小径さんの映画レビュー・感想・評価

小径

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奇跡の海(1996年製作の映画)

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外の者である彼と結ばれることで得られるもの。
それは音楽だと冒頭で語られる。
ここでいう音楽は、性の喜びを暗喩するものであり、鐘の音が取り戻される時、彼女の復活を通って、性の賛美が行われる。そして性の
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イディオッツ(1998年製作の映画)

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凄く歪で、混沌で、そんな風景の中にこそ見出される、洗練された純粋な触れ合いに強く心を奪われる。
神聖さと底抜けの愚かさは触れることが出来ないという点で同じ。高さと深さは相関関係にあると、とても感じた。
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ダンサー・イン・ザ・ダーク 4Kデジタルリマスター版(2000年製作の映画)

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この映画がミュージカル映画なら、
彼女の人生は悲劇じゃない。
まだ2番目の曲だから。結末を見ないことで、物語は続いている。現実が終わりを告げようとも、カメラがフィナーレを移そうとも、この映画の主人公は
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ロブスター(2015年製作の映画)

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傷、逃亡、そして復讐へ

同監督の次回作「聖なる鹿殺し」スティーブンを演じたコリン・ファレルが本作の主人公デヴィッドを演じている。

明らかな接続の意図を感じる。「聖なる鹿殺し」の考えうる上最悪の結末
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聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア(2017年製作の映画)

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マーティンが私の中にも入り込んでくる
死んでいく気配を確かに感じさせられた

メタファーと現実が結び合わされる過程の質感がねっとりじっとりで最高

作品の中でマーティンが直々にこれはメタファーなんだよ
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(2021年製作の映画)

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血や肉の持つグロテスクさに対しては目を覆うことから出来るけれど、この作品で持ち上がる恐ろしさから目を離すことが出来ない。本来、無味乾燥の人形たち。そこから目を離すタイミングが上手く見つけられない。どん>>続きを読む

オオカミの家(2018年製作の映画)

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現実よりリアルな寓話

内面の恐怖心を手で直に揺さぶられる感覚。
共感というより共鳴。


この映画は境目の緩んだ夢の世界から決して逃してくれない。ここではあらゆる物理法則のネジが緩み、ある観念は様々
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マンマ・ミーア!(2008年製作の映画)

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これからも私を救ってくれる作品。
Without a song or a dance what are we?

本当に素敵です。
いつか映画館で見たいなあ

コットンテール(2022年製作の映画)

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心の壁のこちら側は内側でもあり誰かの外側なことを思う

みんな幸せそうに見える。自分だけが損なわれてひとりぼっちに思えて、傷つく気持ちはなんだかわかる気がする。自分の気持ちは誰にも分かるまいとはねつけ
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ボーはおそれている(2023年製作の映画)

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アングザエティ・コメディ(不安の喜劇)
絶望してるのに、その反復を身体が期待している。
スケールもディテールも抜け目無くみっと無力感で敷き詰められてる。
気づかない内に、結末を知っていたのかもしれない
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ほかげ(2023年製作の映画)

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私の内なる暴力性に、一対の視線を。

とても見られるべき映画。

人間の潜在下に留められるべき混乱や矛盾が触発されて顕在してしまったような暴力性。
これらが誰しもに起こりうる普遍であることを示すことが
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テルマ&ルイーズ 4K(1991年製作の映画)

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女として生きることの無力感、緩慢さを焼き付くすが如く大爆発に救われた。
緩慢な痛みを断ち切るのは激しい痛み。
傷や罪を互いに引き受けて、繋がる真の絆が素敵だった。二人の旅にすごく力をもらって、頑張ろう
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PERFECT DAYS(2023年製作の映画)

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沈黙に含まれる無限の世界。
底抜けの明るさ、無限の暗さ。
その沈黙に含まれる分からなさを受容することが唯一の理解であり、相手への敬意だと思う。時として言葉を通して語られることで何かが抜け落ち、損なわれ
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枯れ葉(2023年製作の映画)

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ラジオから聴こえ続ける戦争のニュースは筋とは無関係に終始流れ続ける。

抗えない不条理、愚かな習慣。
作品に漂い続ける、緩慢で大きな悲愴に立ち向かおうとする
ささやかだけれど、鮮烈で、クールで、心のこ
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ニューヨーク・オールド・アパートメント(2020年製作の映画)

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愛について多義的なニュアンス
親子愛、友愛、性愛
言葉にしづらい
結構身近に感じてることな気はする
虐げられるものの怒り
しがみつくように愛する
映画の中にある
とにかく大事な映画

哀れなるものたち(2023年製作の映画)

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そのうち書き直す

無知の残虐さと、知の不可逆性の示唆

ベラは肉体的に最も純粋な状況に置かれている。
その反応は私たちが潜在的に持ちうるそれを、直接的に表しているだけに過ぎない。ベラを通して確かに潜
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コット、はじまりの夏(2022年製作の映画)

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飾り気のないちょっとした描写に
流れる大らかな愛と寄り添い

おばさんが家族に恥ずべきことはないからなんでも話すように促す場面と、おじさんが沈黙は悪いことじゃないと語る場面
すごく救われる。
ちいさな
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市子(2023年製作の映画)

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整頓された世界に取り残されたもの
届かない声
それでも進み続ける世界と
広がり続けるひずみ
その代償を背負うもの
市子を生かす''何か''

損なわれたものの示唆は
あらゆる外にも、自分の内にもある
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