工場、貧困、ロックンロール、ワンちゃん、酒、タンゴ、寿司、ブレッソン。
なんというか、カウリスマキの好きなモノ・関心があるモノ全部のせって感じ。
しかし、いつもと全く違うのは、ヒロイン役のアルマ・ポウスティの演技だろう。自分もカウリスマキの映画をすべて観たわけではないが、ここまで情感豊かで笑顔が素敵なキャラクターが、未だかつて出てきただろうか？
合間合間に何度も何度も挟まるウクライナ侵攻を報せるラジオニュースや背景に貼られた映画ポスター(逢びき、若者のすべて、軽蔑など)や次々に流れる様々な歌など、ちと示唆的な表現が多いところは気になった。
特にウクライナに関するニュースは耳が痛いが、だからこそ、このような映画になったんだと思う。かつては悲惨な噺を作ってきたカウリスマキが、こんな明るい映画を作らなければいけない昨今の世の中について、我々は今一度考えなければならない。
