シャチ状球体さんの映画レビュー・感想・評価 - 4ページ目

ジェーン・ドウの解剖(2016年製作の映画)

3.4

事件現場で発見された身元不明の遺体。その正体と、突然頻発する怪奇現象の謎が最後までストーリーを引っ張っているので緊張感が全編を支配している。

一方、名前の分からないジェーン・ドゥを除けば主要人物は普
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ザ・メニュー(2022年製作の映画)

3.6

金持ち達が、孤島にある招待制の高級レストランで得体の知れないコース料理を提供され続けるホラーコメディ。

シェフの私怨か客の秘密か。料理が提供されてくるプロセス自体をドラマにしているのが新鮮で面白い。
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キャプテン・マーベル(2019年製作の映画)

3.5

今更だけど、マーベル映画は基本的に関連作品を予習していることが前提なので新規の視聴者には全然優しくないね……。

でも、『マーベルズ』で分からなかったクリー人やスクラル、フラーケン、モニカ、サミュエル
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マーベルズ(2023年製作の映画)

3.9

ディズニー不買中だけど、この映画が気になってDisney+に加入してしまいました……。
ディズニーはイスラエルへの支援を止めろ。

メインの3人が全員女性ジェンダーというのもそうだけど、それぞれルーツ
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ラスティン:ワシントンの「あの日」を作った男(2023年製作の映画)

3.7

アパルトヘイトが違憲とされてもなお黒人差別が減ることのない60年代のアメリカで、人種差別に対する抗議運動にかかわったバイヤードの活動を通じてアメリカ史を振り返っていく映画。

バイヤードを演じるコール
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クライムズ・オブ・ザ・フューチャー(2022年製作の映画)

3.2

デヴィッド・クローネンバーグの最新作。

いくら人類から痛みの機能が消えた(なんで?)近未来とはいえ、体内に新たな臓器が生成される病気というのは設定が尖りすぎている気もする。

もしかすると実子である
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オリオンと暗闇(2024年製作の映画)

3.0

まず、恐怖は克服しなければならないものなのだろうか。そして、怖いものがあることが子どもと評されることにジェンダーロールが関係してはいないだろうか。
ちなみに、そういう話は出てこないので期待するだけ損…
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2046 4Kレストア版(2004年製作の映画)

4.5

4KUHDで再鑑賞。

一応前作にあたる『花様年華』とテイストが異なり、スー・リー・チェンのことを忘れられないチャウが複数の女性と恋仲になりながらも満たされない空虚な心を小説に投影する……という、前作
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シック・オブ・マイセルフ(2022年製作の映画)

4.1

全編気まずいシーンしかない映画。

主人公のシグネは自分が注目されるためならどんな自傷行為も辞さない。それも徐々にエスカレートしていくというより、最初からアクセル全開。
恋人のトマスはアーティストとし
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フォルス・ポジティブ(2021年製作の映画)

2.2

"A24の知られざる映画たち"マラソン、最後の一本。

まず、ルーシーがどのような過程で妊娠を望むに至ったのかという理由が全く描かれず、どんな思いで不妊治療を始めるのかも不明瞭なのでいきなり置いてけぼ
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スライス(2018年製作の映画)

3.1

"A24の知られざる映画たち"、11/12。

80's風ホラーコメディで、死者が生者と同じように活動しながらも隔離されている謎の世界観が特徴。
小さな町で起こる連続殺人とオオカミ男の存在、復讐劇。ノ
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花様年華 4Kレストア版(2000年製作の映画)

5.0

4KUHDで鑑賞。

改めて書くまでもない完璧な映画で、何でもないシーンは普通に、重要なシーンは正面から登場人物の姿を映さない。鏡越しや気配だけで表情が見えないチャンとチャウの表情はこちらが想像するし
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キルボット(1986年製作の映画)

2.4

低予算、低クオリティと一本筋が通ったホラー映画。

ドラマなんてものはなく、ショッピングモールに配備された警備ロボットが雷の影響で殺人マシンと化し、ついでにカップルたちがポルノを基にした恋愛観を展開し
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さらば、わが愛 覇王別姫(1993年製作の映画)

5.0

孤児となった蝶衣と小樓の2人が幼少期から体罰当たり前の劇団で訓練に耐えてきたから時間があるからこそ、その関係性が時代の変遷の影響もあって揺れ動いていくことにドラマが生まれる。

レスリー・チャンが完璧
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ファニー・ページ(2022年製作の映画)

3.4

恩師の死をきっかけにモブキャラみたいな両親の反対を押し切って熱気ムンムンの謎アパートに引っ越した主人公が、弁護士の記録係をしながらマンガを描いたり暴力事件を起こしたり起こされたりする話。

どこをどう
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ヴァル・キルマー/映画に⼈⽣を捧げた男(2021年製作の映画)

3.7

"A24の知られざる映画たち"の作品群では唯一のドキュメンタリー。

冒頭に若い頃のヴァル・キルマーが友達とはしゃぐ映像が流れ、咽頭がんと闘う現在の姿と息子が本人役でナレーションをする回想録的なホーム
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ゴッズ・クリーチャー(2022年製作の映画)

2.3

今日も今日とて"A24の知られざる映画たち"で上映された映画を視聴。

マークという青年の死を追うかのように田舎の漁村に突然帰ってくるブライアン……という導入の時点で何か訳ありな予感しかしない。

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アース・ママ(2023年製作の映画)

4.8

現在大量に配信されて観るのが大変な"A24の知られざる映画たち"企画で上映された映画の一つ。

親子関係が絶対視されてしまう(子どもと親が必ずセットで語られる)ようなこの社会では、主に親の生活能力(と
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エターナル・ドーター(2022年製作の映画)

3.9

これも"A24の知られざる映画たち"で上映された映画の一つ。

ティルダ・スウィントンが親子を一人二役で演じており、基本的には同じ画面に映らない。だから映画開始時から既に二人の間には見えない溝があるし
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オール・ダート・ロード・テイスト・オブ・ソルト(2023年製作の映画)

4.0

引き続き視聴中の"A24の知られざる映画たち"で公開された作品の一つ。

マッケンジーの母親が亡くなるシーンを直接映さず、長い沈黙や残された家族のまだ受け止めきれない交錯した感情を描くことで人が死ぬと
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グリーンバレット(2022年製作の映画)

2.8

『ベイビーわるきゅーれ』の阪元裕吾監督が現役グラビアアイドル達を主演に撮ったアンモラル映画。続編らしいけど前作は観てません。

何だか毎週日曜日の23:25から30分放送されてそうな雰囲気で、冷笑、世
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ショーイング・アップ(2022年製作の映画)

4.5

例によって"A24の知られざる映画たち"にて上映されたケリー・ライカート監督作品。

主人公のリジーが講師をしている美術学校(大学)の外観からして良い。何だかキャンピングカーみたいだし、たまたま居合わ
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ロー・タイド(2019年製作の映画)

3.0

"A24の知られざる映画たち"で公開された映画の一つ。

ブルックリンっぽい場所で強固なホモソーシャル関係を築いている3人+1人が遊ぶ金欲しさで強盗へ入った家に警察が待ち受けていたことからどんどん関係
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ザ・ヒューマンズ(2021年製作の映画)

3.8

"A24の知られざる映画たち"企画で公開された映画群の一つ。

隣り合わせに連続したアパートの棟達を下から見上げるように映すオープニングが早くも芸術的。建物の隙間がまるで十字架のように見える。

演劇
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永遠の散歩(2019年製作の映画)

3.6

一応腕自体に時計が浮き出るガジェットが登場するSFなのに、人々の生活は今よりもきっと貧しい。
技術が進歩しても社会設計が変わらなければ生活水準は向上しないのだ。SFホラーというジャンルだけ見て想像する
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彼方に(2023年製作の映画)

2.9

短編なので仕方ないけど、冒頭の衝撃シーンからあっさり現在の時間軸に移行してしまい、トーンががらりと変わってしまうので主人公の妻子の死が物語上の都合(興味を持続してもらうためにアクションがあるシーンを冒>>続きを読む

ジョン・ウィック:コンセクエンス(2023年製作の映画)

4.0

2日連続で観ると塩分過多になりそうなジョン・ウィックシリーズ4作目。

ついに殺し屋協会の幹部クラス(侯爵)が登場し、組織内の対立軸が明確になった。協会とジョン・ウィックの関係はショッカーと仮面ライダ
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ジョン・ウィック:パラベラム(2019年製作の映画)

3.8

Netflixで明日最新作が配信されるので前作を復習。

3作目にもなると元々おまけ程度だったストーリーがついにシーズン制のオンラインゲームみたいな大枠だけのものになり、2作目のラストで殺し屋協会を追
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ザ・キッチン(2023年製作の映画)

3.3

新自由主義政策が続いたイギリスの行き着く先は、最新技術が人々の管理に使われて一般的な生活費で賄える住宅が極端に不足するディストピア。

警察のドローンが常に上空を監視してるから地下や天井に覆われた場所
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のら犬(2023年製作の映画)

3.9

邦題は『のら犬』。検索に引っかからないことを目標にしているのかもしれない。

きょうだいのように仲が良い幼馴染のドッグとミラレス。この二人の関係がエルザの登場で徐々に崩れていくわけだけど、そもそも何故
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フラッシュ・ゴードン(1980年製作の映画)

3.5

成功しなかった超大作として今でも話題に上る映画。

突然降ってくる"ひょう"、空を覆う赤紫の雲。特殊効果も役者の演技も本気度200%で、とにかく観客を画面にくぎ付けにさせたいという強い思いが伝わってく
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ナイン・デイズ(2020年製作の映画)

3.4

天国や地獄という概念は非常に排他性の強い人間的なもので、罪だと設定された行為の有無で他者に住む場所を決められるという点で非常に非人道的。

この映画はそんなことをテーマにしていながらかなり趣向を変え、
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デイズ・オブ・サンダー(1990年製作の映画)

2.8

バンドのThe Midnightが同タイトルの楽曲を出していたので知った映画。

『トップガン』と同じく、トム・クルーズのスター性から逆算して脚本を作ったようなファンタジー的世界観が特徴。
才能はある
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aftersun/アフターサン(2022年製作の映画)

2.9

去年、A24がアート映画を重視する戦略を転換する、みたいなニュースを見た後だと微妙に不安にさせてくる映画。

正直後半まで(というかほぼ全編)のソフィとカラムの二人きりのバカンスは面白味に欠け、特に何
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過去のない男(2002年製作の映画)

3.7

過去のない男(役名もない)が海辺の古小屋で高い家賃を払いながら労働をする。
アキ・カウリスマキの映画は毎回フォーマットがほぼ同じで、全ての作品が主人公の設定が少しずつ異なるアレンジ版のような既視感もと
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FLEE フリー(2021年製作の映画)

4.0

北朝鮮もそうだけど、反体制とみなされた人がいればその家族まで処罰対象になる。独裁政治を維持するための徹底的な弾圧の中、アフガニスタンから
デンマークに脱出したアミンが半生を振り返るドキュメンタリー。
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