てんあお

ネオン・デーモンのてんあおのレビュー・感想・評価

ネオン・デーモン(2016年製作の映画)
3.8
だいぶましになったと思えるのは、彼が考えるホドロフスキーイズムの現れだとおもうのだけど、何かが圧倒的に足らない。かくいう私も、同じものを好んでいる筈なのに、この飲み込めない異物感は何か。

エル・ファニングの腰から下(まぁ… 臀部だよね)を、後ろから舐め回すように撮ることもなければ、思い出したように猟奇趣味へと回避するあたりが、己の美観と趣向を徹底的にフィルムに刻み付けるグザヴィエ・ドランやトム・フォードあたりとの決定的な差のようにも思える。

意外だなと思うのは、この作品が山戸結希監督の好きそうな設定だと、一瞬感じたこと。しかし、その尺度で考えたときに横たわるのは、美しいものとセクシャリティに対する距離の取り方だろう。彼女なら、プールの端に佇むエル・ファニングをあんな風に扱うだろうか?どんなに美しく整えても、おじさんが考える、処女性と猟奇趣味の限界を見た思いがする。
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