TV版の最終回は、LCLで人類が一つになった世界でシンジ君が初めてアイデンティティを確立したことで皆に褒められて終わるエンディングだったけど、この劇場版はそれをもう一度別の解釈でやり直している。
人>>続きを読む
映画のバイオハザードシリーズでは最もマシな映画。
カッコ良さげに登場した特殊部隊が早々に機能不全に陥ったり、死んだと思っていたキャラクターが生きていたかと思えばまた死んだりと、人間の尊厳をレーザーで>>続きを読む
人狼ゲームシリーズは何作か観たけど、この作品だけ一際異彩を放っている。
まず、役者陣の演技が本当に自然で驚く。古いけど大島渚の「日本の夜と霧」みたいに、台詞を間違えたり詰まったりしたカットもそのまま使>>続きを読む
仁義なき戦いというタイトルだけど、菅原文太演じる広能は一応仁義を通そうとするんです。
でも、"人の良い"広能はそこに付け込まれて何度も利用される。戦後広島の闇市で一緒に生活していた仲間も、イエスマンだ>>続きを読む
死んでしまった人と生き残った人の違いを考えてみると、この映画はより面白い。金が全てのアートの世界で、最後まで正気を保っていたのは誰だっただろうか。
金と表層の世界で繰り広げられるサスペンスと恐怖描写>>続きを読む
この映画は、観客が思っている通りに展開してくれない。
娘を失って孤独に戦うミルドレッドの話かと思えば、差別的で暴力もいとわない警官であるジャクソン、そして怠慢に見える警察署長……と、視点人物がどんどん>>続きを読む
愛のない夫婦の元で暮らす息子、アレクセイが失踪してしまう。
この映画の大半は。夫婦の罵り合いを見せられる。「ボリスとイニヤの夫婦がこんな風にいがみあってるからアレクセイは失踪したんだよ!」と思ってしま>>続きを読む
主人公であるトラヴィスには、本人の意思とは関係なく社会的に孤立する要素が詰まっている。
ベトナム戦争による後遺症、帰還兵に対する社会側の受け皿の無さなど色々あるが、その中でも大きいのは、トラヴィス自身>>続きを読む
「でもいつか戦場に行きたい。そのために成長した」
映画ラストの長男の言葉。正直寒気がするが、彼はそんな言葉を言うための教育をされてきたのである。
脚を失った父親は、心境を吐露する。
「男にとって大変な>>続きを読む
「花様年華」の続編で、「欲望の翼」とも少し繋がっている映画。この二作、特に前作を観ていないとトニー・レオン演じるチャウの行動原理がさっぱりわからない。
紳士的だった前作と打って変わって様々な恋愛の中で>>続きを読む
終わった後、"観てしまった"と思った映画。
画質の悪さと演出によって、まるでドキュメンタリー映画のような質感を持った今作。
具体的に書くと、最初にレザーフェイスが出てくるシーン。前触れも効果音も演出も>>続きを読む
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ずっと口が開いていて、パスタの食べ方も汚くて、芸術に興味がないアデルと、対照的なエマ。二人の価値観が根本的に異なることが示唆されるシーンが劇中何度も出てきて、絶対に成就しない恋愛なのだと観客に前もって>>続きを読む
人の痛みや苦しみは、当事者になって初めて理解できる。当事者以外が理解している(と思っている)ものは、単なる想像に過ぎない。
罪の意識や反省とは他者から求められるものではなく、不意に訪れて自発的に行わ>>続きを読む
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元々お金が無いからモーテル以外に住めるところがなく、仕事もできない。そんな悪循環の中で生きる親子の話なんだけど、この映画では徹底して主人公たちの置かれた生活の苦しさや影を"画面上から"排除している。貧>>続きを読む
この映画に出ている人たちは教祖も含めて皆、元々所属していた共同体に不満があったり、追放された人ばかりだ。共同体に属することで恩恵を受けられなかった人が、その共同体のために生きようなどとは思わない。>>続きを読む
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全編に漂う無常観。沖縄のぎらぎらとした青色が美しく、生と死の境界線を限りなく曖昧に描いている。そこに久石譲の音楽が加わり、青色にさえ死の香りを感じる程の映像作りも相まって非常に完成度の高い作品となって>>続きを読む
このレビューはネタバレを含みます
今まで観た映画の中で最も恐ろしい映画。
巧いのは、主人公が信頼できない語り手だということ。そして、それをラストまで観客に気付かせないところ。
主人公である作家の小林雅文は、何となく怪異の真相に迫って>>続きを読む
"男らしさ"という暴力性に苦しめられた人たちがその心中を語る。
個人的に"女らしさ"とは抑圧のことだと思っているので、それぞれの"らしさ"とは、男性にとって都合の良い、本質の取り除かれた空虚な単なる記>>続きを読む
このレビューはネタバレを含みます
まず、カメラワーク。ニューヨークの雑多な街並みを行き交う無数の人々が映し出されて、カメラが左奥に寄って行くと、主人公であるホームレスのハーリーが座っている。彼女は街に住む誰にも見えないんだけど、目を凝>>続きを読む
このレビューはネタバレを含みます
人生No.1の映画。
LGBT、貧困、いじめ、ドラッグといった様々な社会問題が取り上げられるんだけど、実はそれはこの映画の構成要素の一つに過ぎない。
シャロンという主人公を通して、全てのマイノリティに>>続きを読む
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この映画、最後まで一貫して紬が非現実的な存在として描かれてるんだけど、これは"自分から見た他人"がいかに曖昧であるかを描いているんじゃないかと思った。ミユリは紬のことをミューズのように心の中で慕ってい>>続きを読む
登場人物を殆ど正面から映さないカメラワーク、心情を殆ど吐露しない登場人物。それを補完するように、夢二のテーマとテロップがチャウの抱えている愛情と苦しみを観客に伝えてくれる。正に"映画"と言えよう。
小役人のイヤ~な主人公、ヴィカス。最終的には涙が出るほど彼に感情移入しちゃうのだ。
この映画の面白いところは、主人公は当事者になって初めて差別・迫害の苦しみを知るということ。差別や偏見は、対象を知らな>>続きを読む
この映画の何がすごいって、リドリー・スコットの近未来観。
宇宙船っていうとエリート達が操縦してるイメージだけど、ノストロモ号に乗ってる乗員はブルーカラーの労働者たち。誰でも乗れるくらい宇宙船が安価な乗>>続きを読む
デッカードがとにかく嫌な奴で、いつも無愛想だわ、女を後ろから撃つわと主人公らしくない。だからこそ敵のロイ・バッティの悲哀が一層引き立つ。
この対照的な性格設定はストーリーに説得力を与えていて、人間で>>続きを読む
このレビューはネタバレを含みます
少女が憧れる恋愛を前半に描き、後半はその憧れに潜む危険性と暴力性、更にアイデンティティの確立までを描く。
誰かにラベリングされたり誰かをラベリングするんじゃなく、お互いがお互いを一人の人間として向き合>>続きを読む
役者陣の自然な演技で一気に引き込まれた。
力になってあげたいっていう台詞が出てくるけど、誰かに認めてもらわなくても、誰にも許容されなくても、そこにいるんだよね。
認めるっていう言葉が出てくる時点で壁や>>続きを読む