心の壁のこちら側は内側でもあり誰かの外側なことを思う
みんな幸せそうに見える。自分だけが損なわれてひとりぼっちに思えて、傷つく気持ちはなんだかわかる気がする。自分の気持ちは誰にも分かるまいとはねつけたくなるような気持ちもわかる。それが自分を守ることでもあるから。でもそれがまた誰かの心をひとりぼっちにしていることにはなかなか気づけない。
妻は戻らない。生前の内に彼女を見つけることは出来なかった。肉体は不可逆的に失われ続けるもの。でもその傷の共有は家族を、そして妻を、彼と結び合わせてくれる。
いまにゆるやかに心を開ける自分でありたい。
反対側にある二つの島国に繋がるものがたりを信じていたい。