ベビーパウダー山崎さんの映画レビュー・感想・評価 - 2ページ目

ワンダーガールズ東方三侠(1993年製作の映画)

3.0

子どもたちがシャボン玉を吹きながらのスロー、確かにジョニー・トー。死が迫る男とそれを見守るしかできない女の過剰な恋愛ドラマもあまりにもトー。障害(窓やドア)一枚かましての、すれ違いというか、いてほしい>>続きを読む

ファミリー・プラン(2023年製作の映画)

2.5

気弱なパパが実は凄腕の殺し屋だった…死ぬほどコスられている設定。もう何周もしているが、それでも世界各国で雑に作られ続ける永久機関。どれだけ大衆が「定番」を好むのかがよく分かる。昼飯は仕事場の隣りにある>>続きを読む

挽歌(1957年製作の映画)

3.5

不在だった母を高峰三枝子に求めているのは間違いなく、ともすれば父の役割は森雅之に背負わせていて、その父と夜をともにするのは近親相姦的なアンモラルさに酔いしれている風でもあり、結果としてその不道徳な行為>>続きを読む

ソルフェリーノの戦い(2013年製作の映画)

2.5

リアルを物語(フィクション)にぶっ込む構成は、まあまあある。その生の質感でドラマに強度を持たせようしている。どうですか、あなたの代わり映えしない日常と繫がっていますよ、と厚かましく言っている。
別れた
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PERFECT DAYS(2023年製作の映画)

3.5

どう足掻いても窮屈になるTOKYOを、これだけ広がりを感じさせる「映画」に仕上げてくるヴェンダースはさすが。見慣れた日々のミニマルな暮らしもヴェンダースにとっては異国、その試み自体がすでにロードムービ>>続きを読む

ゴングなき戦い(1972年製作の映画)

4.5

日々の欲望に流され、ぼんやりと生きる己の道と薄暗い底へと転がり続けるステイシー・キーチが重なり、その「何者にもなれなかった」思いを書き綴った、映画ZINE『ORGASM・10』が発売になりました。他に>>続きを読む

ブラックベリー(2023年製作の映画)

2.5

ドキュメンタリータッチのような、そのドラマの真っ只中を陰から覗き見しているキャメラの動き。もうこういった手法で、偽のリアルを演出している映画はうんざりやね。見ていて疲れるし。当時の映像を挟みながら時代>>続きを読む

テリファー(2016年製作の映画)

3.0

低賃金で深夜に仕事してるおっさんとか心が病んだ女性をぐちゃぐちゃに殺してもなあ。もっと死んでほしい奴なんて、このクソな世界いくらでもいるでしょ。金持ちとかふんぞり返ってる上に向かって刺そうよ。
特定の
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クリスマス・ブラッディ・クリスマス(2022年製作の映画)

2.5

殺人ロボットサンタが遂に死んだ?と思わせてまだ生きている…が、二億回ぐらい繰り返される。やりすぎなしつこさは悪くないけど、そのパターン化された反復に対して、決定的なショットが撮れていないのがかなり気に>>続きを読む

殺し屋人別帳(1970年製作の映画)

2.5

今さら任侠も仁義もないだろと石井輝男が、その生真面目さにすっかり飽きているようで、メタと言うか、ヤクザ映画をやりながら、隙間を見つけては適当に遊びだしての90分。全編ギャグにするわけでもなく、由利徹で>>続きを読む

DASHCAM ダッシュカム(2021年製作の映画)

2.5

ネトウヨで陰謀論者の迷惑ユーチュバー。その女性を演じているアニー・ハーディも、トランプ主義者でノーマスクを訴えていたようなので、よくある手持ちガタガタのエセドキュメンタリーではあるが、その捏ち上げたフ>>続きを読む

兄とその妹(1939年製作の映画)

3.0

影でこそこそと卑劣な手段で陥れようとする者こそが悪であり、その「スパイ」な行いにはきっちりと「暴力」で制裁し己の正義を貫かなければならない。それが日本で生まれ育った「男性」の国民道徳であり規範である。>>続きを読む

御法度(1999年製作の映画)

3.5

『首』を見てから一応見返した。トミーズ雅が意外と良い。松田龍平が中心だが、軸になっているのはたけし。どれだけ物語が揺さぶられようと、たけしに戻れる強さがある。大島渚は役者を見つめる目は確か。
終盤に武
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(2023年製作の映画)

3.0

芸能界で頂点立って、映画でもそれなりに巨匠になって、それでもまだデタラメな表現で勝負しているの、普通に狂ってる。タモリは散歩してるし、さんまはテレビで笑いを突き詰めてるけど、たけしのこの創作意欲は化け>>続きを読む

キートンの鍛冶屋(1922年製作の映画)

3.5

キートンが平然な面して他人に迷惑かけまくる、いつものやつ。変わらず無表情だが、面が良いので画になる。若いころの鳥肌実ぐらい整っている。徹底して破壊し、白を黒く塗りつぶしていくアナーキーさ。しつこいのが>>続きを読む

ファミリー・スイッチ(2023年製作の映画)

3.0

親と子どもが入れ替わるベタな設定だが、母親役のジェニファー・ガーナーから『13 ラブ 30 サーティン・ラブ・サーティ』を嫌でも思い出す作りになっていて、それだけで十分だったりする。中盤のパーティーシ>>続きを読む

13 ラブ 30 サーティン・ラブ・サーティ(2004年製作の映画)

3.5

『ファミリー・スイッチ』を見て、久しぶりに見返したが最高。女性版『ビッグ』だが、全身で体当たりなジェニファー・ガーナーはトム・ハンクスに一歩も負けていない。嫌なキャラクターが、不可思議な状況に巻き込ま>>続きを読む

キートンの強盗騒動/悪太郎(1920年製作の映画)

3.5

キチガイキートンが無自覚に騒動を巻き起こす、いつものやつ。身体能力がアスリートなみ。逃げて、逃げまくって、横から縦に。昇ったり落下したり。映画の基本の動き。
頑張って笑わせようとするインディアンスみた
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異人たちとの夏(1988年製作の映画)

2.5

追悼で見た。原作が山田太一、脚色は市川森一。「市川森一が脚色を受けることが条件だった」と山田太一がエッセイに書いている。山田太一は市川森一の作家性を「センチメンタルでメタンコリーでノスタルジックな世界>>続きを読む

夜の鼓(1958年製作の映画)

3.5

おそらく初めて人を殺めた三國連太郎の手が固まってしまい、剣を握る指を一本ずつ剥がしていくリアリズム。『越後つついし親不知』では屑でいい加減、下卑た間男を演じていた三國連太郎、本作では真逆の(寝取られ侍>>続きを読む

マイ・ハート、マイ・ラブ(1999年製作の映画)

2.0

四組の男女をバラバラに映していく群像劇スタイル。一堂に会する終盤が見せ場だと思うが、しょうもない関係性。というか、それならはじめから「家族の物語」として正面からドラマで演技合戦させれば良いのに。こうい>>続きを読む

ザ・クリエイター/創造者(2023年製作の映画)

2.5

死が永遠の別れではなく、死を永遠の愛に結びつけるのはロマンチスト。犠牲のうえで成り立つ(一時の)勝利というのは『ローグ・ワン』でも試みていたが、はみ出し者に光が当たる(希望を持ち込む)物語を好むギャレ>>続きを読む

チャイルド・プレイ(2019年製作の映画)

3.0

チャッキーの面構えが生々しい醜男で笑ってしまった。殺戮人形こそ、まず可愛げが必要だと思うが、『菊次郎の夏』の子役以来の衝撃。子どもたちが見ている映画が『悪魔のいけにえ2』だったりして、コメディに寄せて>>続きを読む

ふたりのベロニカ(1991年製作の映画)

2.5

U-NEXTで終わる前に久しぶりに見直したが、本作を恐ろしくうまくパクった岩井俊二『ラブレター』の方が100倍好き。イレーヌ・ジャコブの髪型まで似せた中山美穂。揺れる手持ちキャメラから静と動の雰囲気を>>続きを読む

フィンガーネイルズ(2023年製作の映画)

2.0

なんかカッコつけてこねくり回しているけど、結局はいまの退屈な彼氏に飽きたので、新しい彼氏に乗り換えただけの話で脱力。機械による(絶対的な)愛情診断に抗い飛び込む、その心の衝動を見せたいんだろうけど、別>>続きを読む

THE FALLS(1980年製作の映画)

2.5

三時間以上(異常)ある。出鱈目な人物たちの出鱈目な人生(ドキュメンタリー風)の断片をただ繋げていく出鱈目な映画。有り物の写真や映像に適当なナレーションを乗っけて、別の意味をもたらすのはモンティ・パイソ>>続きを読む

皇帝のいない八月(1978年製作の映画)

2.5

男たちの世界に紛れこむ吉永小百合の存在が、役者の「恪」もふくめて映画を難しくしている。クーデターを起こす首謀者の妻としては態度が不安定で、渡瀬恒彦にどっぷりなのかと思えば、狂っていることを冷静に指摘し>>続きを読む

世紀の光(2006年製作の映画)

3.5

田舎と都会、過去と現在。出来事を反復させて、日常が捻れていく。たとえ同じ苗を植えたからといって、育つ木々の形は様々。
その大胆な構成が、狙いの一つに収まらないのがアピチャッポン。見えている世界が、遥か
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クレイジークルーズ(2023年製作の映画)

1.0

豪華クルーズ船が舞台なのに、みなボソボソと喋って貧乏臭い。目立った動きもなく六畳一間のちゃぶ台芝居。キャラクターに寄せて大げさに見せても、それはそれで地獄の寒さ。どうすればいいんだ。どうしようもないか>>続きを読む

フランケンシュタイン/禁断の時空(1990年製作の映画)

3.0

時空を飛び越えた先はフランケンシュタイン博士が存在する世界で…タイムトラベルからの哀しきモンスター。土台(設定)さえあれば、デタラメな展開も我が物顔で突き進む、闇鍋のごった煮感は確かにロジャー・コーマ>>続きを読む

エレファント(2003年製作の映画)

3.5

かき集めた素人のリアルさ(棒読み)込みで地獄の惨劇を見せていくガス・ヴァン・サント。フィクションだからこそ、身体に染み付いた本物の匂いを大切にしている作家。死は演技だとしても、そこに至るまでの「日常」>>続きを読む

凶銃ルガーP08(1994年製作の映画)

2.5

『ザ・キラー』から、なんとなく繋がるかなと思って見たが、全然違った。劇画調の和製『タクシードライバー』。結局は『その男、凶暴につき』と同じような流れになるが、ヤク中の妹でもなんでも皆殺しにした、たけし>>続きを読む

ボトムス ~最底で最強?な私たち~(2023年製作の映画)

2.5

この20代の監督が成熟して、正面から映画を撮り出したころには俺は既に死んでいるから、どうでもいいといえば、どうでもいい。老人が撮る尖った映画に時代的な若々しさを感じることも多々あるので、作り手の年齢が>>続きを読む

水の中で(2023年製作の映画)

4.0

字幕もピンボケにするべき。
誰もが撮りそうな「海と自主映画」。凡庸でありふれた表現だが、ピンボケ一枚かますことによって、透明な世界は濁りだし、新たな映画が不穏に蠢き始める。ホン・サンスの切り口、単なる
>>続きを読む

黄色い家の記憶(1989年製作の映画)

4.0

世捨て人のような老人も性欲だけはギンギンにある。痩せすぎた体型に騙されそうになるが、走り出すスピードも持久力も相当ある。その源には、狂った世界のすべてを不条理なユーモアで舐め尽くす極左の抗いと、死への>>続きを読む

レンフィールド(2023年製作の映画)

2.0

寄り過ぎと言うか、アップだらけで配信で見ていてもキツい。クリス・マッケイ、『トゥモロー・ウォー』でも思ったが、アクションはガチャガチャと薄っぺらでまったく興奮しない。やけに陽気なグロ(人体破損)も嫌味>>続きを読む