KSatさんの映画レビュー・感想・評価 - 3ページ目

瞳の奥の秘密(2009年製作の映画)

4.2

軍事政権時代と2000年代それぞれのアルゼンチンを舞台にしたミステリー、といえば良いのだろうか。

基本的にはかつて起こった未解決事件を追及する物語であり、口当たりはミステリーなのだが、切ないロマンス
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ノー・マンズ・ランド(2001年製作の映画)

4.2

このレビューはネタバレを含みます

ボスニア紛争真っ只中、中間地点の塹壕を舞台にした爆笑必至のコメディ。

一触即発のまま、互いにどうすることも出来ぬまま満身創痍となった2人のボスニア兵と1人のセルビア兵、そして彼らを救出しようとする国
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恋人たちの食卓(1994年製作の映画)

3.9

恥ずかしながら、アン・リーの台湾映画は初めて鑑賞。初っ端から飯テロ映画としての魅力が炸裂しててヤバいが、蓋を開ければ丁寧な仕上がりの家族ドラマだった。

かつての経験から恋愛を拒絶しキリスト教への信仰
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甘い罠(2000年製作の映画)

4.1

再見。

ニッコニコなイザベル・ユペールvs挙動不審すぎるアナ・ムグラリス。勝つのは、どちらか。

愛着障害故の独占欲を描いた怖いけど切なさもある噺自体もさることながら、切り返しのサイズや角度が微妙に
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EUREKA ユリイカ(2000年製作の映画)

4.0

再見してみて心の底から思った。大学の頃にこの映画を観た時、フィルマークスに2.8という低い点数をつけたのは、間違いでした。当時の自分は、本当に斜に構えていたんだな。反省。これは名作でしかない。ありがと>>続きを読む

戦場のピアニスト(2002年製作の映画)

4.2

物凄く作り込まれてるのに話す言語がポーランド語でなく英語であることに違和感があり、毎回序盤10分くらいで観る気が失せてたのだが、今更ながらちゃんと観た。

ごめんなさい、もっと早く観るべきでしたね。す
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ラストブラックマン・イン・サンフランシスコ(2019年製作の映画)

4.0

サントラとして使わてるスコット・マッケンジーの「花のサンフランシスコ」のカバーがあまりにも良すぎて、ずっと観たかった一作。

かつて幼少期を過ごした歴史ある家が自分の先祖が建てたものだと信じ、自分の手
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アル中女の肖像(1979年製作の映画)

3.7

リチャード・リンクレイターが大好きな映画らしくて観たが、タイトルまんま。一生、アル中女が酒呑み歩くだけの映画。しかも、何も食わないし、何も喋らない。観た後、死ぬほど呑みに行きたくなる。

男性の酔っぱ
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活きる(1994年製作の映画)

4.5

このレビューはネタバレを含みます

張芸謀先生の中国近代史講座。国共内戦から中華人民共和国成立、台湾有事、文化大革命までの流れを、一人の夫婦の目を通して、これ以上なくわかりやすく描いている。

美術や撮影も芸術的ってくらい一々力が入って
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プライベート・ライアン(1998年製作の映画)

3.5

よく、「地獄の黙示録」に対して「前半はスゴいけど、後半は微妙」っていう人がいるけど、この映画こそそうなのでは?ちょっと過大評価だと思う。

確かに、前半20分のオマハ・ビーチの場面は気合い入りまくりで
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マルコムX(1992年製作の映画)

4.4

「ドゥ・ザ・ライト・シング」も「ブラック・クランズマン」もハマれなかったが、これはスゲェや。ただただカッコいい。それでいて、物凄く考え抜かれている。力作。

マルコムXのスピーチをバックに星条旗と暴行
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逆転のトライアングル(2022年製作の映画)

4.3

資本主義社会やジェンダー、人種問題を痛烈に皮肉った、オストルンドの傑作。

正直、これでパルムドール2回も獲るオストルンドはイケ好かないし、2時間半は長い。ハッキリ言ってゴダール以上にスノッブで厭な映
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こんにちは、私のお母さん(2021年製作の映画)

3.3

母親思いだけど何をやってもダメダメな暁玲と、どこか報われない人生を送ってきたお母さんの煥英。ある時、煥英は事故に巻き込まれてしまう。

母を思い続ける暁玲。しかし、彼女は突如時空を超え、次の瞬間、文革
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バービー(2023年製作の映画)

1.0

このレビューはネタバレを含みます

上映中に「はよ終われ」って思った回数自己記録更新!!Aquaの「Barbie Girl」のMVの方が100000000000000000000000000000000倍良かった。ごめんね、ゴッドファー>>続きを読む

(2021年製作の映画)

3.9

1901年にしてはちと新しい感じはしたが、良かった。アリ・アスターがプロデュースしてもしなくても、特に変わりはなさそうだった。

モノクロ画面の質感、時折実写も織りまぜられる造形や動きの不気味さは、ひ
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オオカミの家(2018年製作の映画)

4.5

なんか自分が本当に観たかったもの・かつて作りたかったものを、ようやく観れた気分。視覚的な驚きも大いにあるし、南米らしい魔術的リアリズムも炸裂し、大満足。本当に良かった。

これを機に、我が国が誇るンヌ
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ブラックブック(2006年製作の映画)

4.1

チョコレートとウンコにまみれまくった、ポール・ヴァーホーヴェン御大渾身の戦争映画。

オランダ映画史上最高の制作費をかけて第二次大戦におけるオランダのレジスタンスを描いたわけだからさすがに手加減してる
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霊的ボリシェヴィキ(2017年製作の映画)

2.5

何がどうなのかようわからんが、声に出した言いたくなるよね、「霊的ボリシェビキ」。

みんなで立ち上がって、レーニンとスターリンの下、ロシア語でボリシェヴィキ党歌を唄うくだりは、バカバカしすぎて何の冗談
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フランケンフッカー(1990年製作の映画)

4.1

ひたすら人の体が爆発していく様は圧巻でした。それでいて、最初から最後まで純愛物語。最高です!

青春群像(1953年製作の映画)

3.7

フェリーニが単独で監督したものとして初めてヒットした出世作であり、イタリア映画を代表する名作といわれている、邦題そのまんまな群像劇。実はキューブリックのお気に入りの映画だったらしい。

が、改めて観て
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天井桟敷の人々(1945年製作の映画)

4.0

そういえば観たことなかったわ〜

19世紀前半、復古王政時代のパリで繰り広げられる恋模様。

改めて考えるとなっかなかドロドロした人間関係だなあ、、、

でも、セットも衣装も華麗で優雅で、パントマイム
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ロボットカーニバル(1987年製作の映画)

3.6

ロボットを題材に、8人のクリエイターによって生み出されたオムニバスアニメ。

・OP&ED
★★★
大友克洋監督。EDのオチはかなりブラックでヤバい。

・フランケンの歯車
★★
森本晃司監督。空間の
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海獣の子供(2018年製作の映画)

3.3

何が何だかよぅわからんけど、画が凄いからずっと見てられる。もうそれだけで良いのではないか?知らんけど。

ローラ(1961年製作の映画)

3.8

ジャック・ドゥミの長編デビュー作であり、ナント万歳映画。

ドゥミってずっと歌ってるイメージあったけど、これは歌わないドゥミ映画だった。

でも、やたらと主人公の男が夢想家だったり、アンジャッシュのコ
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2/デュオ(1997年製作の映画)

3.9

俳優をしている男と、ブティックに務めながら彼と暮らす女。二人の愛の崩壊を、ほぼ即興で構築していった伝説的な一作だ。

西島秀俊がとにかく怖い。やってることもマジで最低なんだけど、同じことを何回も繰り返
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怪物(2023年製作の映画)

3.6

評価するのがとても難しい。

坂本イズムが先走りすぎていて、是枝さんの映画というより坂本さんの映画になっている。坂元裕二らしいテンポの良い場面展開なのは良いが、それ故に不穏さが薄まっていた。近藤龍人の
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アデュー・フィリピーヌ 2Kレストア(1962年製作の映画)

1.5

ごめんなさい、全然面白くありませんでした〜

もう「蓮實重彦のお気に入り」という情報だけで映画を選ぶのはやめます(蓮實さんを否定するつもりは全くありませんが)。

テレビ局でカメアシとして働く主人公、
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バルドー/ゴダール 2Kレストア(1963年製作の映画)

1.4

全くオモンない「パパラッツィ」がやっと終わり、さあやっと「アデュー・フィリピーヌ」が観れるわ、やったぜ!と思ったら、ほとんど同じような代物が流れて、ため息しか出ない。ゴダールもBBも全然撮れてないやな>>続きを読む

パパラッツィ 2Kレストア(1963年製作の映画)

1.6

「軽蔑」ファンなのだが、これは全く面白くない。パパラッチをどう捉えたいのか、作り手の立場もわからないし、一生望遠レンズのヘタクソな盗撮風ショットばかり見せられる。BBの魅力もコラージュ的な編集で誤魔化>>続きを読む

不安は魂を食いつくす/不安と魂(1974年製作の映画)

4.6

観た中では、ファスビンダーベスト。ファスビンダーがこんなに純粋でストレートな映画を撮るなんて、、、

未亡人のおばあさんとモロッコ移民の青年の恋と、2人に対する周囲からの冷ややかな目、というダグラス・
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モリコーネ 映画が恋した音楽家(2021年製作の映画)

3.5

「え?誰もモリコーネのドキュメンタリー撮らないの?しゃあ、俺が撮るよ。いいのね?」とジュゼッペ・トルナトーレが作ってしまった、大エンニオ・モリコーネ賛歌。

そのレパートリーの広さにもかかわらず誰が聞
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息子の部屋(2001年製作の映画)

3.5

息子を事故で喪った精神科医とその家族の日常。ナンニ・モレッティ監督主演。

99分の尺の中で息子が死ぬまで35分もかかるのは、どうなのか。前半は息子も含めた主人公たち一家の日常で特に盛り上がりはないの
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君たちはどう生きるか(2023年製作の映画)

3.4

頭の中でダウンタウンの浜田が30秒に1回ツッコミ入れてくる映画体験。THE笑ってはいけない宮崎駿2時間、だった。カオスすぎて、もはや宮崎駿版アドベンチャータイム。

ハウルの頃から宮崎駿はどんどんスト
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ラ・ポワント・クールト(1955年製作の映画)

3.9

アニエス・ヴァルダのデビュー作。

びっくりしたのは、みんな大好き「ニュー・シネマ・パラダイス」のアルフレードでお馴染みフィリップ・ノワレの若い頃がめちゃくちゃ可愛いから、ではなく、アニエス・ヴァルダ
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THE CROSSING ~香港と大陸をまたぐ少女~(2018年製作の映画)

2.9

このレビューはネタバレを含みます

深圳から香港にある学校に通う女子高生ペイは、お金欲しさにスマホの密輸を行う。

深圳と香港を行き来する噺なので、普通話と広東語が入り交じるちょっと不思議な言語感覚の映画だった。

発想は面白いんだけど
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ハブ・ア・ナイス・デイ(2017年製作の映画)

3.7

中国発!二転三転する展開で唸らせるオフビートなアニメ映画。強奪された大金を巡り、様々なキャラクターが動き回る一夜の物語。

スリラーとしてかなり凝ったプロットではあるが、どこかKing of the
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