囚人13号

Die Pest in Florenz(原題)の囚人13号のネタバレレビュー・内容・結末

Die Pest in Florenz(原題)(1919年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

舞台は14世紀ヨーロッパ、理不尽な宗教政治によって成り立っている街に一人の美しい娼婦がやって来て、彼女の影響力に気づいた悪い長老たちは殺害を企てるが逆に群衆の怒りを買い、圧政政治は終わりを迎える。

その後町は狂ったように愛、愛、愛と恋人たちが毎日遊んで暮らすようになり、そこへやってきた修道士が後半の主人公であるが彼も娼婦の魅力に逆らえず、神に叛いたという自責の念との板挟みに苦しむがそれもすぐに忘れ、町は前にもまして酷く堕落していく。
そんな中ペストが流行し始め、他の町では次々と人が死んでいくが愚か者たちはそれに気づかず今日も踊り狂っているのだった…。

ラングの脚本は『イントレランス』の挿話を意識しているとしか思えないほど批判的であるが、ペストの流行と敗戦当時を重ね合わせたある種の表現主義映画でもある。

前半の暴徒化した群衆が長老裁判所へ押しかけるシーンは『メトロポリス』を示唆し、ペストを体現する不気味な女性は『死滅の谷』における死神のビジュアルを容易く連想させる。
娼婦の家の庭に設置されているこの上なく悪趣味な噴水(登場はマジ一瞬)を確認するだけでも観る価値あり。
囚人13号

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