蛇らいさんの映画レビュー・感想・評価 - 2ページ目

ナポレオン(2023年製作の映画)

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隙のない作品かと思いきや、想像以上にかわいげがあってほのぼの。人間模様の描き込み不足なのは否めないが、しっかりとリドスコ節は炸裂している。

ギルバート・グレイプ(1993年製作の映画)

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主人公が絶望まではしていなのがリアルで、多面的にテーマを捉えている。家具を全部、表に出して燃える家を眺めるショットが美しい。

さくらももこワールド ちびまる子ちゃん わたしの好きな歌(1992年製作の映画)

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何度目かの。

アニメーション映画史に残る屈指の大傑作。亜細亜堂の細やかで丁寧な仕事、各音楽パートのユーモラスな演出(湯浅政明パートは別格)、選曲、さくらももこ本人の脚本と、すべてが奇跡的に邂逅し、結
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ドラゴンボール 神龍の伝説(1986年製作の映画)

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鳥山明がラフデザインも手掛けたらしいオリジナルキャラクター、パンジのデザインが素晴らしい。牧歌的な村娘の服装にベースボールキャップを合わせるという気の利いた可愛らしさ。背景美術の美しさも良し。

鳥山
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アメリカン・フィクション(2023年製作の映画)

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視覚的なアプローチに頼らず、知性をもって表現されることが本作のテーマとも親和性が高く評価できる。

パーフェクトブルー(1998年製作の映画)

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アニメーション作品であることの自覚から導かれる飛躍と、必然性に満ちている。語り口は極めて映画的で一切の緩みがない。

常に誰かに自分の一部分だけを知られ続けるということの恐ろしさを説く。都合の良い側面
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みなに幸あれ(2023年製作の映画)

3.0

日本家屋の中を動き回る、計算されたカメラの動線が見事。怪奇な現象への主人公のリアクションの演出も嫌な引っ掛かりもない。保守的社会が極まった世界のフィクションとして楽しめた。

幸福について説いているが
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ヴァチカンのエクソシスト(2023年製作の映画)

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エクソシズムを、しっかりとポピュラリティを掴み取れる構成で仕上げたという印象。しかし、そのカタルシスを得るのであれば別のテーマでも事足りるなとも思う。

現実を受け入れるべく夢を見る(2020年製作の映画)

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被写体の映る部分と映らない部分のメリハリの効いたアングルが秀逸。

ボーはおそれている(2023年製作の映画)

2.5

悲壮感はないのだけれど、かと言って笑えるのかと言われれば笑えないという曖昧さの中を彷徨った3時間。ジャンルから外れたときのアリ・アスターが、自由さを履き違えて仇となった形。良くも悪くもまだまだアリ・ア>>続きを読む

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)

1.0

映画としての構造が醜悪すぎる。出資はUNIQLO。プロデューサーは渋谷トイレプロジェクトを発案した柳井康治。脚本に電通。

役所広司演じる平山は、低賃金で働くトイレ清掃員。寡黙で真面目な性格で、あまり
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パリ、テキサス(1984年製作の映画)

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決して美しくないものを、美しく撮ってしまうことのジレンマみたいなものがむず痒く感じてしまう。

夜明けのすべて(2024年製作の映画)

4.7

病をテーマにした作品ではあるが、本作は余命宣告や大恋愛といった分かりやすいドラマチック展開は用意されていない。なぜ、それでも観客の心を惹きつけるのか。病人と病人でない人物がシームレスに描かれていること>>続きを読む

哀れなるものたち(2023年製作の映画)

3.9

序盤はヨルゴス・ランティモスの作家性丸出しのルックと語り口に悪酔いしそうな予感がしていたが、徐々に物語との調和がとれてきてからはのめり込んでいた。胎児の脳を死んだ母親の頭に移植するという、悪趣味全開の>>続きを読む

レッド・ロケット(2021年製作の映画)

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変にセンチメンタルな方向に持っていかないのがかなりクール。もはやショットの美しさだけがカタルシス。それで良い。

ファースト・カウ(2019年製作の映画)

3.6

現代の人物が彼らの死体を掘り起こしたことが、劇中で起こる事象が地続きになっていることを象徴している。彼らの友情はあまりにも美しいが、彼らが辿り着ける場所はあそこまでであった。絶望的ではあるが、どこか誇>>続きを読む

ロブスター(2015年製作の映画)

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社会という枠組みの中でしか人は恋愛が許されないいう意味では、現実とさほど変わりはないのかもしれない。

レインコートのレア・セドゥは今まで見た中のルックでベスト。

千年女優(2001年製作の映画)

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北海道出身の監督ゆえに雪の描写が完璧だった。人物に向かってくる雪つぶ、降り落ちる速度、手前と奥手で違う動きをする風雪など、アニメーションでここまで雪に対するこだわりを感じられたことが嬉しかった。

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リバー・オブ・グラス(1994年製作の映画)

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『俺たちに明日はない』へのケリー・ライカートからの回答のように写った。こんなに華麗にトキシックな男性性をあしらった作品は他にないかもしれない。

東京ゴッドファーザーズ(2003年製作の映画)

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何度目かの。

これからの未来、ありえたかもしれない人生、取り戻せない過去を清子を通して浮かび上がらせる。

いわゆるご都合主義と言われる作家として映画にもたらせうる力を自覚的、メタ的に物語の中に落と
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アミューズメント・パーク(1973年製作の映画)

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視点の鋭さと舞台設定の妙。全員が同じ入場料で存在できる世界で、何故かアンバランス。遊園地という楽しげな場所だからこそ浮かび上がる格差にぞっとさせられる。

アリスとテレスのまぼろし工場(2023年製作の映画)

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さもすればどうでもいいと思われそうなよくある青春群像劇を、どうでもよくない物語へと昇華させている。

現実味のない現実を生きる現代の若者への讃歌。的確かつメタ的な表現もしっかりと腑に落ちるような構造で
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二重生活(2016年製作の映画)

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尾行というドラマチックなテーマでありながら、ごくありふれた展開に収斂されていくため、主題がぼやける。観る側をリードするナラティブがない。

ラストナイト・イン・ソーホー(2021年製作の映画)

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さすがはエドガー・ライト。ただ走る人物を追うだけのショットが上手い。

ショービジネスと男性優位社会に虐げられる女性が、現在でもそれらの亡霊にまとわり付かれ続ける姿が痛ましい。片棒を担いで来た映画業界
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TITANE/チタン(2021年製作の映画)

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高尚なものとして見るのか、とてつもなく変なものとして見るのかの判断を絶え間なく迫られるのが疲れる。

白雪姫(1937年製作の映画)

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30分で終わるような話を、力ずくで引き延ばしてるもんだから退屈で仕方ない。相当数のアニメーターを起用した手数のみが顕在化し、ユーモラスな演出は希薄だ。写実的な人間の表情が妙にリアルで気持ち悪い。

ほつれる(2023年製作の映画)

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話運びの巧妙さと大胆さが共存できている。役者の表情を逃さない手腕と、それだけで物語を構成てぎるんだという自信を感じられる。

グランピングという流行ではあるが、あまり誰も手をつけてこなかったロケーショ
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M3GAN/ミーガン(2023年製作の映画)

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基本的な危険回避能力の欠如によるイライラはついて回るが、スプラッター性も機能しているし、何よりキャラクターとしての斬新さと説得力は群を抜いて素晴らしい。ラストはブルースのみで攻略して欲しかったことと、>>続きを読む

もっと遠くへ行こう。(2023年製作の映画)

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退廃的な世界の中に、純真さを纏って立ち上がる夫婦間の愛情をSFの中に上手く落とし込めていた。反面、2人の男性の人生を背負わされる女性の姿を目の当たりにして居た堪れなくなった。

フランケンシュタイン(1931年製作の映画)

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燃える風車を斜め下から捉えたアングルがかっこよすぎる。

TALK TO ME/トーク・トゥ・ミー(2022年製作の映画)

3.3

ホラー映画の基本的なノウハウで推進してくのに、かなり現代的な集団心理を描いているように見えるのが不思議だった。トキシックマスキュリニティの先にある末路が痛々しく、死者へ思いと崇拝が紙一重ですれ違う展開>>続きを読む

終わらない週末(2023年製作の映画)

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大胆なカメラワークと怒涛のように押し寄せるメタ的な展開に翻弄さてつつ、どこに着地するかわからないフラストレーションが心地よい。

ウォンカとチョコレート工場のはじまり(2023年製作の映画)

2.4

ルックに関しては『夢のチョコレート工場』からのリファレンス。毒々しさは『チャーリーとチョコレート工場』から。双方の要素のバランスと、ハートウォームなナラティブとのチグハグ感に納得できず。

窓ぎわのトットちゃん(2023年製作の映画)

3.8

冒頭から昭和初期の日用品や家屋、雑貨類、乗り物、街並みの描き込みに驚愕した。そのどれもが丁寧かつ魅力的に描かれ、膨大な数の資料を参考にし、時代への郷愁に繋がるような仕事をしようという心意気がひしひしと>>続きを読む

映画ドラえもん 新・のび太の日本誕生(2016年製作の映画)

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のび太の部屋には『夕陽のガンマン』のポスターが飾られ、『夢をかなえてドラえもん』のジョン・ウィリアムズ風味の劇伴がハリウッド的。しずかちゃんの「七万年の時差ボケね」という詩情のあるセリフも良い。