ベビーパウダー山崎さんの映画レビュー・感想・評価 - 5ページ目

7月14日の娘(2013年製作の映画)

2.5

それなりに映画のツボを押さえた作品を狙ってはいて、夏(バカンス)というより「遊び」の映画で、そこで土台になるのがゴダールやロジェ、リヴェットあたり。出鱈目なバカ映画へのアプローチはインテリ(映画狂)が>>続きを読む

ハート・オブ・ストーン(2023年製作の映画)

1.5

ネトフリ大作のいつものゴミ。アクションは軽くてペラペラ、わざわざ興を削ぐ方向へと無駄にひねる展開(ストーリー)。
映画館に行くまでの面倒もなく、月に幾らか払って適当にチョイスした映画を片手間に眺めてい
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ノック 終末の訪問者(2023年製作の映画)

3.0

偶然=神からの啓示(だと勝手に思っている人の妄想)を物語にするのは、俺も好きなんだけど、シャマランが描くと、なんだか過去作の焼き直しにも見えてきたりして。それがマトモ(真実)なのか異常者(パラノイア)>>続きを読む

マンハッタン殺人ミステリー(1993年製作の映画)

3.5

そして、ミア・ファローとは不幸な結末を迎え、その役を引き継がせながらダイアン・キートンを再登場させるウディ・アレン。久しくなかったアレンの気味の悪い(本気)笑いも見れたりして心底楽しそう。冬の、おそら>>続きを読む

憧れを超えた侍たち 世界一への記録(2023年製作の映画)

2.0

ホームランキャッチするメキシコ人が面白すぎる。あいつのふざけた表情だけ満点。ドキュメンタリーとしてはTVサイズの凡作。世界と戦うガチのスポーツ選手を映しているはずなのに、陽の部分、前向きな姿しか見せて>>続きを読む

ナイフ・プラス・ハート(2018年製作の映画)

3.5

これだけ好き勝手に撮っていると、こちらも見ていて勇気づけられる。表現に限界はないと言うか、作り手のど真ん中にある世界観のツギハギで一本表現にしてしまうど根性。それが許されるのも才能。
クラブをどう(格
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彼女のいない部屋(2021年製作の映画)

3.0

時間軸ぐちゃぐちゃにしてサスペンス風なんだけど、実際は生き残ってしまった人の喪失のドラマで、そのあたりがマチューは監督としては真面目過ぎる。「悪い」方向にいつでも舵を切れる作りだが、ハネケやミシェル・>>続きを読む

スカイ・ハイ(1975年製作の映画)

3.0

能天気にジミー・ウォングと関わってしまったがために善人も悪人もデタラメに死にまくる。どれだけ切られて血を吹いても、一人涼しい顔して生き残るジミー・ウォング。男は殺して女は抱くが基本。格闘も強いがセック>>続きを読む

65/シックスティ・ファイブ(2023年製作の映画)

2.0

寝起きでムニャムニャしながらよく見ずにU-NEXTで購入したら、いつもの399ポイントではなく1500ポイント!、知らない町で財布を落としたときぐらい動揺して過呼吸。
『ジュラシック・パーク』のバッタ
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ダークグラス(2021年製作の映画)

3.0

動物が助けに来るのは『フェノミナン』だけど、『デスプルーフ』を見て殺人鬼を白いバンに乗らせたとか言ってるぐらいなので、飼い犬に合図して飛びつかせるのは『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』の>>続きを読む

人類遺産(2016年製作の映画)

3.0

ナレーションは入れずテロップも付けず、異形の遺産として存在している廃墟の映像集。荒れ果てた床を本や雑誌、無数の用紙が埋め尽くしている廃墟。壁や天井に穴が空き、そこから光が射し込む廃墟。資料のひとつとし>>続きを読む

金曜日の夜(2002年製作の映画)

2.5

渋滞に巻き込まれている人々の生活が垣間見える前半は、人生のどん詰まりと停滞がうまいこと重なり、ぼんやりと心地よく受け止めていたが、男と女がえらくあっさりと逃避のように結びついてしまう後半は、その無意味>>続きを読む

ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE(2023年製作の映画)

3.0

潜水艦は難しいのよ。よっぽど上手く撮らないと安っぽく映る。画もペラペラで、長すぎる映画の冒頭としては失敗している。俺がプロデューサーなら最初の三十分削って砂漠から始めるね。
これがスパイ活動なのかどう
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アリス(1990年製作の映画)

2.5

退屈な男や無意味な金儲け、大衆のゴシップなどから離れ、己の道を歩んでいくミア・ファロー。現代でもリメイク可能な中年女性の自分探し映画……なのだが、どうもウディ・アレンの気持ちが乗っていないと言うか、フ>>続きを読む

ウディ・アレンの重罪と軽罪(1989年製作の映画)

4.0

マーティン・ランドーの愛人殺しの話とウディ・アレンの売れない映画監督の話、二本を一本にしているのが閃きというか剛腕というか。なんならアラン・アルダの成功している俗な表現者からも切り込めるし、志高くても>>続きを読む

ブロードウェイのダニー・ローズ(1984年製作の映画)

3.5

ミア・ファローが、神経症でビクビクしている内気な女性とは正反対の勝ち気で派手な娼婦のような役柄を珍しく演じていて、ウディ・アレン映画でのファローとしてはベスト。最強に脂が乗っていたころのアレン映画で中>>続きを読む

私の中のもうひとりの私(1989年製作の映画)

3.5

大筋は『野いちご』なんだろうけど、『ペルソナ』的な匂いもあるにはある。なにより遂にスヴェン・ニクヴィストまで召喚させてシリアスなドラマを撮ってしまうのは、図に乗りすぎだろウディ・アレン。切り取ったよう>>続きを読む

Pearl パール(2022年製作の映画)

2.5

サーク的なテクニカラーでのゴア。そのどぎつい色味と閉塞感をホラーに繋げたくなるのは、まあ分かる。アルドリッチ『何がジェーンに起ったか?』から感じた役者の異様な存在感、物語から漏れ出たおぞましさを狙って>>続きを読む

風の谷のナウシカ(1984年製作の映画)

4.0

メビウスとかテレビでやらねえから、代わりに見ていた。宮崎駿初期の、このぞわぞわする異形感はメビウス。バカでかい世界観、個人がどうのこうのじゃない。世界や社会が狭く窮屈になった今では描けない物語。

ボーイ(2010年製作の映画)

3.0

道を外れているようで、王道な締め。まさにタイカ・ワイティティ。サブカルのアイコンありきでベタ。子どもな大人と、大人ぶりたいガキ。ワイティティは、この図式を気に入っていて、『ハント・フォー・ザ・ワイルダ>>続きを読む

イーグル vs シャーク(2007年製作の映画)

3.0

小ネタの使い方含めて、ほぼほぼ『バス男』のパクリだが、その極まった表現を尖らしたまま失速していったジャレッド・ヘスと比べてマーベル大作まで手掛けるようになるタイカワイティティの強さというか要領のよさ。>>続きを読む

FALL/フォール(2022年製作の映画)

3.0

ワーだのキャーだの騒いで、ありがちなYouTuberものでしょ、切り口がダサいんだよ~とか一人つぶやきながら、ぼりぼりケツ掻いて適当に寝見していたら、終盤にきちんと用意されたていた厭な「捻り」(悪夢を>>続きを読む

セプテンバー(1987年製作の映画)

3.0

本作からウディ・アレンの低迷期というかシリアス期に入っていくわけで、当然のように配信もなくなりDVDを引っ張り出して見直さないといけなくなったり。
『ワーニャ伯父さん』を奪骨換胎しながら、母と娘の関係
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ラジオ・デイズ(1987年製作の映画)

3.0

フェリーニかぶれのウディ・アレン、『アマルコルド』あたりを下敷きにしているのが透けて見えるが、幼少期の思い出(愛する家族)とラジオにまつわる小話でしっかり自分の「映画」にしているのが流石というか、巧み>>続きを読む

フィッシング・ウィズ・ジョン/FISHING WITH JOHN Episode 3 【マット・ディロン編】(1991年製作の映画)

3.0

金を出してる日本の製作から無理やりマット・ディロンをキャステイングされたらしく、今までの「ジョン・ルーリーと素敵な仲間たち」イチャイチャ釣り紀行とは違い、どちらも打ち解けず(仲良くなる気もなく)最後ま>>続きを読む

ハンナとその姉妹(1986年製作の映画)

3.0

死に怯えて道化師の役割を演じるウディ・アレン。わざわざ眼鏡までかけてアレンの分身を演じるマイケル・ケイン。妹に夫を寝取られるミア・ファローは生々しくてキツイ役。ダイアン・ウィーストはダイアン・キートン>>続きを読む

カイロの紫のバラ(1985年製作の映画)

3.5

素晴らしさや美しさ、愛や幸福は妄想虚構にしかなく、現実は地獄で、生きるのは失望でしかないというウディ・アレンの卑屈にネジ曲がった思想を最もうまく表現に落とし込めた作品。
見るたびに鬱々とする。DVの夫
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タイラー・レイク 命の奪還2(2022年製作の映画)

3.5

牛丼屋に入って牛丼頼んで、牛丼大盛りつゆだくが出てくるんだから、これでいいんだよ。正解、間違ってない。別にシネコンに1900円払って見に行ってるわけでもないし、ネトフリに幾らか課金して自宅で寝転がりな>>続きを読む

MEG ザ・モンスター(2018年製作の映画)

2.0

イーライ・ロスが撮る話もあったらしく、『ピラニア 3D』以来の大虐殺、見たかったな。巨大ザメが人を喰っても生々しさはゼロ。血もぐちゃぐちゃもなし、五歳児向けのパニック映画。アミューズメント施設のアトラ>>続きを読む

スターダスト・メモリー(1980年製作の映画)

4.0

これがフェリーニ『8 1/2』のパロディってこともお前ら大衆は気づかず、くだらないギャグで笑ってなにもかも消費しちまうんだろ…って感じでメタ的な自虐として撮っているところもある。ベルイマンの「精神が疲>>続きを読む

パーフェクト・ゲッタウェイ(2009年製作の映画)

2.5

ドンデン返しならこの映画、みたいなのを耳にしてゲスな好奇心からまんまと食いついたが、こちら側に提供される情報がフェイクなのはフェアじゃない。映画内の第三者を欺くための芝居ならまだ理解できるが、二人だけ>>続きを読む

マンハッタン(1979年製作の映画)

3.5

実景で始まり実景で終わる、白黒のニューヨークが圧倒的。主役はニューヨークという街。まだ表現者が活き活きと蠢いていた街の片隅で、こんなちっぽけなドラマが生まれては消えているんですよというエッセイ的な作り>>続きを読む

インテリア(1978年製作の映画)

3.5

幼いころ見たときは、ベルイマンもチェーホフもユージーン・オニールも知らなかったし、ウディ・アレンを喜劇作家とも思っていなかったので、おお、ラストは部屋から飛び出して海に入っていくのかとか興奮、シリアス>>続きを読む

フィッシング・ウィズ・ジョン/FISHING WITH JOHN Episode 4 【ウィレム・デフォー編】(1991年製作の映画)

3.0

二人の男が閉ざされた氷の世界で狂い、死ぬ。ウィレム・デフォーは同性愛者的なアプローチ。『ライトハウス』より、よっぽどCool。

ディメンシャ13(1963年製作の映画)

3.0

『サイコ』がヒットして、おそらくコーマン御大に「すぐにパクって違うものを作れや!」とか何とか言われて短期間&低予算でこれを撮り切ってしまうコッポラの映画な才能。物語を撮るのは面倒だから、普通ならもっと>>続きを読む

誰もがそれを知っている(2018年製作の映画)

2.0

序盤、これでもかってぐらいに陽気に騒いで、その幸福な共同体がガラガラと崩れていく相変わらずのアスガー・ファルハディ。犯人探しで物語を引っ張るのも何時ものことだが、基本は人間ドラマを撮っているつもりなの>>続きを読む