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素晴らしき哉、人生!の小のレビュー・感想・評価

素晴らしき哉、人生!(1946年製作の映画)
3.9
映画観て、久しぶりに涙が出た。媒体がネット配信ということもあり、途切れ途切れに観たというのに、ベタと言えばベタなクライマックスなのに。

不思議だったので、ググってみたら「感極まって涙が出るのはなぜ?」という見出しの日経新聞の古い記事を見つけた。
(https://www.nikkei.com/article/DGXNASGG1100I_S0A510C1000000/)

<東邦大学の有田秀穂教授は、涙を誘う映画を見る実験で協力者の脳の活動状況を調べ、ある共通の傾向を見つけた。涙を流す前には必ず、額のほぼ中央部にあたる「正中前頭前野」と呼ぶ場所の活動が急激に高まったという。>

<涙腺を刺激するのは神経の興奮を抑える副交感神経で、日中働く交感神経とは違う。有田教授は「正中前頭前野は、起きながらにして副交感神経を働かせる引き金の役割を担っている」と考えている。その効果は一晩の睡眠に相当するほど大きいらしい。>

<喜びも悲しみも一種のストレスといえる。有田教授は「社会生活を送るなかで人間は、涙を流すというストレスの解消法を身につけたのではないか」と推測している。>

感動や悲しみで涙を流すことは、一晩寝て起きた時のスッキリ感に相当するということかしら。どんどん映画を観て泣かないといけないじゃないですか。

ということはわかったけれど、本作で泣くのは何故?(と思うのは自分だけかもですが。)主人公のストレスがとにかく凄いからかも。人格者の主人公がブチギレて最愛の妻や子どもたちにも八つ当たりするくらい。そもそも自殺をしようとするくらいだし。

それにしても何故そこまでという背景を、退屈に感じられた主人公の人生の振り返りで描かれていたことが効いていて、彼のストレスに嫌悪感を抱くことなく同調してしまう。

そんな状態だから、よく考えれば読めるベタな展開にまんまとハマってしまう。というより有田教授の説を借りれば、日頃の自分のストレスも重ね、その解消のために涙を流すという、不可避な生理現象に近いものなのかもしれない。

「ストレスは感動の母」とか思うとストレスも悪くない、のかな?(ストレスが強すぎると泣く気も失せますが、これは諦め? それとも悟りかしらん。謎はまだまだ多いです。)
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