保守的でコミュニティ意識の強い母親を持つ絶対音感のルディが新しいパートナーを探したり探されたりするラブコメ。
ルディの母親がブラジル人同士での結婚にこだわるのは、人種差別から身を守るために同じ出身同士でのコミュニティを維持したかったからだと次第にわかる。家族というの存在が人種的マイノリティにとっては差別に抵抗する強い味方になり得る良い例。
ただ恋愛感情をやり取りするだけじゃなくて、お互いが何を求めてるのかを察したり話し合うことが必要で、そのためにはまず自分と向き合わないといけない……という超真面目で前向きなメッセージ（a.k.a 余計なお世話）をコメディ調で伝えてくれるのであまり嫌味には感じなかった。
同意のない接触は非常識だとちゃんと明示してくれてるし、必ずしも昔からの知り合いと関係を続けるのがベターとは限らない、といった侵襲性の肯定を極力排した、理想に近いラブコメ。
恋愛が楽しくて人間の価値を高めるものだというような描き方には素直に頷けない部分もあり、何のために恋愛をして何のために同じ時間を過ごすのか、みたいなこともテーマの一つとして物語に組み込んでくれればもっと革新的なものになったはず……。
