囚人13号さんの映画レビュー・感想・評価 - 28ページ目

緑のそよ風(1945年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

戦時中極端に二分化された産業映画のうち、こちらは戦争と全く無縁の方。

田舎の小さな町、牛を飼って慎ましく暮らしている農家ロビンソンパパ。ゾウを貸し切るシーンはある意味クライマックス。
部外者として町
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Die Pest in Florenz(原題)(1919年製作の映画)

3.5

このレビューはネタバレを含みます

舞台は14世紀ヨーロッパ、理不尽な宗教政治によって成り立っている街に一人の美しい娼婦がやって来て、彼女の影響力に気づいた悪い長老たちは殺害を企てるが逆に群衆の怒りを買い、圧政政治は終わりを迎える。>>続きを読む

ヴァリエテ(1925年製作の映画)

4.3

エミール・ヤニングスの素顔が見える一本。『最後の命令』と本作を見比べて主演男優が同じだなんて絶対にわからないと思う。
曲芸師夫婦と共に仕事をする若いブランコ乗りの三角関係話だが結果的には妻によって身を
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大疑問(1919年製作の映画)

3.5

全長99分版なのに低画質すぎて正当な評価が下せねー。グリフィスとギッシュの知られてない方の一本、活劇味もありつつ映像の可能性に極振りした主題なので興味深い。アップの反復が事件の目撃(トラウマを植え付け>>続きを読む

西部番外地(1970年製作の映画)

2.5

ジーン・セバーグがこんな映画に出ているなんて知らなかった。

序盤、人の死体から剥き出しになっているはらわたが出てくるので何とも嫌な印象。外国のBlu-rayだが、字幕をonにしてから一言目までが長く
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マニアック(1934年製作の映画)

1.0

屍人を蘇らせるマッドサイエンティスト、変装名人の助手に安置所からとってこいと命令し、彼がムリでしたと帰ってくると怒って泣き出す。するとワシが生き返らせたるから死ねと銃を手渡し、自分が撃たれちゃうショー>>続きを読む

ボディ・アンド・ソウル(1947年製作の映画)

5.0

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ボクシング映画、フィルム・ノワール永遠のベストワン。

もはやスポーツではなく組織の金儲け事業へと成り下がったボクシング界(=アメリカそのもの)で、道具としてチャンピオンに仕立て上げられた男の葛藤が描
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喜劇の大将(1962年製作の映画)

4.0

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りロバート・ヤングソンがかき集めたサイレント・コメディ名場面集の第三弾(『喜劇の王様たち』→『喜劇の黄金時代』→本作→『爆笑二十年』→『シネ・ブラボー!』)。

世相と喜劇映画史を1895年から19
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妖花アラウネ(1928年製作の映画)

3.0

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1918年より4度制作されている人気テーマの作品で、死刑囚の精液で人工授精した娼婦から生まれた美しい女が男を破滅されるという話。
このヴァンブ的な役割であるAlrauneを演じるのはブリギッテ・ヘルム
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太陽の200万ドル(1971年製作の映画)

2.0

普通に映画として面白くない。

クラウディア・カルディナーレのファンが観るだけの作品、そうでなくとも彼女以外見どころのない映画かな。前半の現地人との絡み、後半の裏切り者追跡シーンがどうも素人臭いといい
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ブキャナン・ライズ・アローン(1958年製作の映画)

4.0

保安官一味と五万ドルの入った袋を挟んで撃ち合うクライマックスの構図が素晴らしい。数的不利な状況に置かれたスコットが脱却する方法が的確に捉えられ、欲望/争いの本質を中心に設置してしまうという象徴性が最高>>続きを読む

鉄仮面(1929年製作の映画)

3.8

500円dvdはフェアバンクスジュニアのナレーション付きの短縮版(72 分)だが、ビデオはサイレントの完全版(95分)だった。

1921年の『三銃士』から実に8年経過しての続編だが、勿論白黒なので年
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Went the Day Well?(原題)(1942年製作の映画)

3.8

DVDタイトル『小さな反撃』
小さな戦争寓話を描いた佳作が多い英イーリングスタジオ制作の戦争映画。

乾いたタッチが特徴のアルベルト・カヴァルカンティ、架空の小さな村に忍び寄る戦争の脅威(ドイツ兵)と
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ハリウッド・パーティー(1934年製作の映画)

2.5

ミュージカル調のMGMスター顔見せ映画。ターザン(ワーナー)のパロディ『征服王シュナーザン』の主役、ジミー・デュランテが人気獲得のため探検家から本物のライオンを買い取ろうと豪邸でパーティーを開く話なの>>続きを読む

喜劇の黄金時代(1957年製作の映画)

4.0

1910〜1920年代の喜劇映画の名場面集で、チャップリン、キートン、ロイドが全く登場せず、彼らの師匠であるマック・セネットのキーストンコメディやハル・ローチプロの作品、そして我が国では全く評価されて>>続きを読む

三銃士(1921年製作の映画)

4.0

娯楽大作。フェアバンクスは監督にも恵まれてたはず。しかし登場人物も多く、この世のものとは思えないくらいの低画質だったので顔が判別不能。ダグラスの剣術だけはすぐに分かって、今生きてたら間違いなくフェンシ>>続きを読む

町の人気者(1943年製作の映画)

4.5

メイヤーお気に入りの一本、優しい雰囲気に包まれた戦中映画。
登場人物皆が本当に善人で違和感あるぐらいに性格悪いやつが出てこない、しかし日常に孕む小粒エピソード全て多幸感に包まれてる愉快で物悲しいヒュー
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腰抜け二挺拳銃の息子(1952年製作の映画)

3.8

前作より面白く、クロスビーとデミルのワンカット出演が豪華。
元ネタが分からなくても面白いパロディ精神。小林信彦「世界の喜劇人」枠

マラカイボ(1957年製作の映画)

3.0

巨匠とまではいかないが中々面白い監督となったコーネル・ワイルド初期の監督/主演作。

殆どグダグダロマンスの冒険活劇だけれど、ワイルド&ジーン・ウォーレスの夫婦共演作として楽しめる。

一人息子(1936年製作の映画)

4.1

既に独特の語り口が完成している。後年は東野英治郎の役どころとなった哀愁ある年寄りを当時32歳の笠智衆が演じていることは相当興味深い。
親子が映画館で観ている『未完成交響曲』が小津映画と対照的に躍動感溢
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東京暮色(1957年製作の映画)

5.0

このレビューはネタバレを含みます

個人的に小津安二郎の最高傑作だと信じているのだが本作だけは未だ評判が芳しくない。もはや脚本のみならず、小津のフィルモグラフィ上においても負の要素として位置付けられている『東京暮色』を誰か救ってくれ。>>続きを読む

街の灯(1931年製作の映画)

5.0

このレビューはネタバレを含みます

多重人格者や新聞売りの少年にまで振り回される、過剰なまでに悲劇的な仕打ちはチャップリン自身のアイデンティティ(無声)が剥奪されかけている事を暗示する。
その最たる例が逮捕であり、彼は『チャップリンの冒
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西部戦線異状なし(1930年製作の映画)

5.0

永遠の反戦映画ベストワン。マイルストンは『激戦地』や『パープル・ハート』も悪くないが本作が圧倒的。
俯瞰から豆粒の如く物質的に捉えられる兵士たち、流れるようなパンと機関手/突撃隊の切り返しでリズム
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イントレランス(1916年製作の映画)

5.0

アメリカ映画の父は我々の想像を遥かに超越した偉業を成し遂げている。四十世紀分の物語を同時進行というよりスクリーンをキャンバスのような感覚で全てを支配したうえで、自在に操作してのけた作家はその後百年続く>>続きを読む

プラーグの大学生(1913年製作の映画)

2.5

ドッペルゲンガー映画の元祖だが文法が追いつかず、カメラはその場から動くことがないしアップもない舞台的構図。根本的な指摘をするとミス・キャストがほとんどだき、分身はそっくりさん程度で令嬢の魅力は皆無ね。>>続きを読む

メトロポリス(1927年製作の映画)

4.9

初見時、曇ってて全く分からなかったのにぶっ飛ばされた。傑作に画質は関係ない

プレイタイム(1967年製作の映画)

5.0

年に五回は絶対観てる。ストーリーは無に等しいのに無限的、そもそも映画の概念を諸々無視して映画=人生=お遊びの地平で完成させてしまうタチ神すぎる。
というか未だ再見の度に新発見がある時点で映画と矛盾して
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