椿本力三郎

Love Letterの椿本力三郎のレビュー・感想・評価

Love Letter(1995年製作の映画)
4.9
今泉力哉の「mellow」「パンとバスと2度目のハツコイ」を続けて見て、
なぜか岩井俊二の作品を見たくなった。
友人から「まだ見ていないのなら絶対に見た方が良いよ」と言われていたこともあって。

いや、驚いた。
こんなエモい世界観は少女漫画、アニメだからこそ成立するのだと思っていたが、これを実写で描き切るとは!!

中山美穂の一人二役がお見事。
「届くはずのない手紙」が届く仕組みは、
結構簡単に判明するが、
そこからさらに一歩も二歩も深まっていく。
音楽と自然の切り取り方が美しすぎる。
そして中山美穂は人生で一番輝いていた時期なのではないか。
ショートカットが似合いすぎだわ。

トヨエツ、加賀まりこ、鈴木蘭々が良い味を出している。
特にトヨエツは大阪八尾の出身で20歳前後までは関西にいたはず。
すなわち、関西弁ネイティブなのだが、
わざと「関西弁を演じている」ような関西弁にチューニングしているところにトヨエツの映画愛を感じた。
(私は神戸の人間なので、神戸が舞台なのであれば、
神戸弁を話して欲しいのだが、まあ、そこはご愛嬌として)

そして、今泉力哉と岩井俊二に通底するテーマは
「ハツコイ」であることを確信した。
先に劇場で「ラストレター」を見たのだが、
せっかくこの作品を見ることができたのだから、
もう一度、見返そうと思った。

岩井俊二の作品の中で、ではなく、
私のオールタイムベストの作品の中で上位に必ず入ってくる作品です。