蛇らいさんの映画レビュー・感想・評価

蛇らい

蛇らい

ヒメアノ〜ル(2016年製作の映画)

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何度目かの。

苦痛と快楽のカットバックにはさすがに痺れた。本作での森田剛の怪演が『検察側の罪人』の二宮和也へ接続していくわけか。

胸騒ぎ(2022年製作の映画)

2.5

言葉を放棄することの愚かさを直接的な感性へのダメージで訴えかけてくるタチの悪さは、良くも悪くも有効だ。他人と関わる時のストレスを事細かに提示し、そのストレスがいつのまにかスリリングへと変遷していく気持>>続きを読む

猿の惑星:新世紀(ライジング)(2014年製作の映画)

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何度目かの。

『クローバーフィールド/HAKAISHA』のルックを継承し、銃社会や他国間との戦争の構図を落とし込む重厚なストーリーテリングだ。

猿の惑星:創世記(ジェネシス)(2011年製作の映画)

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何度目かの。

こんなにも洗練されたショットを連発するような映画だったかと改めて驚かされた。『囚われた国家』以降撮れていないルパート・ワイアットにもっと映画を撮らされてやってくれ。

森で猿を網や仕掛
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猿の惑星(1968年製作の映画)

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当時の技術では猿を思い通りに動かすことができなかったため生まれた、スーツアクターによる猿の演技が功を奏して凄まじく恐ろしい。

中盤、捕まって逃げ出す、対話するまた逃げ出すという見飽きる構成の難はある
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ザ・ゲスト(2014年製作の映画)

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こんな感じなのに、前半までただの居候っていう情けなさが良い。

ゴジラxコング 新たなる帝国(2024年製作の映画)

2.6

実景があまりにも少なく、ほぼアニメーション作品を観ている感覚と齟齬はない。物語を紡ぐという映画の醍醐味をはなから放棄し、視覚的なカタルシスへ全振りしたという意味では、『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ム>>続きを読む

落下の解剖学(2023年製作の映画)

3.2

人が人を裁くという行為について、現代的な解釈を織り込み、容赦ない法廷劇で畳み掛ける。親と子の相入れなさが裁判という社会の枠組みの中で浮かび上がる。しかし、難ありな作品でもある。

明らかに子がとてつも
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キングコング対ゴジラ(1962年製作の映画)

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ゴジラ襲来に心躍る登場人物がいることにリアリティを感じながらも、人間ドラマが前2作と比べて格段に投げやりに。反面、文句なしの特撮技術にはひれ伏すしかない。

瞳をとじて(2023年製作の映画)

3.9

エリセ31年ぶりの長編作品と銘打って公開されただけもあり、映画産業の時間の経過による変遷をひしひしと感じる内容でもあった。

世代的にはビクトル・エリセはまったく掠りもしていないため、どのような作家性
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異人たち(2023年製作の映画)

3.6

各映画作家がパーソナルなイシューを表現できる容れ物として、とても優れた原作と言える。優れた物語はどんな作家性を持ってしても、抱え込めるということかもしれない。

他人との関わりから生まれる物足りなさを
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異人たちとの夏(1988年製作の映画)

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存在と寂しさを憂い、喪失からしか会得しえないものがあると説く。

『異人たち』と驚くほどに共通する演出もあれば、まったく違うアプローチをとることも。その差異は、原作を日本人的な感覚から紐解かれる解釈と
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ミツバチのささやき(1973年製作の映画)

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美しいショットの応酬にくらくらする。一発で映画作家としての上手さが分かる。こんなにも欠点がない映画は本当に稀有だと思う。

エレファント・マン(1980年製作の映画)

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人間としてのイノセントと、存在自体を疑う恐ろしさが同居していて、色んな感情が交差する。

オーメン:ザ・ファースト(2024年製作の映画)

2.9

『オーメン』のウェルメイドな惨殺シーンで食らった身としては、いまひとつなショットに気迫を感じられなかった。

主演のネル・タイガー・フリーの演技は素晴らしかった。子を産み落とす前兆のシーンはコンテポラ
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ひろしま(1953年製作の映画)

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撮影は被爆からさほど年月が経っておらず、当事者としてもメンタルに相当な負荷がかかり、容易な撮影ではなかったはず。それでも記録映像として残さなければならないという強い使命感が、フィルムに焼き付いている。>>続きを読む

オッペンハイマー(2023年製作の映画)

4.7

ノーマルフォーマットにて。はじめに、IMAXカメラで撮影された作品ではあるが、1回目はノーマルフォーマットでの鑑賞をお勧めしたい。IMAX規格の映像だからすごいという映像表現ではなく、単純に映画作家と>>続きを読む

デストラップ/狼狩り(2020年製作の映画)

3.5

これは思わぬ拾い物。タイトルやポスタービジュアル、スター俳優の不在、耳馴染みのない配給会社の心配要素を吹き飛ばすほどの快作。

社会的なイシューの匂いを微塵も感じさせない割り切りの良さ、畳み掛ける作劇
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オーメン(1976年製作の映画)

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あまりにも端正な作りに驚いた。人物の死亡シーンが声が出るほどかっこいい。猿や犬などの動物が何かに反応を示し襲いかかってくる演出は、目には見えない力を説得力を持って感じることができる。

アインシュタインと原爆(2024年製作の映画)

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科学の大天才が1人の人間としてのあるべき姿と、現実の自分に苦悩する姿が痛々しい。

ゴーストバスターズ/フローズン・サマー(2024年製作の映画)

2.3

序盤のECTO-1がニューヨークの街を駆け抜けるシークエンスは素晴らしかった。マンホールの蓋が上空に飛び上がり、落下する様をカメラが追随するというカーアクションと同時に進行する。ダイナミズム溢れるシー>>続きを読む

インソムニア(2002年製作の映画)

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圧倒的なロケーション、意表を突くキャスティング、『ダークナイト』への布石、知名度とは裏腹にノーランの着実なキャリア形成を感じる作品。

サブリミナル的なカッティングと、不眠症を起因とした主人公の不安定
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デューン 砂の惑星PART2(2024年製作の映画)

3.9

通常版、IMAXレーザーGTにて。

PART1に比べ、格段とストーリーの展開スピード、アクションの身の入り方がグレードアップしていた。ハンス・ジマーの劇伴の音響は凄まじいものの、そこまで前線に繰り出
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マエストロ:その音楽と愛と(2023年製作の映画)

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キャリー・マリガンの危篤状態の演技が振り切るとこまで振り切っていて圧巻だった。

ナポレオン(2023年製作の映画)

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隙のない作品かと思いきや、想像以上にかわいげがあってほのぼの。人間模様の描き込み不足なのは否めないが、しっかりとリドスコ節は炸裂している。

ギルバート・グレイプ(1993年製作の映画)

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主人公が絶望まではしていなのがリアルで、多面的にテーマを捉えている。家具を全部、表に出して燃える家を眺めるショットが美しい。

さくらももこワールド ちびまる子ちゃん わたしの好きな歌(1992年製作の映画)

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何度目かの。

アニメーション映画史に残る屈指の大傑作。亜細亜堂の細やかで丁寧な仕事、各音楽パートのユーモラスな演出(湯浅政明パートは別格)、選曲、さくらももこ本人の脚本と、すべてが奇跡的に邂逅し、結
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ドラゴンボール 神龍の伝説(1986年製作の映画)

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鳥山明がラフデザインも手掛けたらしいオリジナルキャラクター、パンジのデザインが素晴らしい。牧歌的な村娘の服装にベースボールキャップを合わせるという気の利いた可愛らしさ。背景美術の美しさも良し。

鳥山
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アメリカン・フィクション(2023年製作の映画)

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視覚的なアプローチに頼らず、知性をもって表現されることが本作のテーマとも親和性が高く評価できる。

パーフェクトブルー(1998年製作の映画)

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アニメーション作品であることの自覚から導かれる飛躍と、必然性に満ちている。語り口は極めて映画的で一切の緩みがない。

常に誰かに自分の一部分だけを知られ続けるということの恐ろしさを説く。都合の良い側面
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みなに幸あれ(2023年製作の映画)

3.0

日本家屋の中を動き回る、計算されたカメラの動線が見事。怪奇な現象への主人公のリアクションの演出も嫌な引っ掛かりもない。保守的社会が極まった世界のフィクションとして楽しめた。

幸福について説いているが
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ヴァチカンのエクソシスト(2023年製作の映画)

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エクソシズムを、しっかりとポピュラリティを掴み取れる構成で仕上げたという印象。しかし、そのカタルシスを得るのであれば別のテーマでも事足りるなとも思う。

現実を受け入れるべく夢を見る(2020年製作の映画)

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被写体の映る部分と映らない部分のメリハリの効いたアングルが秀逸。

ボーはおそれている(2023年製作の映画)

2.5

悲壮感はないのだけれど、かと言って笑えるのかと言われれば笑えないという曖昧さの中を彷徨った3時間。ジャンルから外れたときのアリ・アスターが、自由さを履き違えて仇となった形。良くも悪くもまだまだアリ・ア>>続きを読む

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)

1.0

映画としての構造が醜悪すぎる。出資はUNIQLO。プロデューサーは渋谷トイレプロジェクトを発案した柳井康治。脚本に電通。

役所広司演じる平山は、低賃金で働くトイレ清掃員。寡黙で真面目な性格で、あまり
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