Frapenta

13人の命のFrapentaのネタバレレビュー・内容・結末

13人の命(2022年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

2018年タイで起きたタムルアン洞窟の遭難事故を実写化。そういえばワールドカップの裏でとんでもないことが起きているなーと当時ニュース番組を眺めていた記憶がある。

今作は大雨によって洞窟の奥深くで閉じ込められてしまった13人をどのように救出するのかがフォーカスされる。まさか麻酔を使って終始潜水中眠らせているとは思わなかったし、かつその方法しかなかったのが思い知らされる絶望的な前半部によって緊迫感が増していた。前半部は狭い経路を潜って進むことによる後戻りのできないような圧迫感と、その感覚が未経験者ではパニックに陥るという困難さが、後半の救出劇を釘付けにさせてくれた。
事故の行く末は知っているにも関わらずここまで魅せてくれる見事な構成はロンハワード監督の安定的な手腕によるものだろう。

残された子どもたちは同じチームとして団結力があり、相当日数が経っていたのにも関わらず予想より元気であった。日頃の鍛えられた心が小さな体に生きる力を漲らせていたことを考えると感涙する。13人の中にはコーチもいたのだが、彼も怖かっただろうに一生懸命に子どもたちを励ましていて英雄だった。

最終的に13人全員が生還してよかったが、その間にダイバー1人、救出後一年してダイバー1人が感染症で亡くなっている。今作はやはり完全に成功したわけではなく、人が亡くなったことを印象付けるような演出になっている。
2度とこんな事故が起きぬよう手を合わせて願うばかりだ。
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