ジェルボール

アンナの出会いのジェルボールのレビュー・感想・評価

アンナの出会い(1978年製作の映画)
4.2
3作品目だが現時点、アケルマンでのベスト作。映画監督で各地を転々とするアンナは、受け答えもどこか心ここに在らずで、監督ゆえにとかそんなではなく、出会うひと出会うひとが訊いてもいないのにベラベラと自らの身の上を語り出す。
てかブリュッセル1080〜みたいな、結果論からすると早かれ遅かれ引き寄せられる帰結ありきのものではなく、結論のない人生を戻れず一方向にたゆたうような、こんな作品のほうに惹かれる。

几帳面な画面構成と、90度カットでの断面的とも言えるダイナミズム。序盤のホテルのベッドでのシーンからはっとさせられる。リズム的にも、単に長回しの一芸で押し切るのではなく、弛緩した時間とタイトなカットでの緩急があり飽きさせない。

序盤に出会った教師とのくだりで、招かれた食事をさっさと済ませたかったのか、かなり早く食べてたとかコーヒーこぼしてたりだとか、会話から明かされる画面外での情報が楽しい。