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最強のふたりのKSatのレビュー・感想・評価

最強のふたり(2011年製作の映画)
4.0
「ショーシャンクの空に」や「スタンド・バイ・ミー」、「グッドウィル・ハンティング」と並び、そんなに映画を観ていない人でも好きな映画として挙げることが多い映画、という印象で食わず嫌いで観ていなかったんだけど、普通に名作だった。いわゆるお涙頂戴の感動ポルノ、では全くなかった。食わず嫌いは良くないね。もっと早く観るべきでした。

見ているだけで元気がもらえるオマール・シーとダスティン・ホフマンにしか見えないフランソワ・クリュゼのコンビがとにかく最高。

障害者と黒人というそれぞれ非常にセンシティブな問題を扱いつつ、なんの遠慮もなくブラックな笑いを次々繰り出し、困惑する周囲を他所に当事者同士がそれを楽しんでしまう気持ち良さ。そこには、哀れみや同情のような単純な優しさもない一方で、クリュゼのキャラクターは「白人の救世主」でもない。ハリウッドの人種問題を描いた映画にはできない奔放さがあった。つまり、全然説教臭くないのだ。これは凄いぞ。

ハリウッド映画的な、二人の関係の変化や山あり谷ありのドラマを展開するプロットではなく、様々なエピソードのスケッチを重ねていくような連続活劇のようなスタイルがとても楽しい。それでいて、各キャラクターの造形や伏線回収、笑いだけでなく切なさも伴う情緒豊かなつくりになっていて、非常に緻密。脚本が完成されすぎ。素直に爽快だし、感動した。
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