもそも観にくいの
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13人の命(2022年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

2018年タイで起きたタムルアン洞窟の遭難事故を実写化。そういえばワールドカップの裏でとんでもないことが起きているなーと当時ニュース番組を眺めていた記憶がある。

今作は大雨によって洞窟の奥深くで閉じ
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ブレイン・ゲーム(2014年製作の映画)

3.5

原題のSolaceとは「慰め」の意味を持つ。

未来予知能力を持ったが故に、いずれ苦しむ人たちへの安楽死という倫理の狭間で揺れるジョン。コリンファレル演じる実行犯に共感するのか、それとも反旗を翻すのか
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The Son/息子(2022年製作の映画)

4.5

このレビューはネタバレを含みます

良き家族であろうと父なりに努力したのがかえって悲劇に繋がってしまったのがとても苦しい。ヒュージャックマン演じるピーターの、思い描いていた理想の自分が限りなく遠かったことに対し弱音を吐き出したいのに吐き>>続きを読む

Mr.ノーバディ(2021年製作の映画)

4.0

ジョンウィックと同じ製作陣でガンアクションかと思ったが、それだけでなくアイデアを凝らした工作トラップ戦闘もあり楽しめた。

ボブオデンカークの主演作を観たくなった。ブレイキングバッドシリーズなど。

バビロン(2021年製作の映画)

4.7

約3時間の熱量に圧倒された。久々に映画を喰らった感じがして良かった。

1920年代の映画製作は無法地帯そのもので、今では考えられないような大量のドラッグ、そして差別もまだ根強い。
驚いたのは売上低下
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灼熱の魂(2010年製作の映画)

4.4

双子の姉弟が奇妙な母親の遺言により過去を紐解いていくはめになるのだが、芋蔓式に出てくる衝撃の事実に、まるで暗闇の地中から地上に放り出され途方に暮れた時のように言葉が出なくなった。
そんなことって起こり
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LAMB/ラム(2021年製作の映画)

4.0

単純に罪と罰の話のように思えた。

「親から子を強奪した」罪に対して、方向性は違ったが死という罰が下っただけの話かなと。
親を殺して子どもを奪い去る行為はどう考えても極悪非道で、今回はそれを羊の親子と
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エンパイア・オブ・ライト(2022年製作の映画)

4.5

このレビューはネタバレを含みます

ビターな恋愛をサムメンデスとロジャーディーキンスで煌びやかに映し出してくれた。


本作の主題を大まかに表すと「大人な恋愛」だ。
各々が現実的でかつ辛そうな境遇に立たされる。しかし「恥」という枷から公
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スリーパーズ(1996年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

少年院での虐待に対する復讐を社会的に認めさせる形で完遂したのがすごい。
殺人を犯していたのに法を操って無罪にするのがパワープレイだけど、復讐の理由が理由なので観客はやはりスリーパーズ側についてしまうだ
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ギルバート・グレイプ(1993年製作の映画)

4.0

アーニーをはじめとした家族の不平不満全てが最終的にギルバートに集中していて、それを対処するので精一杯になって自分の人生を歩めない姿が心苦しい。
だけどそれはおそらく一部はギルバートの望みでもあって、最
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アントマン&ワスプ:クアントマニア(2023年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

マーベル映画を3Dで観たのは初めてだったのだけど、恩恵は映像がより一層綺麗になっていたくらい。ただ、MCU内で3Dで観るべき映画と言われたら間違いなく本作を推す。

クアントマニアでは娘が開発したシグ
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エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス(2022年製作の映画)

5.0

このレビューはネタバレを含みます

経営費の話からマルチバースになっていくなんて誰が想像できる??

これまで奇作を世に放ってきたダニエルズだが、やっぱり本作も奇作である。
「スイスアーミーマン」では言語化しにくい謎の感動があったのを覚
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ア・フュー・グッドメン(1992年製作の映画)

4.1

法廷ものとして見応えのある作品だった。今作の脚本は「シカゴ7裁判」のアーロンソーキンであり、シカゴ7裁判を鑑賞済みならば自ずと凄みがわかるのではないだろうか。

最後の大佐との対決は特に見もの。字幕は
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ターザン:REBORN(2016年製作の映画)

4.0

ノースマンつながりで、同じく主人公役がアレクサンダースカルスガルドで裸多めの今作を鑑賞。

肉体が完成されていてイケメンなのでスター性を感じる。彼はこういう野蛮な役がピッタリハマっている。
ストーリー
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ノースマン 導かれし復讐者(2022年製作の映画)

4.2

今回もしっかりロバートエガース作品。
いいぞもっとやれ。

今作が持つ過去作との明確な差異はスケールだ。これまで位置的に定点止まりであったのに対し、ノースマンは行動範囲がかなり広く、雄大な自然美を有す
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アルジェの戦い(1966年製作の映画)

4.1

独立がテーマの映画はいくらでもあるが、この映画は惨いほどリアル。
時系列をぶつ切りにする編集と、銃弾飛び交う位置にカメラを絶対に置かず俯瞰図を終始提供してくるのが、物語性を排除し現実にあった戦闘だと言
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イニシェリン島の精霊(2022年製作の映画)

4.8

このレビューはネタバレを含みます

ここで終わっちゃうの!?ってなってしまった。
正直訳も分からず終わってモヤモヤなのだが、とりあえず音楽と風景がよかったのと、ロバが死んだ時の想定外な空気感が伝わってきたのがいい作品だと思った。しかもマ
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ヒットマンズ・レクイエム(2008年製作の映画)

4.1

監督特有の宗教観を織り交ぜた一癖ある逃走劇だった。

まず、今作は下らない会話劇が散りばめられているが、そういうシークエンスの有名度はタランティーノが上だ。私はタランティーノ作品鑑賞がだいぶ前で特徴を
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崖上のスパイ(2021年製作の映画)

3.8

日々の疲れによって下がり切ってた映画の気持ちを底上げする作品ではなかったが、チャンイーモウの作品が高水準なのはわかった。

だがそれでも同じアジア圏である韓国映画ですでに似たようなことやったし、全体的
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逆転のトライアングル(2022年製作の映画)

4.6

この世の全ての皮肉を詰め込んだような超奇作。
こんなものを見せつけてくるなんてやはりこの監督は性格が悪いぞ。


ブラックコメディは欲望を色濃く反映していて、人間の本質が事細かに分解される。それが心な
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グーニーズ(1985年製作の映画)

4.0

色褪せない名作ではあるようだが、今頃初見となるとストーリーの厚さもいい意味でないというか、可もなく不可もない印象。
若いジョシュブローリンを拝める。

サマーオブ84のせいでこういうティーンたちが頑張
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あのこは貴族(2021年製作の映画)

4.4

現代の東京に潜むヒエラルキーが日常との格差で映し出される。
貴族である華子と貴族じゃない美紀が繋がることで、(どちらかといえば)華子の悩みに一つの答えが見出される。
そしてそれは結末からみるに限りなく
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プレデター:ザ・プレイ(2022年製作の映画)

4.2

プレデターって狩猟民族だから思い返してみたら存在としては古そうなんだけど、映画としては近代化した舞台が多かった。
だからこそ、今作のような古い時代でのプレデターは逆に新鮮で、そしてかなりマッチしていた
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ベネデッタ(2021年製作の映画)

4.8

このレビューはネタバレを含みます

個人的に宗教の傲慢さが暴かれると同時に信仰の本質が見出される作品が大好きで、今作は宗教におけるタブーを盛り盛りに詰め込んでそれらを抉る傑作だった。

ポールヴァーホーベンはエルしか観たことなく、裸体や
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RRR(2022年製作の映画)

4.1

あまりの熱量に踊り出す。
ナートゥをご存知か?

リアリティラインを大いに超えて笑わせてくれる。観る人を元気にする素晴らしい映画だった。
こういう映画ってインド唯一無二そうでいい。多分真似できない。