ジェルボール

ブリュッセル1080、コメルス河畔通り23番地、ジャンヌ・ディエルマン/ブリュッセル1080、コルメス3番街のジャンヌ・ディエルマンのジェルボールのレビュー・感想・評価

4.0
忙しなく家事をこなすなか、何もせずに座ってみてもまったく落ち着かない、あの感じ。ヒールを踏み鳴らして家中を行ったり来たり、各部屋の点灯消灯を繰り返して、じゃがいもを茹で直している宙ぶらりんの時間には、クロスをいじってみたり調味料の角度を変えたりしている。
日常で神経に障ることがひとつふたつと起きて、その出口がないなと思っていたら。

長さを感じないというのも解らなくはないが、だからといってあっという間に感じる訳でもない。構図やピント、服やインテリアの配色、どれも際立った几帳面さで、ここまで周到に脳波の乱れのようなことを捉えた映画も珍しかったのではないか。カーディガンの合わせを何度も気にするセイリグ。反応として、絶賛も酷評も違うような気がしている。最後に長回しにする必要があるかは解らないが。