小さんの映画レビュー・感想・評価

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王国(あるいはその家について)(2018年製作の映画)

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濱口竜介監督の『ハッピーアワー』の脚本を共同で担当した高橋知由さんの脚本ということもあり鑑賞しようと思っていた作品。

しかし、2023年12月の公開はポレポレ東中野のみというのはともかく、20時から
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(2023年製作の映画)

3.9

「芸人だよ、バカヤロー」。北野武監督に「何なんだ、お前は!」と怒鳴ったらこう返されそうな感じの映画かな。

「笑われるんじゃねえぞ、笑わせるんだ」「客に媚びるなよ、何がおもしれぇかはオメェが教えてやれ
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正欲(2023年製作の映画)

3.8

このレビューはネタバレを含みます

5人の人物によって現代社会を描いている、のかな? 描かれている社会を図示し、私的定義すれば次のよう。

【図】
◉゜

【定義】
・二重丸の内側で大部分を占める黒丸は「マジョリ
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ゴジラ-1.0(2023年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

映像は素晴らしいけれど、演出がなあ…という感想。過剰な感情表現に加え、言葉でなんでも説明するというバタ臭い演出に気持ちが冷めてしまう。映画に芸術性を求める方々には評判悪いだろうなあ、という気がした。>>続きを読む

キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン(2023年製作の映画)

3.9

このレビューはネタバレを含みます

面白いとは思わなかった。ディカプリオ演じるダメ男アーネストの葛藤がよく分からなかった。それで原作(『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン──オセージ族連続怪死事件とFBIの誕生』デイヴィッド・グラン著)>>続きを読む

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)

4.0

2023年9月、テレビ番組をザッピングしていて、NHKBSのカズ・ヒロさんの特集番組に目を止めた。オードリー・ヘプバーンの若い頃と晩年のポートレートをファインアート作品として作成していた。

カズ・ヒ
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ミステリと言う勿れ(2023年製作の映画)

3.8

このレビューはネタバレを含みます

映画公開後、TVerでテレビ放送12話全部配信をなんとなく見てしまった。主人公の探偵役は、どんなことでもよく知っていて、細かく観察できて、記憶力が抜群という一般人とは異なる特殊能力と、その代償としてな>>続きを読む

(2023年製作の映画)

3.9

このレビューはネタバレを含みます

【前提】
・宝くじを買うのは億万長者になりたいと考える人である。

【事実】
・宝くじは確率と投資金額のリターンを計算すると罰金同然である。

【結論】
・宝くじを買うのは頭が悪い人である。


「庶
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市民K(2019年製作の映画)

3.5

「ロシア・ウクライナ戦争」は何故、長期化しているのか。その原因のひとつと思われる「プーチン政権が崩壊しないこと」の理由が腑に落ちる作品。

世界的に有名な反体制活動家ミハイル・ホドルコフスキーのドキュ
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グリーンマイル(1999年製作の映画)

3.9

このレビューはネタバレを含みます

長尺だけど飽きさせないストーリー、なるほど~のオチ(オカルトOKの前提ですが)。で、我流解釈(私的納得感)にあたっては、マーティン・スコセッシ監督『沈黙ーサイレンスー』を観た後に読んだ『ふしぎなキリス>>続きを読む

黒い司法 0%からの奇跡(2019年製作の映画)

3.5

このレビューはネタバレを含みます

素材、内容は良いけど、ドラマとして盛り上りにかけるかな、 静かな勧善懲悪? というのが第一印象。

その後、原題が『JUST MERCY』(「公正、慈悲」)であることを知り、クグッていくうちに、何だか
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13th 憲法修正第13条(2016年製作の映画)

4.0

「奴隷制と不本意な隷属を米国内では禁止する。ただし犯罪への処罰は除く。」(アメリカ合衆国憲法修正第13条)

<犯罪者は本質的に国の奴隷である>(本編より)

アメリカの人口が世界に占める割合:5%
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パーフェクトブルー(1998年製作の映画)

3.9

このレビューはネタバレを含みます

虚構と現実とか、入れ子構造とかについて、アレはこう、コレはこう、みたいな考察をしないとよくわからない映画は、面白そうと思うものの、考えだすと面倒くさくて苦手。わかったような気になっても、わかってない気>>続きを読む

国葬の日(2023年製作の映画)

3.5

安倍晋三元首相の国葬当日に、国葬に対する国民の意見をできるだけ幅広く、偏りなくインタビューし、それを大島新監督の国葬反対目線で編集するのではなく、国民の姿として示そうとしたと思われるドキュメンタリー。>>続きを読む

キリング・オブ・ケネス・チェンバレン(2020年製作の映画)

4.0

異例のヒット中らしい映画『福田村事件』と同じく、恐怖心を抱く善良な個人が集団になると殺人をも厭わなくなることを映しているけれど、衝撃度、緊迫感、気分が悪くなるという点では本作の方が遥かに上。

意識ま
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アリスとテレスのまぼろし工場(2023年製作の映画)

3.3

エンドロールに流れる主題歌が中島みゆきの新曲『心音』ということで鑑賞。SF的な要素は舞台として割り切り、キャラクターの心情を味わう純文学的な作品かな、という印象。

作品のことについてググっていくうち
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あのこは貴族(2021年製作の映画)

3.3

記録によれば2021年3月に映画館で鑑賞した本作。その出自から不自由を強いられる主人公の貴族の女性が、男性を介して繋がった一般ピープルの女性(ミキティ)の生き方、言葉に触発され自分らしく生きることに目>>続きを読む

福田村事件(2023年製作の映画)

3.9

森達也監督がずっと考えていることを多く盛り込んだ映画かな。女性記者のエピソードなど現代的な要素も加え、説明臭も強めなことから言いたいことはとてもわかりやすい。

優しく、善良な個人が集団になると、とん
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イノセンツ(2021年製作の映画)

4.0

ホラー映画って怖がらせることがメインテーマだから演出に重点をおいて観ようと臨んだら、ホラー感があまりなく、子どもを描くことで大人(親)の危険性を示している作品のように感じた。

子どもとは何か。エスキ
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ぼけますから、よろしくお願いします。~おかえり お母さん~(2022年製作の映画)

4.0

お母さんを愛するお父さんの姿が眩しすぎた。お母さんを思う心と行動に圧倒された。二人の関係に自分の未熟さを自覚させられ、胸がチクチクした。

愛って時として相手より自分の気持ちを優先しがちで暴力に似てい
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カモン カモン(2021年製作の映画)

3.5

子育て、家族関係について、多くの人が時間をかけて経験、学んでいくことを効率よく描いているような気がする。子育てを終了したオジサンにとって刺さること、ハッとするようなことがなく、正直言うと退屈だった(強>>続きを読む

ベルファスト(2021年製作の映画)

3.9

ケネス・ブラナー監督の半自伝的作品で、小ぢんまりとした良作という印象。北アイルランド紛争の激化で、プロテスタントの強硬派がカトリック教徒の家を焼き討ちするなど緊張感のある環境にもかかわらず、主人公バデ>>続きを読む

CLOSE/クロース(2022年製作の映画)

4.3

このレビューはネタバレを含みます

いい映画って、人々の興味を引き付けつつ、人間、社会の本質をきちんと描いている気がするけれど、本作もそうした1本ではないかと。

誰しもが思い当たるフシのある思春期の変化をとても切なく描いているけれど、
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バービー(2023年製作の映画)

4.2

このレビューはネタバレを含みます

ジェンダー問題、女性(男性も?)の自立みたいなテーマもさることながら、社会構造に切り込み、<人がより自分らしくなる、人間らしくなること>とはどういうことかを鮮やかに描き切っている気がするけれど、どうか>>続きを読む

素晴らしき哉、人生!(1946年製作の映画)

3.9

映画観て、久しぶりに涙が出た。媒体がネット配信ということもあり、途切れ途切れに観たというのに、ベタと言えばベタなクライマックスなのに。

不思議だったので、ググってみたら「感極まって涙が出るのはなぜ?
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ぼくたちの哲学教室(2021年製作の映画)

3.8

北アイルランド、ベルファスト。プロテスタントとカトリックの対立が長く続いた同地域は発展が遅れ、子どもたちの教育環境としてふさわしいとは言えない雰囲気。

同地域の男子小学校では主要科目として哲学を教え
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さらば、わが愛/覇王別姫 4K(1993年製作の映画)

3.9

全く予備知識がなかったものの、評価が高いというだけで鑑賞。レスリー・チャン演じる女形の程蝶衣(チェン・ディエイー)の切なさを、美しい演技、映像が一層引き立て、観る者に「感情の絆」が生まれてしまう作品か>>続きを読む

僕と頭の中の落書きたち(2020年製作の映画)

3.8

このレビューはネタバレを含みます

人生の真実を語る神父役のアンディ・ガルシアが、ただただカッコいい。

高校3年男子の主人公は統合失調症を患い苦しんでいるけれど、青春映画らしく、好きな女の子や家族などとアレコレありながら、病を取り除く
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君たちはどう生きるか(2023年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

世界が自分の思い通りにならず苦しい気持ちの時、オジサン(自分)は世界がめちゃくちゃになって欲しい、あるいはこの世界から消えてしまいたい、と思うけれど、少年の頃は世界を自分の理想の姿にしたい、と思ってい>>続きを読む

友だちのうちはどこ?(1987年製作の映画)

5.0

不安で不安で、いてもたってもいられない−−。ちょうどそんな気持ちになった少し前に鑑賞した。少年の気持ち、よく分かる。

自分のせいで大変な問題が発生するかも、どうしよう? そんな不安が頭から消えない。
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ONODA 一万夜を越えて(2021年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

「純粋で、任務に忠実」「信じるものを信じたい」。肉親の言葉よりも上官の命令、それは神託。

「武士ではなくヨブ」。フランス人のアルチュール・アラリ監督は小野田寛郎をそのように見たのかもしれない。

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護られなかった者たちへ(2021年製作の映画)

2.5

このレビューはネタバレを含みます

映画レビューでしばしば目にする「邦画の悪いところが出た」という意味が本作でようやくわかった気がする。商業映画となると日本人内輪ウケのエモーションで包んでしまう。世界に通じる普遍的なメッセージを持ちうる>>続きを読む

隠し砦の三悪人(1958年製作の映画)

4.5

このレビューはネタバレを含みます

理想と現実の争い。フィクションの世界なら理想が勝つのが王道だけど、「嘘臭さ」をどう克服するかが問題なのだろうと思う。エンタメ感の強い本作のような作品ならなおさら。

お家再興を託された雪姫の脱出(理想
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赤ひげ(1965年製作の映画)

4.0

「午前十時の映画祭」で鑑賞。幕府の御番医になるため長崎遊学を終えて江戸に戻ったエリートの青年医師の保本が、貧乏人相手に黙々と治療を施す赤ひげがいる小石川養生所に配置されクサる。しかし赤ひげはスーパー医>>続きを読む

空白(2021年製作の映画)

3.5

このレビューはネタバレを含みます

すぐ怒る人(お父さん)と、怒れない人(スーパーの店長)の対立を描いた物語。自分を守るためコミュニケーションを断絶し、不都合に正面から向き合わないという点が共通しているけど、その方法が両極端。

(以下
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MINAMATAーミナマター(2020年製作の映画)

3.5

ちょっともったいない気がした。写真家ユージン・スミスの作品テーマは<公害の悲惨さと人間の美しさと>(https://www.buzzfeed.com/jp/naokoiwanaga/minamata->>続きを読む

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