蛇らいさんの映画レビュー・感想・評価 - 5ページ目

ケイコ 目を澄ませて(2022年製作の映画)

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16mmフィルムと主人公の聴覚障害から起因する台詞の少なさでありながら、何故にこんなにも、人間の機微が精彩に立ち上がるのか。

原風景のような街の質感と、前に歩を進めることをやめないケイコとの間に、自
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MAMA(2013年製作の映画)

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部屋の仕切りを画面上のコマ割りとして機能させた演出は上手い。

デルトロが製作に入っていることから、悪霊はクリーチャー気味のルック。脚本もワンツイストを加えて思慮深いものになっているのは確かだが、力ず
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リトル・マーメイド(2023年製作の映画)

2.5

日本語吹替版にて。ハイリー・ベリーの歌声とオークワフィナのラップを聴けなかったのは心残り。

ロブ・マーシャルのディズニー仕事を総括するような演出も楽しめる。『パイレーツ・オブ・カリビアン 生命の泉』
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フック(1991年製作の映画)

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子どもたちが絵に描いたような装備で戦うのが良い。人魚とキスするのは引いた。

思い出と幸せを抱きしめれば空だって飛べるという、ピーターパンの逆説的描き方が彼を父親にさせる。

ワイルド・スピード/ファイヤーブースト(2023年製作の映画)

3.3

まさか『ワイルド・スピード MEGA MAX』が再演されるとは思わずテンションが上がってしまった。最初はジャスティン・リンからルイ・レテリエで大丈夫かよと思っていたが、これがまためちゃくちゃ面白い出来>>続きを読む

帰れない山(2022年製作の映画)

3.3

山への憧れや包容力、山そのものの存在感に囚われた男の姿が痛ましかった。クレバスを飛び越え、早くに自立し、山に認められた男のトキシックマスキュリニティが顕在化するほどに追い詰められていく。

山小屋を建
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シカゴ(2002年製作の映画)

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調律の取れ切った脚本と演出の凡庸さに頭を抱えた。リチャード・ギアってほんとに空気みたいな役者だなと。待てど暮らせど映画的な楽しさは訪れず、終幕。

リトル・マーメイド(1989年製作の映画)

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水中の表現としての、髪の毛の揺らぎの描き方は革命だと思う。

怪物(2023年製作の映画)

3.8

脚本の技巧を駆使し、娯楽性に即した構造をしている作品は苦手意識があるのだが、本作は単なるギミックが前傾化した作品ではない。劇中で各キャラクターが抱える問題は、事実以上の何物でもないという描き方は極めて>>続きを読む

奇跡(2011年製作の映画)

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まだ荒削りな筆致ではあるが、社会は子どもたちの中にもしっかりと存在していることを描いている。

逆転のトライアングル(2022年製作の映画)

3.6

男女間のヒエラルキーや貧富の差、豪華客船と無人島や食べた物、トイレからの排泄物、商売道具がすべて逆流して構築される物語のアイデアに脱帽。

平等を突き詰めれば、そもそも資本主義社会であることが平等では
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トランスポーター(2002年製作の映画)

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意味の分からなさが面白く感じることもなく、ただ時間が経過する。

クリード 過去の逆襲(2023年製作の映画)

2.6

結果として自由さを得たジョーダンが何をすべきか見失い、スタローンの役者と作家としての不在を嘆く作品になってしまった。スタローン自体、器用な作家ではないが力尽くでも確実にカタルシスへと導くパッションはあ>>続きを読む

Winny(2023年製作の映画)

3.4

本作に対して複雑な感情を持った、というのが正直なところ。出る杭を打ってしまった先に発展が遅れているこの国の現状があると言い切れないもどかしさがある。彼の存在はつまるところ何だったのか、という明確なアン>>続きを読む

ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい(2023年製作の映画)

3.9

今まで物語から取りこぼされて来た観客(自分を含め)を掬い上げてくれたと感じる。少なくとも近年の日本映画では、ここまで的確に、そして世代の空気感に隣接してホモソーシャルやアセクシャルについて語られたのは>>続きを読む

ノートルダム 炎の大聖堂(2022年製作の映画)

3.6

燃える大聖堂や、当時の街の人々を映した実際の映像と、今回映画用に撮り下ろした映像を巧みに繋ぎ合わせてリアリティを生んでいた。火災のシーンは実際の炎を使っても撮影された。やはり、実物は画面から温度や匂い>>続きを読む

フレンチアルプスで起きたこと(2014年製作の映画)

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今まで観たことのない斬新さだった。どのシーンも一切ダレることのない気まずさが押し寄せ、ショットのアングルや、どの被写体にピントを合わせているのかで、心情を表現している。

リゾートでありながら、雪山の
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TAR/ター(2022年製作の映画)

4.0

時代の流れの相対として文化、芸術を具現化した人物がリディアであるという解釈が自分としては1番しっくりきた。

長年の間、ハイカルチャーとされてきた文化や芸術は権威主義の名の元、高尚で非大衆的なものであ
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ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー(2023年製作の映画)

1.9

1時間半という尺に、ゲームと映画作品としての差異や世界観の構築、劇中ルールの提示など、様々な負荷がのしかかってがんじがらめになっている印象を受けた。ゲームキャラクターという性質上、バッググラウンドを深>>続きを読む

日本製造 メイド・イン・ジャパン(2018年製作の映画)

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抑制されたグレーディングが冴えている。ファーストカット以降のサスペンスが弱いが、明確な意思の伺える映像だ。現実が、現時点で本作のストーリーより悲惨な状況にあることが少しマイナスに働いている。

リトル・チルドレン(2006年製作の映画)

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カタルシスに痛烈さを求めず、社会に対しての冷静なクリティックを描いている。

音が止まる、鳴り始めるといった基本的な演出で心情の機微を浮かび上がらせる。

ゴーステッド Ghosted(2023年製作の映画)

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このレベルの映画に出るのおかしいだろ、という主演2人の違和感が逆に斬新。ベッタベタのメロドラマをそれらしく演じる振る舞いが愛おしい。

ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3(2023年製作の映画)

4.1

さて今回はどんなハイテンションで最高なダンスナンバーで彩るアバンタイトルが見られるのか、と期待に胸を膨らませた矢先に見事に打ち砕かれる哀愁と憂い。まんまと意表を突かれた。

明らかに過去2作品とは一線
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東京物語(1953年製作の映画)

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共同体に対する希薄さへの憂いが寂しさを生む様を、まじまじと見せつけられた。それが日本の生活様式の美しさと相まって、心地よい違和感の中に浮遊する。「家族愛」なんて言葉の稚拙さを思い知ると同時に、他人がい>>続きを読む

ダークグラス(2021年製作の映画)

2.1

冒頭の日食を見上げる街の人々の異様なショットで期待させつつ、そこから何ら広がりを見せない凄みの無さに、古来からのファンは燃えるのだろうか。

1時間半とは思えないほどのスローなストーリーテリングと起伏
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ティーン・タイタンズGO! トゥ・ザ・ムービー(2018年製作の映画)

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制作側と観客側の無意識な盲信さを批判する肝の座り方が潔い。ヒーロー弄りの一辺倒さはあるものの、最後まで飽きさせない面白さはある。

わたしは目撃者(1970年製作の映画)

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スプラッター描写のキレの良さには感服。落下の美学が通底して素晴らしい。

零落(2023年製作の映画)

3.0

時折見せる印象的なインサートがかなり効いている。心情を表現したかのような雄弁さと美しさが共存している。ワンカットでいながら、流れるカメラワークで人物に寄っていくショットで起伏を生む。

漫画というアー
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ベイビーわるきゅーれ 2ベイビー(2023年製作の映画)

3.5

本作の良いところは殺し屋がしっかり社会の枠組みに入れられているところで、逆に言うと殺し屋という完全な社会不適合者でさえも、社会の仕組みからは逃れられないジレンマさえも示唆している。

その中で非正規雇
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エンパイア・オブ・ライト(2022年製作の映画)

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窓や柱の区切りをフィルムの一コマに見立てて、手前と奥側の被写体を動かしたり、ドリーを使って画角を動かしたりするアイデアは流石だ。

ロジャー・ディーキンスの撮影もさることながら、トレント・レズナーとア
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べイビーわるきゅーれ(2021年製作の映画)

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良過ぎるプロットだからこそ高望みしてしまう部分もあるが、これくらいのルーズさが強みなのかもしれない。

『パーフェクト・ドライバー/成功確率100%の女』もそうだったが、殺し屋然としない世俗的な部屋着
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西部戦線異状なし(2022年製作の映画)

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モノクロームでもなく、フィルム撮影でもない。戦争映画と戦争の現在地。戦争が起こる現実で、部屋の中で観る戦争という構図は、くしくも意図されたものか。

ダンジョンズ&ドラゴンズ/アウトローたちの誇り(2023年製作の映画)

3.5

各キャラクターの描き分けと、見せ場の配分の良さが秀逸。しっかりと愛着の湧くパーティーになっているし、キャラクターの特徴を生かした作劇で見応えのある仕上がり。

基本はコメディタッチの作風で手数も多い印
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パーフェクト・ドライバー/成功確率100%の女(2020年製作の映画)

3.4

主人公のキャラクターがアウトローな設定でありながら、一般的なアパートに住んでいるという描き方がとても良かった。キャラが物語や境遇に奉仕し切らず、自由さが感じられた。

『LOGAN/ローガン』『THE
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お!バカんす家族(2015年製作の映画)

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ネタの数が多いに、笑いのクオリティもキープできていて凄い。

シン・仮面ライダー(2023年製作の映画)

2.2

悪を成敗するというヒーローに背負わされた宿命を、序盤の血だらけアクションで分かりやすく本質を突いたのは良かった。正義という大義名分の名の下に行われる暴力について言及するのは、作品として健康的だ。しかし>>続きを読む