シャチ状球体さんの映画レビュー・感想・評価

シャチ状球体

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ユニコーンのテルマ(2024年製作の映画)

3.2

田舎でバンドの成功を夢見る馬のテルマがユニコーンに扮して資本主義に染まりかける映画。

『SING/シング』と同じく、動物が人間のように動いたり喋ったりするのが微妙に違和感。子ども向けにしては露骨だっ
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ジェイコブと海の怪物(2022年製作の映画)

4.3

ドレグモア海に潜む怪物・ブラスターというのは、人間が他の生物と共存できるかどうかが試される試練のようなもの。
怪物の存在を名目として軍拡を進める王国や自己犠牲を美徳とするトキシックな規範が強いハンター
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ナイブス・オブ・ジ・アベンジャー(1966年製作の映画)

2.9

マリオ・バーヴァが何故か撮った中世ファンタジー。

ルチオ・フルチの『SFコンクエスト/魔界の制圧』ほど演出に個性があるわけでもなく、そこまでチープなわけでもない。
結構壮大な世界設定と音楽は雰囲気を
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まぼろしの市街戦(1967年製作の映画)

3.6

大半の住民がいなくなった街で日常を謳歌するのは、精神病院に入院していた人、セックスワーカー(精神疾患と合わせて描かれているのは微妙だし酷い)、動物達。
逆説的にマジョリティがいかに公共空間から特定の人
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観察者(2021年製作の映画)

2.6

シドニー・スウィーニーとジャスティス・スミスを無駄遣いしているような映画。

向かい合った建物で双方が朝から夜までカーテンを閉めない理由が語られないので導入が不自然だし、トーマスとピッパが向かいのビル
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ぜんぶ売女よりマシ(2017年製作の映画)

5.0

セックスワーカーが全員犠牲者である、という考え方は女性が性的に奔放であることを許さない父権主義だというのは本当にその通り。

ロマンティック・ラブ以外は認めないという一種の性規範が基になっていることも
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リアリティ(2023年製作の映画)

4.5

『ユーフォリア/EUPHORIA』のシドニー・スウィーニー主演、実話を基にしたサスペンス。

FBIが実際に録音していた音声を台詞に書き起こしただけあって、リアリティの身に起きた出来事がリアルタイムで
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ジュリア・幽霊と遊ぶ女(1977年製作の映画)

3.3

トレイラーで使われている音楽が気になってBlu-rayを買ってしまった映画。

良くも悪くもホラーのお約束が全然守られておらず、恐怖シーンはほぼない。どちらかというとジュリアとの離婚を認めず、従わない
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アイデア・オブ・ユー ~大人の愛が叶うまで~(2024年製作の映画)

3.7

日本だとあまり身近には感じないけど毎年ニュースにはなってるコーチェラが序盤だけ出てきます。

ヘイズがソレーネの居場所をネットで調べてやって来るの、現実だったらちょっと無理かも。相手が著名なアーティス
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中森明菜イースト・ライヴ インデックス 23 劇場用 4K デジタルリマスター版(2023年製作の映画)

4.5

あっという間の92分だった。

冒頭で少し舞台裏みたいな映像が流れるけど、基本的には中森明菜のライヴをそのまま映している。

唯一無二だし40周年のアルバムのアレンジも最高だったし……今聴くと結構直球
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ブータン 山の教室(2019年製作の映画)

3.7

首都からバスで8日もかかるガサ市ルナナ村。舗装された道もないので足腰が強くないと辿り着けない……。

ブータンの教職システムはよく知らないけど、5年間も(たぶん賃金の発生する)実習があったら進退を決め
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炎のデス・ポリス(2021年製作の映画)

3.6

ストーリーはシンプルだけど見せ方が悪くないので飽きさせない映画。

殺し屋から身を守るために留置場に入ったはずのテディと、同じく署内に潜入してきた殺し屋が向かい合わせの檻に入る……という捻りがなさそう
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アフター・ヤン(2021年製作の映画)

4.3

クローンが人間と異なる存在なのか否か、クローンは恋愛感情を持ち得るのか否か。そんな陳腐な問いに対してこの映画は明確に答えを避けている。
人間だろうが何だろうが、同じ属性だろうが何だろうが、同じ経験をし
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ゴジラ-1.0(2023年製作の映画)

3.0

山崎貴が太平洋戦争をテーマに映画を作るなんて、永遠の何とかみたいなのだったらどうしよう……と思っていたけど、そこまで保守的かと言われると微妙な作品だった。単純に戦争をノスタルジーの対象としてしか見てい>>続きを読む

メドゥーサ デラックス(2022年製作の映画)

3.7

全編ワンカット……ということで誰かが場所を移動するたびに視点人物がどんどん切り替わっていき、段々移動時間がロード時間に思えてくる。今HDD搭載のPCで重めのゲームを起動したらこれぐらい読み込みに時間を>>続きを読む

コカイン・ベア(2023年製作の映画)

3.0

ポスターやトレイラーからも分かる通り、100%悪趣味なコメディ。

序盤、ギャングや保安官、子ども達がコカイン・ベアがいる森に入っていくまでの微妙なドラマがご丁寧に1グループずつ描かれ、主人公グループ
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ロスト・フライト(2022年製作の映画)

3.3

飛行機事故が起こるだけでなく、不時着先でもギャングの襲撃に巻き込まれてしまう踏んだり蹴ったりの映画。
ジェラルド・バトラー演じるブロディ・トランス機長が困った乗客や孤立した状況を打開すべく色々頑張りま
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⻤太郎誕生 ゲゲゲの謎(2023年製作の映画)

3.8

保守的な風土の地方、キツイな~って感じで始まるのに、どんどんそこの解像度を高めていってくれる映画。

今まで日本が経済成長を遂げてきた裏には戦争特需や搾取があり、同時に人間の命や人権を蔑ろにしながらマ
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Love,サイモン 17歳の告白(2018年製作の映画)

3.0

物語と直接は関係ないけど、人の体液に触れるところだった、という話にサイモンが「(HPV)ワクチンを打たなきゃ」というジョークを普通に返せる環境、日本だとあまりなさそう。男性の摂取は全部自費だし……。>>続きを読む

生きる LIVING(2022年製作の映画)

3.4

通勤の時点で既に序列に応じた謎ルールが適応されてて、しかも職場では資料や市民への対応が様々な課でたらいまわしにされて……いかに労働が無意味で空虚なものかがいきなり強調され、そんな労働に人生を捧げてきた>>続きを読む

シティーハンター(2024年製作の映画)

3.8

原作漫画は軽く流し読みした程度の知識しかないまま視聴。

冴羽はふざける時は死ぬほどふざけるけど、真剣な時はとことん真剣だからこのキャラクターが行動するだけで物語に緩急が付くんだよね。実生活でも人権意
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バービー(2023年製作の映画)

3.5

バービーランドが本当に理想的なのかは疑問に思う点がいくつかあって、外に出て大ぜいで遊ぶのが好きなバービーやケンしかいないのは画一的だと思うし、バービーの世界にも人間の世界にも女子パワーはあるのに男子パ>>続きを読む

逃避(2023年製作の映画)

3.2

『鳥籠』と同じく、PFFアワード2023で入選した自主製作映画22作品の一つ。

初期の北野武映画に雰囲気が似ていて、犯罪に巻き込まれたらしき無口な和真と献身的な彩乃が日常を少し離れて外出をしたり静か
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鳥籠(2023年製作の映画)

2.9

ステレオタイプな不幸が次々と襲い来る映画。

主人公のこうだい(漢字が分からない……)がトキシックなホモソーシャル集団に馴染めないのはいいとして、主に男性同士で行われるマウントの取り合いやいじり、ケア
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ParkingArea(2022年製作の映画)

3.9

主人公しかいない高速道路、主人公しかいない街。
劇中ではパーキングエリア以外に他者が存在しない。それは都市空間の孤独であり、しかしそれを悪いことや恐ろしいこととは描かず、逆に心地良い自分だけの空間とし
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バト・ミツバにはゼッタイ呼ばないから(2023年製作の映画)

3.8

ステイシー達が、ユダヤ教の成人式(12歳だけど……)的なバト・ミツバでのパーティで恋愛や将来設計プランを実現させようとしたりするコメディ。

普通に学校の柱にレインボーフラッグが貼ってあるのが素敵。世
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マルセル 靴をはいた小さな貝(2021年製作の映画)

4.3

Airbnb貝のマルセルの生活を撮影するドキュメンタリー……というあまり見たことない体の実写&アニメ。

光るユーモアセンスと心を落ち着かせる環境音楽、全くルーツの異なる生き物が同じ屋根の下で暮らすこ
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突然炎のごとく(1961年製作の映画)

3.5

友達になった3人がその中で結婚したり戦争で敵同士になったり、また再開したり……どれだけ時が移り変わっても、ジムはカトリーヌへの想いを募らせ続ける。

結構直球なミソジニー描写が何度か出てくるのでそこは
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あこがれ(1958年製作の映画)

3.4

廃盤になったBlu-rayだと『大人は判ってくれない』とセットで収録されていた短編。

少年達がやってることは全然良いわけないんだけど、初めて誰かに抱いた好意をどう捉えて処理するべきなのかを判断できな
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大人は判ってくれない(1959年製作の映画)

4.5

3年くらい前から気になってたやつ。ようやく配信……!

親が子どもにしてはいけないことを全部やる映画。それだけトリュフォーは子ども時代に大人に対しての強い不信感を持っていたのだと思う。
不登校が人生の
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ミュージック ~僕だけに聴こえる音~(2024年製作の映画)

3.7

保守的でコミュニティ意識の強い母親を持つ絶対音感のルディが新しいパートナーを探したり探されたりするラブコメ。

ルディの母親がブラジル人同士での結婚にこだわるのは、人種差別から身を守るために同じ出身同
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カラオケ行こ!(2024年製作の映画)

3.4

ヤクザ社会をコミカルに描いているところはもちろん気になるんだけど、任侠映画みたいに美化するよりはまだマシかなと思ったりした。

シュール系のコメディとしては中々の完成度で、成田狂児達が岡くんに絡んでい
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モンタナ・ストーリー(2021年製作の映画)

4.3

親がいなくなるというのは、ただ人が一人いなくなるだけではない。持っていた土地(この映画の場合は農場)の行方を決めなければいけないし、自ずと人生を振り返ることになる。

モンタナの広大な土地に帰ってきた
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マリウポリの20日間/実録 マリウポリの20日間(2023年製作の映画)

3.9

NHKのドキュメンタリー版を視聴。

ロシアのウクライナ侵攻が言語道断なのは大前提にして、ゼレンスキーはイスラエルとの連帯を表明しちゃったし、このドキュメンタリーは引き裂かれた家族や子どもを強調して身
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貞子DX(2022年製作の映画)

2.6

明らかにフワちゃんみたいな"フワたん"が出てくる時点で真面目に観る気がなくなるのだけど、今回は7日ではなくてたった24時間で呪いが発動されるファスト貞子です。よかったね。

あと、今時「返信キボンヌ」
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スペースマン(2024年製作の映画)

3.1

宇宙飛行士に向いてない俳優ランキングがあったら上位に入りそうなアダム・サンドラーが宇宙飛行士役を頑張ってます。
いつも感情を爆発させる役ばかりなのに……。

睡眠薬が必要だったり家族関係が良好ではない
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