本作は例外的に「シネマ」の輪郭を留めているように思えるが、この現象は労働/人種コンプレックスというカフカ的主題に(ナチス占領下のフランスで育った)ストローブ=ユイレが強く共鳴しているゆえと知った。>>続きを読む
リザベス・スコットが噂に違わぬクソ女で安心したが、グリードみたく金に取り憑かれ狂っていくグラデーションを期待してた(人間性の落差が見たかった)んでそこは残念。
キスが悉く欺瞞という面の厚さも考えよう>>続きを読む
まーじで冒頭30分だけなら今年観たどの映画より最高だった説ある。
序盤の駅から反射光の収めかたが卓越してるし、文明の夜はそこら中に光源が転がってるので照明機材も殆ど使われてない生々しさが素晴らしい。都>>続きを読む
久々にショット全振りした映画を観れて満足。冒頭で一瞬スマホが映る以外(ここも現代を意味する記号としてのみ処理される)全く2023年作と思えないのが良かった。
ガラスを隔てた光が反射/屈折して机を鈍く>>続きを読む
観てるだけで肺に異常をきたしそうなスラム、常に画面の半分近くが真っ暗で疲れた。相変わらず白人は排除され、ヴェントーラの痙攣や傾いたカメラアングルなど全てが飽和して不穏この上ない構図が完成する。
帰宅>>続きを読む
トリプル・エクランからガンスみたくショットを多角的に見せるのではなく、重なる歌声が三つの世界を繋ぎ止めている。
急に歌いだすし全く瞬きしてないあたりCGというか恋のマイアヒ思い出して笑っちゃったが、画>>続きを読む
スタンリー・クレイマーあたりが撮りそうな裁判映画。或る殺人から台詞のヘイズ・コードは事実上撤廃されたので(米兵による)少女強姦について踏み込んだやり取りがあるし、彼ほど啓蒙的ではないので退屈はせず。>>続きを読む
前半のみ再見。これまた狭隘な世界で、自分≒他人という哲学めいた問いや入れ込み構造が今読んでるレーモン・ルーセル(クッソ読みにくい!)に少し似てるとか思いつつ。
舞台上の二人を片方ずつ切り返して向かい合>>続きを読む
みんなの言う「運動」も濱口映画においては単なる挙動に留まっているし、ひたすらに狭められた視野へ世界を収めてきた彼であるが、今回明らかに何か変わろうとしている気概が感じられたので収穫はデカい。
端的に>>続きを読む
ブレッソン『罪の天使たち』にはじまり、絵画も包括せんとする亜流芸術史。タイトル直前に『決別』の名高い船の移動撮影がありやっぱここ気に入ってんだなとか思いつつ。
映画史より更に一貫性のない編集だったんで>>続きを読む
再見(2022)。アカデミックな作風にそこまで熱狂してるわけじゃないが、時代の寵児としてやはり観れるものは観ておきたい。
喪服を着たままでいる男の異様な存在感、冠婚葬祭入り乱れる序盤から無媒介的にフ>>続きを読む
とにかく切り返し/発砲の量がエグい映画。登場人物が(同期、相棒、夫婦など)常に一対=二人組として登場するバディ構図もイーストウッド以降は孤立した男へ変わっていく。
序盤の望遠レンズや屋上での短いアクシ>>続きを読む
民主主義の暗部。オペラハットあたりから明らかな作風の変遷が見られる(楽観性からヒューマニズムへ傾いていく)ように、理想主義で固められていたキャプラ映画が次第にアメリカの現実に気付きはじめてる。
救援の>>続きを読む
すまんが合わなかった…。僕はベロッキオ一本も観てないので、どうしても無理して撮ってるとしか思えず。
劇伴は悪い意味で過剰だし、(接吻=服従という)異常心理や倒錯じみた描写が飛び抜けてただけに、逆ベク>>続きを読む
愛の映画。愛ゆえに歴史を書き換え、国家を敵に回した男というフラーらしからぬ話であるが、これが中々面白い(西部劇らしさは皆無)。撮影がジェームズ・ウォン・ハウなので寺院の縦構図、クライマックスの首吊り縄>>続きを読む
やってることは凶暴なキテレツ大百科なんだが、血流ぶっかけやらショットガンBBAやらとにかくテンションが異様で最高。あのバスケットボールは流石に笑うって。
死体に電子頭脳を取り付ける蘇生作戦(時間がきた>>続きを読む
良質な自転車レース映画。『ヤング・ゼネレーション』と双璧をなす傑作(脚本が同じ人)で、ギアチェンジやブレーキの瞬間にアップ・主観の短いカットを重ねるMVぽい編集が超かっこよかった。
タイヤと脚の回転>>続きを読む
ジェームズ・スチュワートという俳優イメージから長らく抑圧されてきた、彼の性欲メタファーとしての(恐らく童貞にしか見えない)巨大ウサギ。
ゆえに結婚やセックスにばかり過敏でファンタジーを信じない輩は見る>>続きを読む
好みでいえばこちらかも。青山真治『WILD LIFE』のクライマックスと同じ薄汚れた廃墟から始まるオープニングが暴力性のピークで、あとはもう只管にやるせなさだけが引き伸ばされていく。
前作で実行犯を倒>>続きを読む
冷徹さを見せるためだけに行われるモブ殺しが徹底して俯瞰から処理され、感情移入どころかヤバい以外に感想が出てこない。
妻が死んだ事より敵を殺すことしか興味ない哀川翔が、小日向文世を誤射してしまい流石に慌>>続きを読む
土偶みてーな顔色のジョーン・コリンズが悪女という歴史物であるが、主役は常にヘソ出してる彼女や大王ジャック・ホーキンスではなくやはり大ピラミッド。とはいえその全景はラストしか登場しないのだが、大いなる建>>続きを読む
マジでずっと何やってるか全く分かんないのに面白い。主人公すら状況を理解してないし、敵味方を描き分けることなくサスペンスだけが無限に引き伸ばされていく狂気はクルーゾーの脳内を見てるみたい。
自宅と精神病>>続きを読む
サイレントの続編をトーキーで撮るという難題への回答が、ここからアメリカ神話に統合されると思うと興味深い
徹底して見せない不可視サスペンスが恐怖演出となるのは『M』から戦後スリラーまで変わらないし、サ>>続きを読む
出てくる女の子がみんな型落ちのアンナ・カリーナみたいで怖い。ファッションなんて革ジャンしか知らんのでこれは評価できんが、パパラッツィにもあった出崎の三度パンみたいな演出だけ印象に残る
社畜の限界ヴァカンス、これもある意味不自由についての映画。
ロジエがなぜ船にこだわるのかといえば、そこには都会的なルールも「壁」という物質的な隔たり存在しないし、他のどんな交通機関よりも素肌で自然を享>>続きを読む
処女長編という括りで相対化してみてもトリュフォーやユスターシュよりロジエの圧倒的な育ちの良さが出てる
しっかし長すぎるぜこれは……マジ尺半分で全然いける話なのに引き伸ばしまくり、五回くらいエンドロー>>続きを読む
もう忘れかけてるが、内側(同業者)から見たゴダールという視点は到底我々の理解が及ぶ地平にはない。「ここは使われないだろう」という台詞も彼にしか許されない言葉であるし、当然貴重なアウトテイクを収めている>>続きを読む
BBの眼球が死んだ魚みたいで怖い。下世話な記事へ印刷される盗撮写真のため、ダーティハリーみたく望遠レンズで岸壁から彼女へピントを合わせるパパラッチ共。
そのレンズはおろか、存在全てが神聖な映画キャメラ>>続きを読む
これは好き。映画製作≒舞台という、プロデューサーやら監督/俳優間の内部対立が分かりやすく投射されてるだけなんだが、こうした「不自由さ」についての映画をそれと全く無縁であったとしか思えない自由人ロジエが>>続きを読む
初ロジエ。なんか思ってたのと違ったーーー!
けど感情を隠さないヨーロッパ然とした人物像は掴めたし、ヌーヴェルヴァーグ後の映画ではしばしば自立した強い女性と幼稚な男性が対比構図で現れるのだが、本作はまさ>>続きを読む
銃だけが存在意義である男女が惹かれ合う序盤からもう救いようがなく、他者からの干渉を一切絶って相互的に犯罪へ身を浴していく。
精肉工場を走り抜けていく俯瞰は従来のノワールにはないアングルだし、二台の自動>>続きを読む
ブルーレイ神。風に揺れるモーリン・オハラの白エプロンとウェディングドレスがアイルランドの豊穣な気候を可視化する。やはりラストより冒頭の何でもない合唱と隊列の美しさにこそ泣きそうになるし、並の監督なら最>>続きを読む
『裏窓』『デジャヴ』と同じ"フレーム"を越境していくメタ映画であるが、上記の二本は窓・立体画面という物質であるのに対して、本作では舞台装置に加え作劇性という不可視的な領域までもが踏み越えられていく。>>続きを読む
消えた陪審員と同じイメージの羅列。緩やかなパンで印象付けられる時計屋が既にクライマックスの舞台となることを暗示しているのだが、この尺でスパイ物までやるのは流石に欲張りすぎかと。
予知夢は因果として弱い>>続きを読む
タイトルがどストレートで秀逸。指名手配犯の潜伏先らしい療養所へ私立探偵が異常者を装って入所する屋内スリラー。しかし実態は暴君看守とボスが支配している刑務所で、窓枠やこいつらの輪郭が白い壁に影を落とすと>>続きを読む
大脱走よりも寧ろ『第十七捕虜収容所』で、捕虜とは思えない楽観性を波及させているがベッケルやブレッソンのような緊張感も強かに持ち合わせている傑作。
単独脱走を試みる元士官が、外壁まで到達し得たか否かを知>>続きを読む