KSatさんの映画レビュー・感想・評価

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霧の中の風景(1988年製作の映画)

4.2

アンゲロプロスの中でも比較的取っ付きやすいといわれるこの映画、未だに観ていなかったので初鑑賞。

ドイツに住むという父に会うため、夜中に列車に乗り込む姉弟の「乗っちゃった!」というところを見て、何だか
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かぐや姫の物語(2013年製作の映画)

4.2

今更ながら鑑賞。何というか、ここ最近自国に対しては失望感と無気力、無関心をゆるく抱いていたのだが、これを観ることで久しぶりに日本という国の美しさを強く感じさせられた。

こうやって観ると、高畑勲は宮崎
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キャラメル(2007年製作の映画)

4.0

ナディーン・ラバキーの長編監督デビュー作。ベイルートの美容サロン「si belle」の店員たちや客、周囲の人々の人間模様を綴った群像劇。

特にこれといって何かあるわけでもないのだが、不倫や同性愛、老
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僕はキャプテン(2023年製作の映画)

4.3

イタリア映画祭にて。

まあ、確かにイタリア映画だしイタリア人の観客もたくさん来てたんだけど、いざ蓋を開ければほぼ全てのセリフがウォロフ語かフランス語で、しかも字幕は日本語。唯一のイタリア語のセリフが
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タンジェリン(2015年製作の映画)

3.8

ムショ帰りのトランスジェンダーの娼婦たちやストレート女性の売春婦、アルメニア移民のタクシー運転手のオッサンが一生ケンカしてるだけの、どうしようもない88分間。一体、何を見させられているのか。

まあ、
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⻤太郎誕生 ゲゲゲの謎(2023年製作の映画)

3.8

このレビューはネタバレを含みます

正直、あまり期待はしてなかったが、思ってたより良かった。最近の劇場向けに作られた大規模なアニメ映画にしては、ちゃんと水木しげる漫画の世界観が表現できていたと思うし、登場人物の所作や言葉遣いも実際の昭和>>続きを読む

恋のエチュード 完全版(1971年製作の映画)

3.6

このレビューはネタバレを含みます

「アメリカの夜」の劇中劇を撮影する場面で何回も流れる印象的なメロディが、実はこの映画のサントラだと知り、鑑賞。2人の美人なイギリス人姉妹の間で揺れ動く優柔不断なレオーの物語。

これだけ聞くとなんだか
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ドッグマン(2018年製作の映画)

4.1

レベル1000000のジャイアンによって狂わされる、犬好きなイタリアンのび太の噺。

なんというか、男の映画だった。すべての男の人に潜在的にある暴力性や支配欲、主従関係についての寓話だと思う。

主人
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オッペンハイマー(2023年製作の映画)

1.5

日本公開が遅れたのは題材のせいなどではなく、単純に退屈だからでは?それくらい、死ぬほどつまらなくてヤバかった。去年はバーベンハイマーが騒がれたが、最近のハリウッドではクソつまらない映画を大枚はたいて作>>続きを読む

美と殺戮のすべて(2022年製作の映画)

4.5

ナン・ゴールディンについては、今から18年前、東京都現代美術館で行われた「カルティエ現代美術財団コレクション展」で「性的依存のバラード」を観て以来、ファンになった。

映し出されるものはドラァグクイー
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ピノキオ(1940年製作の映画)

3.9

イタリアのガローネ版「ピノッキオ」を観て原作が全然違うことを思い知らされたので、再見。

なるほど、全然違うわな。そもそも、ピノキオがどうやって誕生するかも全く違う。でも、そのおかげで「星に願いを」と
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ホームドラマ(1998年製作の映画)

3.5

みんな大好きフランソワ・オゾンの長編デビュー作。頭おかしすぎやろ。

砂丘(1970年製作の映画)

4.0

中学生の時ぶりに再見。

今、改めて大人になって観ると、かなり感想が変わってしまった。昔は大好きな映画だったんだけどなあ。

学生運動に始まり、セックス、砂漠、セスナ、車、ありとあらゆる広告…そして最
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プリンス・オブ・エジプト(1998年製作の映画)

2.5

出エジプト記を美しい映像で映画化したアニメ映画。

製作はディズニー、ではなく、ドリームワークス。スピルバーグの会社だね。

2024年の今だからこそ、全世界のユダヤ人に見せてあげたいね。

ほんとうのピノッキオ(2019年製作の映画)

4.3

ディズニーのピノキオとは全く違う、原作に忠実なピノ「ッ」キオの世界。

自分はディズニーアニメ版しか知らないが、ストーリーこんなに違うんやな、、、ピノッキオの誕生の経緯からして全然違うやんけ、、、
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マイケル・ムーアの世界侵略のススメ(2015年製作の映画)

4.1

ペンタゴンからどうしたら米国が戦争で勝てるか問われたマイケル・ムーアは、なら、世界中の米兵を引き揚げさせろ、代わりに一人で世界中を侵略してそれぞれの国の良いモノ持って帰るわ!と言って、世界を回ることに>>続きを読む

踊れトスカーナ!(1996年製作の映画)

3.7

最近、仕事で知り合ったフィレンツェ出身の人に「トスカーナといえば、Il Cicloneですよね」とこの映画について話したら想像以上に受けたので、思い出しレビュー。

曰く、レオナルド・ピエラッチョーニ
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瞳をとじて(2023年製作の映画)

4.2

このレビューはネタバレを含みます

「ゴジ」こと長谷川和彦、78歳。彼は多分、存命する世界中のあらゆる監督の中で、最も「最新作が古い」監督だ。1979年の「太陽を盗んだ男」以来、実に45年以上新作長編映画を撮っていないのだ。

では2番
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ベネデッタ(2021年製作の映画)

4.1

齢80を超えたヴァーホーヴェン御大が放つ、トンデモ宗教映画。

まずさ、これをコロナ禍真っ只中の2021年に公開してる時点で頭おかしいよね(撮影したのは2018年らしいが)。ペストでバンバン人が死にま
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マッドマックス 怒りのデス・ロード(2015年製作の映画)

4.0

なんというか、何が何だかわからないけど、終始何か爆発しててめちゃめちゃオモロい。マッドマックスは1作目しか観てなかったけど、世界観とか全然違いすぎて爆笑。最高でした。

近未来設定だけど、何もかも荒廃
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STAND BY ME ドラえもん(2014年製作の映画)

2.5

ドラえもんの口がぷにぷにしていて可愛い点以外、これといって評価すべきところが見当たらず。

炎のアンダルシア(1997年製作の映画)

2.4

ユーセフ・シャヒーンの映画は短編を2本しか観てなかったけど、今回、初めて長編を観た。ハズレでした。

12世紀のアンダルシアを支配していたムワッヒド朝において活躍した哲学者アヴェロエスことイブン・ルシ
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スターリンへの贈り物(2008年製作の映画)

4.2

画質も悪いし、カザフ語の台詞にロシア語のボイスオーバーが被さる仕様でイライラするし、途中で観るのをやめようかと本気で思ったが、我慢して最後まで観たら泣いてしまった、、、

スターリン時代のカザフのド田
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ハート・オブ・ダークネス/コッポラの黙示録(1991年製作の映画)

3.7

コッポラの奥さんが撮った「地獄の黙示録」の密着ドキュメント。

話には聞いてたけど、改めて見ると頭おかしい現場だと思う。使ってる火薬の量もカメラの数も、尋常ではない。

フランス人入植者のシーン撮って
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カラマリ・ユニオン(1985年製作の映画)

3.3

カウリスマキの初期作。

活劇性はあるが、「15人のおっさんが全員フランクって名前」「次々に死んでいく」「全員サングラス」という設定のユニークさが先行し、意外と退屈。ちと微妙。

カラマリいうからわざ
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Pearl パール(2022年製作の映画)

4.0

想像以上に良かった。前作を超えている。

タイ・ウェストという人の映画愛がこれ以上なく伝わるし、ミア・ゴスは最高すぎるし、これ以上なく悲惨で陰惨な映画なのに、観ていて幸せでした。

後半のバストショッ
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スーパーバッド 童貞ウォーズ(2007年製作の映画)

4.1

なぜ今まで観なかったんだろう。最高。THEアメリカの青春コメディって感じだけど、ブロマンス要素が強く、ちゃんと切ない。

何回も車に轢かれるジョナ・ヒルのTシャツにプリントされたオッサンの目つき、マイ
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旋風の中に馬を進めろ(1965年製作の映画)

2.6

モンテ・ヘルマンの映画は高校時代に観た「断絶」と「果てなき路」以来だが、「断絶」は名作だった気がするので、これも観てみた。が、つまらない。。。

ジャック・ニコルソンが出演と脚本を兼ねていて気合い十分
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ピンク・フロイド/ザ・ウォール(1982年製作の映画)

4.2

母が1982年、リアルタイムでアメリカで観て以来、オールタイム・ベストだと常々言っていたので、今更ながら鑑賞。

ロジャー・ウォーターズの個人史のはずだが、言わんとすることが想像以上に壮大すぎて、、、
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Here(2023年製作の映画)

4.0

ブリュッセルを舞台に、週明けにその地を去って故郷に帰ろうと考えるルーマニア移民の青年と、その地で苔の研究をしている中国移民の女性の、つかの間の邂逅。

特に何が起こるわけでもないのだが、時間と場所につ
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枯れ葉(2023年製作の映画)

4.0

工場、貧困、ロックンロール、ワンちゃん、酒、タンゴ、寿司、ブレッソン。

なんというか、カウリスマキの好きなモノ・関心があるモノ全部のせって感じ。

しかし、いつもと全く違うのは、ヒロイン役のアルマ・
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ガタカ(1997年製作の映画)

2.8

スワヴォミール・イジャックの撮影、マイケル・ナイマンの音楽、ヤン・ロールフスの美術、コリーン・アトウッドの衣装。

素晴らしい才能が集結しても、つまらない映画はつまらない。悲しい事実。

遺伝子によっ
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最強のふたり(2011年製作の映画)

4.0

「ショーシャンクの空に」や「スタンド・バイ・ミー」、「グッドウィル・ハンティング」と並び、そんなに映画を観ていない人でも好きな映画として挙げることが多い映画、という印象で食わず嫌いで観ていなかったんだ>>続きを読む

哀れなるものたち(2023年製作の映画)

3.1

ここ最近増えているフェミニズムの視点で男性の有害性を皮肉るコメディとして、「バービー」よりはよっぽどマシなんだけど、微妙。。。

なんでウィレム・デフォーなのかなあと思ったが、途中で気付いた。トリアー
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夜の大捜査線(1967年製作の映画)

3.9

ノーマン・ジュイソンの訃報を聞き、そういえば「月の輝く夜に」しか観てなかったため、観てみた。

公民権法が成立して3年後に製作されたこの映画は、今観ると、なかなか厳しいモノがある。黒人であるシドニー・
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