椿本力三郎さんの映画レビュー・感想・評価 - 5ページ目

永遠に君を愛す(2009年製作の映画)

4.5

濱口竜介は、何と言っても「寝ても覚めても」です。

「ドライブマイカー」「偶然と想像」で
良いかもと思った方は、
ぜひもう一歩深い濱口竜介ワールドにも触れて頂きたい。

「寝ても覚めても」
「ハッピー
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キングダム2 遥かなる大地へ(2022年製作の映画)

3.8

映画キングダムの楽しみ方として、
「前線で戦う女性」に注目するのが良いのかもしれません。
主役、脇役、味方も敵も含めゴツゴツとした男くさい役者が多く起用されていますが、
だからこそ、そのど真ん中で戦う
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Love Letter(1995年製作の映画)

4.9

今泉力哉の「mellow」「パンとバスと2度目のハツコイ」を続けて見て、
なぜか岩井俊二の作品を見たくなった。
友人から「まだ見ていないのなら絶対に見た方が良いよ」と言われていたこともあって。

いや
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パンとバスと2度目のハツコイ(2017年製作の映画)

4.5

「パン、バス、2度目、ハツコイ」、
奇妙な単語の組み合わせであるものの、
これ以上に過不足のないタイトルが思いつかない。
よく、こんな組み合わせを見つけてきたな、さすが今泉力哉。

「パン屋さん」「バ
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mellow(2020年製作の映画)

4.3

「愛がなんだ」「アイネクライネナハトムジーク」で
今泉力哉を知り、「his」で完全にノックアウトされました。
(「街の上で」も大好きです)
他の映画監督とはモノサシのスケールが違うという印象があります
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her/世界でひとつの彼女(2013年製作の映画)

4.3

手紙の代筆業の仕事で一定以上の評価を得ており、
友人にも恵まれているセオドアは
まだ気持ちが残っている元妻との離婚調停中で
相当にメンタルが揺れ動いている。
そんな彼がサマンサに出会い、励ましてもらい
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ゴッドファーザー(最終章):マイケル・コルレオーネの最期(2020年製作の映画)

4.5

ゴッドファーザー3部作を「最終章」でコンプリートしました。
いずれの作品もシアターで見て良かったです。
最終章ですが、アンディ・ガルシアに尽きますな。
アンディ・ガルシアの役者としての成長を待って
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エルヴィス(2022年製作の映画)

3.9

アメリカのショービジネスの成り立ちと裏側を
「エルヴィス・プレスリー」を通して描いた作品。
必然的にエルヴィスの人生や作品(音楽、映画)に触れざるを得ないが、
そちらがメインではないし、それを期待する
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ゴッドファーザーPART II(1974年製作の映画)

4.3

「ゴッドファーザー」の前日談であり、後日談。
時空が飛びまくるので混乱してしまい、
しばらくついていくのに必死になったが、
「前日談、後日談」であることがわかってから、
一気にのめり込んだ。

「ゴッ
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ゴッドファーザー(1972年製作の映画)

4.8

「ゴッドファーザー」の1、2を目黒の名画座で見た。
圧倒的だった。

マーロン・ブランドの身体性とたたずまい。
そして、アル・パチーノ。

最初は「優等生の末っ子」
それが「人を殺す男」になり、
「他
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ディナーラッシュ(2000年製作の映画)

4.3

NYのイタリアンレストランが舞台の作品であるが、
「そういうものだ」という前提で見始めると
作品冒頭の雰囲気と事件でかなり混乱させられる。

それ以降は、繁盛店のとある一日を描かれていくのだが、
レス
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花様年華(2000年製作の映画)

3.9

マギー・チャンがひたすら美しい作品。
トニー・レオンの「甘いマスク」と立振舞も
マギー・チャンを引き立てる為に存在しているかのような。

2人の関係性や心の中の動きは直接的には表現されない。
その分、
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リコリス・ピザ(2021年製作の映画)

2.8

正直、理解不能でした。
予告編ではエモいと感じたのですが、
そもそも15歳の高校生と25歳の女性の恋愛に見えない。
あえて「見えない」ようするキャスティングと演出かもしれないとして
その意図を読み解こ
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パプリカ(2006年製作の映画)

4.1

他人の夢に侵入できる機械の開発とその乱用について。
確かに夢が他人の思うように操られてしまうと、
覚醒している間の人格に影響が出て当たり前だな。

前衛的な映像表現に平沢進のテクノがマッチしている。
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ベイビー・ブローカー(2022年製作の映画)

3.5

ヒットすると思います。
ただ、良い意味でも悪い意味でも是枝ワールド全開で、
よくこれだけ重い社会的な課題を「つるん」と描けるなと感心しました。
押し付けない、余韻を感じろという配慮かもしれません。
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ケンとカズ(2015年製作の映画)

4.4

不器用なクズに必要なのは母性。
母親ではなく、母性であることに注意。
母性を実の母親に求めてしまうことは
むしろ自然な振る舞いであるものの、
母親とて人間なのだから
その希望や期待に応えられないことも
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スプリング・フィーバー(2009年製作の映画)

4.1

愛と執着の違いがテーマか。

そして異性愛と同性愛は同時平行で成立するのか。
成立するとしてそれぞれのパートナーは受け入れるべきなのか。

探偵が対象となる相手に惹かれていくのは、
愛ではなく執着だっ
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マディソン郡の橋(1995年製作の映画)

3.8

さすがイーストウッド。
これもまた理想的な男のあり方か。
30代後半にならないと理解できない世界観、人間観だと思う。
単に不倫の話なんだけどね。
しかし、それを超えた強いメッセージ性がある。
深い人間
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千年女優(2001年製作の映画)

4.5

アニメという表現手法を最大限に活かして、
時空、視点、役割が自由自在にめまぐるしく動くが、
往年の人気女優「藤原千代子」の人間的な魅力に説得力があり、
その軸がぶれていないことから、切れ目がなく、まっ
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FLEE フリー(2021年製作の映画)

4.3

難民問題のリアルについて。
まさにFLEE、すなわち「逃げる」ということ。

国家、家族、宗教、そして性的なアイデンティティから
主人公は「逃げる」。
しかし、逃げたからこそ生きる道と場所が、
さらに
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トップガン マーヴェリック(2022年製作の映画)

4.1

2時間半、あっという間でした。
音響・音楽もアクションも迫力満点。
旧世代の象徴としてF14戦闘機が出てきたときには、
さすがに興奮しました。

1986年の「トップガン」の予習はmustだと思います
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炎上(1958年製作の映画)

4.5

三島由紀夫の「金閣寺」は原作というよりも原案と捉えるべきで、
モノクロ映画の良さ、市川雷蔵、二代目中村鴈治郎、仲代達也、そして中村珠緒といった豪華なキャスティングで見事に三島の「金閣寺」が「育っている
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トップガン(1986年製作の映画)

4.1

”男のロマン”がガッツリ詰まった作品。
2時間弱の尺に「努力友情勝利」「天才の挫折と復活」が
見事に描き込まれている。
音楽も街の風景も80年代のアメリカの集大成という印象。
この作品を中高生の時に見
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流浪の月(2022年製作の映画)

2.5

原作小説は名作なのだろうと思う。
確かに広瀬すずは体を張った演技ではあり、
最初は引き込まれたが、
どのシーンも単調であり、途中からダレてくる。熱演や名演ではない。
松坂桃李は、お得意の「思考と感情の
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シン・ウルトラマン(2022年製作の映画)

2.5

長澤まさみちゃんの仕事を選ばない姿勢に感銘を受けました。
また、元ももクロの早見あかりが見事に映画女優として進化しつつあり、斉藤由貴とか永作博美の系譜につながりそうな予感があったことは収穫でした。
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パリ13区(2021年製作の映画)

4.1

潔いくらいに最初から最後まで、クズによるクズなエピソードが続くが
「クズの日常」を美しく仕上げている。
共感はできないものの
不思議とこの世界観は嫌いではない。

カモン カモン(2021年製作の映画)

4.4

予告編ではもっとわかりやすく感動し、泣かせに入ってくるのかと思っていましたが、ボヤっとした作品で、どこに焦点を当てて良いかしばらく迷走しました。
「兄と妹の関係性、その崩壊と再生」こそがこの作品の主軸
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とんび(2022年製作の映画)

4.1

重松清による原作小説でも泣いたが、映画はもっと泣いた。

ストーリーや人物の設定は同じものの、
テンションの置き方が違うのと
脇を固める女優陣がいずれもめちゃくちゃ上手い。
「話は知っているけれども泣
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