ジェルボールさんの映画レビュー・感想・評価 - 3ページ目

ジェルボール

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タレンタイム〜優しい歌(2009年製作の映画)

4.3

観終えて喫煙所に向かううちに日常のトーンに戻っていったが、まったく予定外に涙ぐんでしまった。この日はこんなにガラガラなのってのもあって、余計に無防備だったのもあるけど、うたと演奏のシーン全般。個人的に>>続きを読む

マイヨ・ジョーヌへの挑戦 ツール・ド・フランス100周年記念大会(2004年製作の映画)

4.3

ツールドフランスのドキュメンタリーだが、そこいらのドラマよりも余程ドラマティックで、選手たちはヘタな役者よりも映えまくっていた。

未来派なんかを想起するスピードに対する目的意識の明白さと、その過程で
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ASHRA アシュラ(2000年製作の映画)

3.3

フィルマのレビューは0なのに、借りたディスクが傷だらけで、映画好きの寡黙さに感心した。

肝腎要の内容は、都合の良いいざこざであったが、それなりのテレビドラマやゲームぐらいにはスリルと官能があった。た
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シェフとギャルソン、リストランテの夜(1996年製作の映画)

4.6

8 1/2が傑作なら、それよりは穏やかではあるが、これも間違いなく。
言葉にならない感情や行動がうまく収められていて、作中の郷土料理と同じように、丁寧に作られているのが伝わる。

めまい(1958年製作の映画)

4.4

筋より際立つ様式美。良くも悪くも途中から結末が気にならなくなった。前半と後半では様相が変わって、かつての婚約相手は何処にという気もしたが、大体の予想がつく前の、着地が見えないまま異様な完璧さをキープし>>続きを読む

WANDA/ワンダ(1970年製作の映画)

4.0

そりゃカサヴェテスも気にいるだろうっていう。この手のロードムービーの魅力は紙一重で、基本的によかったけれども、自分が女性だったら今以上に思い入れを持つかも。イメフォがこんなに混むとは思わなかったから、>>続きを読む

わたしは最悪。(2021年製作の映画)

3.6

あらかじめ12章に章立てされることが予告されるので、私的なペースとの誤差を感じてしまい集中力が途切れる。9章目?が短くてほっとしたりしてしまうので結果論でもよかった。入り込めたり楽しめた章もあったが、>>続きを読む

マルケータ・ラザロヴァー(1967年製作の映画)

4.9

映像ピュアリストが観ても失望しない出来だと思うが、何より音響と切っても切り離せない総合芸術であることを実感させられる。突出というより、ここまで結実した作品を観ると(モノラル、モノクロでシネスコというの>>続きを読む

レイジング・ブル(1980年製作の映画)

4.6

肥えてもレイジングブルな感じにとてもリアリティがあった。歪でブルージーなラストシーン、あんなのどうやって確信を持って撮影し採用できるのか。内容も作りも重厚だけど敏捷なところは、さながらボクサーであるか>>続きを読む

夏の遊び(1951年製作の映画)

4.6

逐一ショットの素晴らしさを書くのが野暮に思えるくらい、死んだカットがなく、テンポも自在で淀みがない。ベルイマンがアニメを使うことに軽く驚いた。島でのバカンス、都市でのバレエカンパニーと、プロットの空間>>続きを読む

ブラザー・フロム・アナザー・プラネット(1984年製作の映画)

3.4

スティールパンが宇宙語を代替するところがかわいい。各シーン、決まったり決まらなかったりと全体Pretty goodな印象。ラストカットも取ってつけたような感じで脱力する

ラブバトル(2013年製作の映画)

4.5

このタイトルでこれ以上はないと思う。絵画の歴史的場面を実際に目の当たりにしているような、ダイナミックな肉弾戦。色々と呼び戻されるものがあり、不器用にぶつかり合うことでしか、辿り着けない感じはセラピーみ>>続きを読む

あまり期待するな(2011年製作の映画)

-

副読本的で、良くも悪くも遺作の補完的な内容。学生との取り組みということが念頭にあったからか、実験性にまったく違和感はなかったが、パイクの名前がでて目にしてはいたんだなとか。

晩年のエピソードや相貌に
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ウィ・キャント・ゴー・ホーム・アゲイン(1973年製作の映画)

4.6

走馬灯のような。最後に画面が暗くなったときに、ラストを察知して思わず、終わらないでと願った。このような映画がもう撮られないとしたら、そんな世の中は堕落している。
フッテージのざらついた質感、距離感、そ
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私、君、彼、彼女(1974年製作の映画)

4.3

何気に囚われの女とこれが個人的なツートップ。スカしたことを書きたくないが、序盤はモノクロで簡素な部屋で過ごす様子を捉えた、インスタレーション/インターメディア感のあるセルフポートレート映像、中盤は部屋>>続きを読む

囚われの女(2000年製作の映画)

4.4

恋人がバイセクシャルかどうかを疑う事情がしばらく飲み込めず、馴染むのに時間がかかったが、何気にアケルマンのベストかも。

対照的な歌声で、窓と窓で歌い合うシーンにはっとさせられた。吹っ切れたようで煮え
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アンナの出会い(1978年製作の映画)

4.2

3作品目だが現時点、アケルマンでのベスト作。映画監督で各地を転々とするアンナは、受け答えもどこか心ここに在らずで、監督ゆえにとかそんなではなく、出会うひと出会うひとが訊いてもいないのにベラベラと自らの>>続きを読む

オルメイヤーの阿房宮(2011年製作の映画)

3.8

話自体は理解できても、どの登場人物の立場も心境も切実には思えなかった。娘をなんとか西洋化すべく、それだけの動機があるらしいことも描写できていない訳ではないのだが、ところどころで爆発する親父の癇癪や、端>>続きを読む

ブリュッセル1080、コメルス河畔通り23番地、ジャンヌ・ディエルマン/ブリュッセル1080、コルメス3番街のジャンヌ・ディエルマン(1975年製作の映画)

4.0

忙しなく家事をこなすなか、何もせずに座ってみてもまったく落ち着かない、あの感じ。ヒールを踏み鳴らして家中を行ったり来たり、各部屋の点灯消灯を繰り返して、じゃがいもを茹で直している宙ぶらりんの時間には、>>続きを読む

メリー・ゴー・ラウンド(1981年製作の映画)

4.5

美しき諍い女やセリーヌとジュリーに思い入れのようなものがあったものの、ノロワ、デュエルと立て続けにつまずいたので、半ば諦め気味に最低ラインの期待で臨んだが、率直に言ってかなりよかった。先般の2作と傾向>>続きを読む

ブラインドスポッティング(2018年製作の映画)

4.4

とある真っ白な本で知って観た。アメリカのオークランドが舞台で、人種やコミュニティと格差なんかが描写されているタフな内容だが、他国の事情をこえて、少しでもマシになろうだとか、変わりたいと思ってたりする人>>続きを読む

デュエル(1976年製作の映画)

3.2

眠気とのデュエルだった。ぐったりしたノロワ鑑賞を楽しかった思い出に改竄しそうになるくらい、最も眠気を誘うラインだった。玉乗りから始まる冒頭数カットのカメラワークで期待感が高まったが、ノロワよりも一見ま>>続きを読む

ノロワ(1976年製作の映画)

3.5

色彩豊かな衣装や美術、ロケーションでなんとか見れるものの、音楽のインプロに気張って即時反応するようなラリった演劇が延々と続いてキツかった。76年当時でもこの手のアプローチはもう下火だったのでは。終盤の>>続きを読む

長江 愛の詩(2016年製作の映画)

4.6

まず長江のロケーションや廃屋など、単純に映されているものにグッときたが、映像表現に洗練があると思っていたら、あのタイトルやこのタイトルのリーピンビンが撮影監督ということで。ロングショットや長江の撮影以>>続きを読む

沈黙ーサイレンスー(2015年製作の映画)

4.0

奇妙。信仰と神の沈黙、自問と行動。時代状況や地政学があるなかで、自らの信仰を貫くこととはなんなのか、あるいはその態度はどうでもよく、心はそもそも不可侵なものと考えて、その場その場で二枚舌でも踏み絵でも>>続きを読む

生きてるうちが花なのよ 死んだらそれまでよ党宣言(1985年製作の映画)

3.6

つかまれるタイトルではあるものの、語呂の悪さが気になる。色々とシリアスなことが盛り込まれてはいるが、時代的な大らかさのほうが印象に残った。天気雨も単なる画作りにしか見えなかったし。

マッスルモンク(2003年製作の映画)

3.9

最初と最後のギャップがでかすぎる。マッチョと因果応報の話なんだが、展開の因果関係は飛躍しがち。香港アクションのテンポで、早々にリアリティレベルが下がり、気楽に楽しめたものの、嘘みたいにバイクに乗れずコ>>続きを読む

悦子のエロいい話 あるいは愛でいっぱいの海(2011年製作の映画)

3.6

タイトル通りでエロいい話だった。ファーストカットから凡百ではない感がある。省略が上手でダレずに観れた。あと逆光だとなんでも映せるんじゃないかという画期性が。

愛怨峡(1937年製作の映画)

3.9

ズタボロな画質・音質を覚悟して観たが、全然マシで字幕がなくても平気だった。

溝口クオリティー、画のキマリ方に改めて感心こそすれど、技巧的な気もして、それより当時の女性の悲運がいたたまれず、内容に距離
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MEMORIA メモリア(2021年製作の映画)

4.8

どれも風通しのいい画面、というか動きのない画面にも微風が流れ、虫や鳥が飛び交い、その気配が感じられる環境音含め、時間が感じられるのが良い。長回しのなかで泳ぐように見渡す自由がある。

そこにキーとなる
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たぶん悪魔が(1977年製作の映画)

4.3

デストルドー。これはもう一度観たい。なにをしても満たされず、違和感を払拭できない主人公に同調し、ルック自体はかなり好みなのに内容が上滑りになってしまい、何度も意識が飛んでしまったが、後半、個人的には釣>>続きを読む

湖のランスロ(1974年製作の映画)

4.9

しばらくは頭が真っ白になって、久々に映画を観たという感じが。聖杯が消失点で、蹄やガシャガシャと騒々しい甲冑の音に乗って、様々の思惑・感情・状況が往来する。具体音以外もバグパイプやマーチングドラムの楽器>>続きを読む

V/H/S ネクストレベル(2013年製作の映画)

3.8

謎の勢いとパワーを炸裂させた前作よりも、整理され、様式化して、私的にはイマイチな所が強まったように思えた。非友好を通り越して脅威でしかないエイリアンのエピソードが最も意味不明で、映像と音響のノイジーさ>>続きを読む

夫がツチノコに殺されました。(2017年製作の映画)

3.3

ポップさがなあなあな感じ。たまに構図がよかったり、今っぽくて新鮮さはあるけど、ピンクにある程度のでたらめさや破壊力を織り込んでいる分、もっと刺さるものがほしかった。イマイチな北野映画なんかと印象がダブ>>続きを読む

エヴァの匂い(1962年製作の映画)

3.6

含蓄があるようで、120分を要する内容だったかは微妙。正直、キャスティングにもグッとこなかった。修羅場→葬式→敗者復活戦→未練、の流れの省略・圧縮感は割と好きだったが、最初っからそうしてよって気持ちの>>続きを読む

V/H/S シンドローム(2013年製作の映画)

4.4

ハンディでのブレまくった撮影、つんのめったリズムにノイジーでブルーバックも垣間見えるビデオ映像。スラッシャー、クラッシャー、眉唾なホラー。所々の好き嫌いは置いても終始目が離せず覚醒する一方だった。この>>続きを読む