富樫鉄火さんの映画レビュー・感想・評価

富樫鉄火

富樫鉄火

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噂の娘(1935年製作の映画)

4.0

#68 東京活写
こんなむかしの映画なのに、テンポやカットが意外と現代的で驚く。
ネット上にカラーライズ版がアップされているが、ぼんやり観ていると、昭和30年代のカラー初期作品かと見紛う。
女優3人が
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父 パードレ・パドローネ(1977年製作の映画)

4.5

#67 イタリア映画祭2024特別上映
ほぼ封切り以来の再鑑賞。
古来からある父離れ子離れの物語を、きわめて文学ふうに描く、普遍的な映画。
いま観ても、まったく古びておらず、演出方法も斬新で、飽きなか
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ヴォラーレ(2023年製作の映画)

4.0

#66 イタリア映画祭2024

最高だった。
いかにもイタリアらしいお気楽コメディで、この映画に出会えて、今年もこの映画祭に行ってよかったと思えた。
マルゲリータ・ブイの初監督作だというので、若干、
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美しい夏(2023年製作の映画)

3.0

#65 イタリア映画祭2024

パヴェ―ゼの名作小説が映画になったというので、期待して行ったのだが、かなり残念な結果に。
そもそも、主人公の少女2人は、16歳と19歳のはずなのに、あれでは、オバサン
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そう言ったでしょ(2023年製作の映画)

2.5

#64 イタリア映画祭2024
異常猛暑なのに、冬服で厚着してるの、おかしくないか。
そもそも、エピソードの設定が猛暑とからんでおらず、あまり意味を感じなかった。
これで2時間は、きつかった。

僕はキャプテン(2023年製作の映画)

4.5

#63 イタリア映画祭2024
すごい映画だった!
2時間、歯ぎしりしながら観た。
以前、難民映画祭で観たメキシコ映画『金の鳥籠』とまったく同じ設定。
イスラーム映画祭でも似た内容の映画は多く、あまり
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グローリア!(2024年製作の映画)

3.0

このレビューはネタバレを含みます

#62 イタリア映画祭2024
テーマも設定もよいのだが、脚本が冗長で、焦点が定まっていない、残念な作品。
18世紀の話なのに、アディエマスそっくりの音楽がクライマックスでは、しらける。
楽長役の俳
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華岡青洲の妻(1967年製作の映画)

5.0

#61 デコちゃん生誕100年
(#60は『花つみ日記』再鑑賞)

10年ぶりくらいに再鑑賞。
すごい映画だ。
大映スターのなかに、ライバル会社・東宝のスターを連れてきて無理やり画面内で演技対決させ
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エドガルド・モルターラ ある少年の数奇な運命(2023年製作の映画)

4.5

#59
これが84歳の脚本監督作と知って、衝撃を受けた。
演出力、構成、画面、美術、どれをとってもすごい迫力だった。
往年のベルトルッチやヴィスコンティに近いものを感じて、ため息が出た。
この監督の作
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マリウポリの20日間/実録 マリウポリの20日間(2023年製作の映画)

4.0

#58
なかなかすごいドキュメンタリだったが、これが、すでに昨年、NHK-BSで放映されていたと知って、複雑な気分になった。
そのとき、どれほど話題になっただろうか(あたしが知らなかっただけかもしれな
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花籠の歌(1937年製作の映画)

3.5

#57 デコちゃん生誕100年
見るたびに、ラストで絹代と黎吉が食事しているシーンの前に、欠落があるような気がしてならない。
しばしば映る橋と川は、三原橋のような気がするのだが、あそこに、近年まで「銀
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(1929年製作の映画)

3.0

#56 デコちゃん生誕100年
いままで30数分版しかなかったが、これは1時間の長尺版。
新発見のNP。
4歳だかのデコちゃん、泣いたり笑ったりしてるが、あれが「演技」だとしたら、たしかに驚く。
活弁
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劇場版 再会長江(2024年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

#55
てっきり、大自然を撮った自然保護ドキュメントかと思いきや(その要素もあるが)、メッセージや思想性より、再会と別れを描く人間ドラマに徹しており、それが成功していた。
とにかく手間と時間のかかった
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壮烈第七騎兵隊(1941年製作の映画)

3.5

#54 ウォルシュ大会
いろいろ毀誉褒貶あった問題人物を、換骨奪胎して、それなりに面白く描いた痛快評伝映画。
たいへんな快速テンポで楽しめたが、エロール・フリン、もうすこし、深みのある芝居ができていた
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恋するプリテンダー(2023年製作の映画)

4.0

#52
あまり期待せずに観たのだが、意外と楽しかった。
設定などをあれこれ言うのは野暮で、手練れのプロがつくった、堅実な娯楽映画という感じ。
映画ならではのスケールもあって、飽きなかった。
主演女優が
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荒野の用心棒 4K復元版(1964年製作の映画)

5.0

#51 ドル三部作大会
これまた、あまりのすさまじい面白さに、総毛立った。
完全盗作なのに、なぜ、こんなに面白いのか。
監督、主演、音楽の3人が、映画は、どうつくればお客が喜ぶかを、十二分に知っていた
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パスト ライブス/再会(2023年製作の映画)

3.5

このレビューはネタバレを含みます

#50
新聞映画評は、どこもトップで大絶賛だったが、それほどでもなかった。
ただ、主役2人が、たいへん微妙な表情や仕草を実にうまく演じており、また、カメラも、長回しで、それらをじっくり見せてくれるので
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オッペンハイマー(2023年製作の映画)

3.0

#49
いかにもアメリカのインテリが喜びそうな赤狩り話を、ものすごく細かいカットと、錯綜する時間軸で描いており、いささか疲れた。
この監督の映画はいつもそうだが、もうすこし、「ふつう」に観たかった。

サンタ・ビットリアの秘密(1969年製作の映画)

3.5

#48 アンソニー・クイン大会
ネタも脚本もいいのだが、いかんせん、監督(スタンリー・クレイマー)も、音楽(アーネスト・ゴールド)も、生粋の「社会派」なので、コメディに徹しきれなかった、残念な「アメリ
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デューン 砂の惑星PART2(2024年製作の映画)

4.0

#47
前作に続いて、むかし、石森章太郎の挿絵で読んだときのイメージにかなり近い出来で、原作ファンとしては、たいへんうれしい。
砂虫での高速移動シーンなど、素晴らしい。
しかし、ここまでCGであらゆる
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砂漠のライオン(1981年製作の映画)

4.0

#46 アンソニー・クイン大会
あまりメリハリのない脚本で、ほぼ全編が戦闘シーン。
ところが、この戦闘シーンが、CGのない時代、かなりリアルな「再現」で、目が離せない。
これ、何人か、ホントに死んでる
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続・夕陽のガンマン/地獄の決斗 4K復元版(1966年製作の映画)

5.0

#45 ドル3大会
映画のなかの映画。
3時間、間のびしたダラダラ場面ばかりなのに、なぜ、こんなに目が離せず、緊張が途切れないのか。
奇跡的な映画だ。

こんな大画面で観たのは初めてで、サッドヒルのシ
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愛と死(1971年製作の映画)

3.0

#44 山田太一木下恵介師弟大会
原作に引っ張られすぎだと思う。
武者小路作品の精神は、すでに1970年には、ストレートには通じなくなっていたのではないか。
そのまま描き過ぎでは。
全編が栗原小巻ファ
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ゴーストバスターズ/フローズン・サマー(2024年製作の映画)

3.5

#43
あまりあれこれ言っても意味ない、理屈無用のエンタメ。
2時間、十分楽しんだ。
主演の女の子が魅力的だった。
エンドロールで流れるあのテーマ曲は、本当に名曲。
あれが流れると、懐かしさでワクワク
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英国ロイヤル・オペラ・ハウス シネマシーズン 2023/24 ロイヤル・バレエ 「マノン」(2024年製作の映画)

4.0

#42
(以下は、ブログhttp://togashitecca.blog.fc2.com/blog-entry-320.html からの一部抜粋です)

この《マノン》は、マスネのオペラがあるのに、そ
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私は今も、密かに煙草を吸っている(2016年製作の映画)

4.0

#41 イスラーム映画祭9
ムスリム女性の“溜まり場”映画といえば、いままでにも美容院など、いくつかあったが、まさか女性専用公衆浴場がでてくるとは驚いた。
その、初めて見るヴィジュアルの強烈さと、特に
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スターリンへの贈り物(2008年製作の映画)

4.5

#40 イスラーム映画祭9
泣かされた。
機関車の駅で、少年と老父の別れ……『砂の器』以来の名場面だった。
カザフ人の命運を、ムスリム、ユダヤ少年、クリスチャン女性などを配して、通俗メロドラマで描きな
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炎のアンダルシア(1997年製作の映画)

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#39 イスラーム映画祭9
これを観て、エジプトのひとたちは、すんなり理解できたのだろうか。
一応、事前にパンフで理解したつもりだったが、いざ観ると、かなり複雑な歴史知識が必要で、さらにあまりに多い登
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私が女になった日(2000年製作の映画)

4.0

#38 イスラーム映画祭9
これは面白い映画だった。
イスラム社会における女性への抑圧を、寓話的に描いた3話オムニバスのファンタジー。
最後に3つの設定が見事に重なって、「映画」でなければできない感動
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戦禍の下で(2007年製作の映画)

4.0

#37 イスラーム映画祭9
今回が初鑑賞だが、心底、観てよかったと思った。
すごい映画だった。
第二次レバノン戦争の真っただ中で撮影を開始し、戦禍のドキュメント・フッテージを集めたあと、停戦後(それで
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辛口ソースのハンス一丁(2013年製作の映画)

3.5

#36 イスラーム映画祭9
これは、たいへん楽しく観た。
『おじいちゃんの里帰り』など、ドイツのトルコ移民を描いた映画は、よい作品が多い。
編集が、いかにもコメディ特有のダイジェスト風で、途中から少々
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ハンズ・アップ!(2010年製作の映画)

3.5

#35 イスラーム映画祭9
『ぼくらの七日間戦争』と、そっくりのシチュエーションで、ちょっと驚いた。
もしや、かなり参考にしたのではないか。
もちろん、たてこもりの理由は、『七日間戦争』とはちがって、
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ハーミド〜カシミールの少年(2018年製作の映画)

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#34 イスラーム映画祭9
カシミール地方を舞台にした、少年の成長物語。
基本形は『君たちはどう生きるか』とおなじで、親の失踪(死)をいかに受け入れ、乗り越えていくかが主軸だが、そこにアッラーや、イン
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プリシラ(2023年製作の映画)

3.5

#33
エルビスの幼な妻物語だが、こんな実情だったとは驚いた。
いかにもソフィア印の映画だったが、もう少し、彼女の苦悩を掘り下げてほしかった。
まだご本人が存命中のはずで、それゆえ、描きにくい面もあっ
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ゴールド・ボーイ(2023年製作の映画)

4.5

#32
面白かった!
さすが、金子修介は、少年少女の扱いがうまい。
しかも、演出やテンポが絶妙。
2時間全編、一瞬たりと先が読めず、どんでん返しの連続だった。
おそらく原作がよくできているのだと思うが
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