囚人13号さんの映画レビュー・感想・評価 - 5ページ目

ネクスト・ゴール・ウィンズ(2023年製作の映画)

3.7

かなり好き。共に祈り、威嚇し歌わせることでチームの団結を見せつつハカもどきが精度を増していく反復も良い。
集大成であるW杯予選は(キャメラともども)ボールを追えてなかった前半戦からマイケル・ファスベン
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ジャン=リュック・ゴダール/遺言 奇妙な戦争(2023年製作の映画)

1.5

不愉快

フッテージ以下の羅列とゴダール"風"サウンドモンタージュは尺以前に映画として成立してないし、その枠を超越するのがゴダール云々という意見はフィルターがかかってる。

強いて言語化するなら「イメ
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蛇の道(1998年製作の映画)

4.5

やーばいな。撮影が田村正毅さんでアングルを巧みに使い分け、過剰な切り返しも心理演出へ還元してしまう感覚こそ現代日本が欠いている才覚であるし、クライマックスの縦構図もジョン・オルトンみたいだ。

省略と
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海底王キートン(1924年製作の映画)

4.0

ロイド然りシチュエーション劇も船上となれば画面が傾き、その傾斜から心霊現象が生じて優勢関係が逆転していく。限られた空間/人数の展開をギャグセンスで繋ぎ止めていくミニマルな映画的興奮から、ラストでしっか>>続きを読む

みなに幸あれ(2023年製作の映画)

2.0

幸福とは誰かの犠牲の上に成り立っている云々。清水崇も観れてないしこれがJホラー座標上のどこへ位置づけられるかもサッパリ分からんが、割とふざけてるので脱力して楽しめまっせ。しかしエアプ勢的には色々雑すぎ>>続きを読む

フォーエヴァー・モーツアルト(1996年製作の映画)

5.0

このレビューはネタバレを含みます

正真正銘の遺作が公開されるということで、未登録の中では一番好きなので投稿しようかと。本編に一切触れることなく、数年前に記録はじめた時に書いていたメモが奇跡的に別のところに残ってたので、恥を承知で投稿し>>続きを読む

日本人の勲章(1955年製作の映画)

3.7

常に片腕を隠したトレイシーが醸し出すサスペンス、よそ者に殺気立つ町との距離が詰められると暴力が生じる。列車を降りる/乗るという単純な反復過程から、エモーションを微塵も感じない頽廃感がゴーストタウンの西>>続きを読む

アメリカ消防夫の生活(1903年製作の映画)

3.5

火事場からの救助という時間制限によってスリルが生じる。本作では消防士の"夢"がカッティングなきラストミニッツレスキューを作動させているのだが、この「救出」ないし「捕獲」といったスペクタクル的運動を誘引>>続きを読む

ドリーの冒険(1908年製作の映画)

4.0

何気に初見。ドリーショットではなく運動する被写体を追ったパンやフォローといった前段階的な技法もこれ以前には存在していないのか知りたい。
娘を捜す父と監禁する誘拐犯の決定的に異なった視点が交わることで切
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ウエスト・サイド物語(1961年製作の映画)

2.5

再見。マジで小学生以来だけど実はこの程度かなと。カット割りすぎて楽曲とダンスの同期が延々と引き伸ばされ、遂に達成されないまま終わるので冗長に感じる

五本の指(1952年製作の映画)

3.7

世評とは少し距離あるけど面白かった。イギリスとドイツの情報戦を牛耳り、金にしか興味を示さないスパイが両国から追い詰められていく様は50年代の資本主義社会(アメリカそのもの)を暗喩している。

後にマン
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思ひ出の曲(1936年製作の映画)

4.0

お上品なオペレッタ風。この尺なのに豪華なコスチュームプレイしてるのでUFAの互換作品知りてーとか下世話なことしか思い浮かばなくてすまん。
声帯振動とノイズが無理で頭割れそうだったけど、噂通りメイド服が
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ボーはおそれている(2023年製作の映画)

2.0

このレビューはネタバレを含みます

ねぇ、、、ずっと何やってんの?

ウォレスとグルミット、危機一髪!(1995年製作の映画)

4.5

ひつじのショーン一気見してたら弟もハマってきたんで一緒に観た。ギミックや運動量がほんとキートンのそれで、人間ロマンスの背後で多発的に動物スリラーが起こっている興奮と気付く/気付かないサスペンスはニック>>続きを読む

ダム・マネー ウォール街を狙え!(2023年製作の映画)

3.6

何の予備知識もなくふつうに楽しめるし、キャプラ映画みたいな小市民の団結には一つ普遍性がある。
巨大資本に民主主義が勝利を収めるという古典的な図式がネット社会へ置き換えられ、膨大な情報量もミーム動画風に
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人でなしの女(1924年製作の映画)

3.8

迷ったけど一応こっちも登録しておく。従来のレルビエや彼に近いスタイルのガンス/デリュックら印象派ともまた違って、世界の芸術流行が収斂したような画面は結局表現主義に見えるかも。自動車事故の加速モンタージ>>続きを読む

人でなしの女/イニューメン(1986年製作の映画)

3.8

134分全長版。前半が死ぬほど冗長なのでカット版のがおもろい説あるが、次第に美術設計とモンタージュが調和し、文字通り映画が視覚芸術へ溶暗していく。
やはりガンスの影響も大いに受けつつ表現主義というより
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チャーリーズ・エンジェル フルスロットル(2003年製作の映画)

1.5

ヌメついた動きがプレステ2みたいで気持ち悪い。CGとはいえ何でもない会話程度でもこの質感のシーンが幾つかあって、マジで二人くらいバーチャル説あるぞこれ。

少林サッカーみたいな徹底した脳筋映画を撮れる
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脅迫者(1951年製作の映画)

4.5

回想シーン中へ更に別の回想が入ってくる入れ込み構造も散らかりすぎず、断片的な証言が事件の本質を明かして最後は現在形でサスペンスが展開される模範。
組織メンバーが潜んでた山小屋の湿気なんかはウォルシュっ
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罪と悪(2024年製作の映画)

3.5

とにかく全部見せようとする、描写しすぎる近代の邦画潮流がキツいしヤクザとかフラッシュバックとか要らん部分が多すぎるんだけど、プロットがかなり良いと思う。性被害と友情。

田舎道の素晴らしい質感は土地が
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サブマリン爆撃隊(1938年製作の映画)

3.7

フォードは軍隊を西部の土壌以外にも上空/海上とあらゆる場へ配置してきたが、こと海軍となると狭隘な空間に男どもの血潮が停滞して息苦しい。

副官くらいの初老男(J・ファレル・マクドナルド)が権力に見合っ
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国務省の密使(1952年製作の映画)

4.2

機密文書を守るスパイ物で、敵対関係がとっ散らかってるけどかなり面白い。
列車の扱いがターナーぽく、決定的瞬間が停電のうちに起こるため真実が闇へ宙吊りにされるサスペンスはラストでタイロン・パワーが停電
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アムステルダム・コネクション(1978年製作の映画)

2.0

ロッキーのテーマとストップモーションで終劇させるアジアの剽窃文化はカンフー映画にまで及んでいたという史実。リー亡き香港電影の切実な不安漏れまくりでキッツいぞ。
売春婦の駄乳<金的蹴られて悶絶するヤン・
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(1926年製作の映画)

3.7

高画質で観るとまた印象変わると思うけど、人々が行進していく足元を捉えたショットで泥濘に流れる川/水溜まりの異様な煌めきが忘れ難い。等方向へ行進する労働者連の団結の証「赤い旗」が手渡しで先頭へ回っていく>>続きを読む

映画 ひつじのショーン~バック・トゥ・ザ・ホーム~(2015年製作の映画)

4.8

多分唯一観てるショーン映画だけど、なかなか再見する機会がなくって。

当時小学生だったんで記憶が曖昧だが、親に隠れてめちゃくちゃ泣いたことだけは鮮明に覚えてる。牧場主を探して町にやって来るも柵の外界に
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サタンタンゴ(1994年製作の映画)

1.5

カットが割れないことを長回しと騙り、醜く肥大した尺と対峙し得たという達成感から「すごい映画だった」と錯覚する。
ただ長いだけ、長い≠叙事詩≠素晴らしいと欺瞞を見分けられるよう。反商業を謳った自慰行為を
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暗黒への転落(1949年製作の映画)

4.0

社会の頽廃を叫ぶボギーの目が潤んでて泣きそうになった。もはや疑いようのない反国家映画で、警察組織の欺瞞と誘導尋問を撃つべく国外追放覚悟で証言台に立つ男たちも法の前に力尽きる。
『追われる男』然り男二人
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崖の上のポニョ(2008年製作の映画)

4.0

ジブリは数年間隔を開けると全く違う映画になるので、こんなグロテスクだったのかと気持ちを新たにする。人間へ進化途中のポニョの半魚人的なビジュアルは(一番近いのがオオトリ様)大量生産型。
ある意味クライマ
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風立ちぬ(2013年製作の映画)

4.0

空への望郷というか、より具体的には「浮遊への欲望」とも言うべき最もジブリ的な主題が一つ神話性を失ったとしか思えない点で、かなり遺作めいてたかなと。
そこには飛行石やホウキで飛ぶことの出来ない人々の現実
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ウォーキング・ヒルズの黄金伝説(1949年製作の映画)

4.3

デスバレーで撮影されたクライマックスの大砂塵、視界が遮られる中での対決は「早撃ち」よりも敵との距離間隔を把握することで決着が付けられる50年代西部劇を予告している(本作は現代劇なんだけど)。
スコップ
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瞳をとじて(2023年製作の映画)

3.6

アナ・トレント然りリュミエールのフリップブック然り、決定的なのは映画館をミツバチのささやきではなくニューシネマパラダイスへ、「発見」から「再見」の空間とする年月。スタイル崩してまで自語りに入ってきたエ>>続きを読む

インディアン渓谷(1946年製作の映画)

4.0

流行らそうとしすぎてる主題曲も良かった。今回も町を共同体として描くターナー、しかし一人の疎外者が話の通じない相手を怒らせたために『星を持つ男』みたく争わないという選択肢は消える。
群衆を順にフォーカス
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バッド・ティーチャー(2011年製作の映画)

1.5

キャメロンがいい感じに熟してる。熟キャメ。婚期逃し女教師のまつざか先生みたいな熟ディアス最悪すぎて笑う。低俗な学園モノなのに監督より年上の三十路が色々無理してて何か興奮した(多分褒めてない)。
男性便
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かがみの孤城(2022年製作の映画)

3.7

途中からだったけど録画してたんで冒頭からそこまで見て補完。劇伴の過剰さ以外は原作が好きなのでわりと擁護派です。
まんまとジャン・コクトーやん!とか言って恥ずかしくなったが、何となく居心地悪いのは鏡の幽
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十字架の男(1943年製作の映画)

4.3

こちらは凄い傑作で、反戦映画っぽい構成だった。戦場神父(兼医師)という神様みたいな主人公とある兵士の信仰心の復活。詩的な言い回しで罵倒する女は流石に笑ったけど…。

ロッセリーニにおける教会や群衆は寧
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ギリシャからの帰還(1941年製作の映画)

3.5

筋トレしながら見たので前半あんま記憶なし。空軍映画なのに称揚要素は控えめ、空中戦のモンタージュなんかは明らかにアメリカを模倣してる慎ましさが好感触。
ただ帰還した主人公が迎えられるラストカットの仰角然
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