富樫鉄火さんの映画レビュー・感想・評価 - 18ページ目

富樫鉄火

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METライブビューイング2018-19 ヴェルディ「椿姫」(2019年製作の映画)

5.0

最近のMETの《椿姫》は、前衛抽象ともいうべき妙な演出だったが、ひさびさに、本来のヴェルディらしい舞台にもどってくれた。しかもディアナ・ダムラウが、空前絶後の熱演、名演、快演。ひさびさに涙があふれるラ>>続きを読む

ナショナル・シアター・ライヴ 2018 「アマデウス」(2017年製作の映画)

3.5

高麗屋の日本版舞台は何度も観てきたが、さすがにロンドン版は、初めて観た。初演からかなりたっており、たぶん、演出も現代風にかなり変わっているのだと思うが、客席が、始終大笑いしているのは意外だった。特に、>>続きを読む

ナショナル・シアター・ライヴ 2020 「スモール・アイランド」(2019年製作の映画)

4.0

我々日本人には、ほとんど知られていない、ジャマイカ→英国への戦後移民たちの苦闘の物語。イギリスではカンバーバッチのTVドラマとしてヒットした原作の舞台化だと聞いていたので、TV人気に当て込んだキワモノ>>続きを読む

パリ・オペラ座バレエ・シネマ 2020 「夏の夜の夢」(2017年製作の映画)

2.0

バランシン演出だというので期待して行ったのだが、いままで、数え切れないほどこの原作芝居を観てきたあたしでも、なんだか、よくわからなかった。とにかくややこしい話なのだから、それをセリフなしの舞踏劇にする>>続きを読む

ナショナル・シアター・ライヴ 2020 「真夏の夜の夢」(2019年製作の映画)

1.5

公爵夫妻と妖精夫婦を同一役者に演じさせたり、挙句の果ては、オベロンとティターニアのセリフや設定を入れ替えたりと、あまりにも遊びが過ぎる。あんなことをする意味がわからない。ニックも騒ぎすぎであまりに品が>>続きを読む

夏の夜の夢(2014年製作の映画)

4.0

DVD化もされているが、コロナ後再開直後のシネコンで再上映されていたので、3回目の鑑賞。ジュリー・テイモアの演出だけに、かなり『ライオン・キング』化されているが(笑)、やはり、キャサリン・ハンターの独>>続きを読む

スウィング・キッズ(2018年製作の映画)

3.0

巨済島捕虜収容所・暴動事件を、韓国映画特有の、少し大げさすぎる脚色で面白くした戦時エンタメ映画。ほんとうにああいうことだったのか、いささかアレンジが過ぎるような気がしたが、それでもタップ・シーンなど、>>続きを読む

サンダーロード(2018年製作の映画)

2.0

最近、この種の、心や精神・神経を病んだ人間が、社会といかに適応するかを描いた映画が多いが、映画として面白く見せるには、「寓話」性が必要だと思う。本作には、それがないため、主人公に同情はするが、レポート>>続きを読む

ドクター・ドリトル(2020年製作の映画)

2.0

この映画の最大の失敗は、ドリトル先生が、「動物」のためでなく、「人間」(英国女王)のために旅に出て奮闘する設定にしてしまったこと。これだったら、別にドリトル先生にする必然性は、なかった。動物もCG全開>>続きを読む

マルモイ ことばあつめ(2018年製作の映画)

4.0

日本統治下の朝鮮語学会弾圧事件を、「面白くしすぎだろう」と言いたくなるほど徹底的に娯楽アレンジした、なかなかの傑作。実際、戦後、原稿はソウル駅近くの倉庫で発見されたわけだが、なるほど、もしかしたら、こ>>続きを読む

バルーン 奇蹟の脱出飛行(2018年製作の映画)

3.0

観ているときは面白かったのだが、脚本構成が、あまりにサスペンス映画の教科書的なつくりで出来すぎており、結局、ドキドキハラハラさせることが目的の映画だったことに気づき、あとになって、ちょっと寂しくなった>>続きを読む

パブリック 図書館の奇跡(2018年製作の映画)

2.0

極寒の夜に、ホームレスたちが図書館に立てこもり、それを奇妙な司書が幇助する話だが、途中で、スタインベック『怒りの葡萄』が登場した時点で完全にネタバレ。ホームレス=エクソダスのメタファーであり、(この本>>続きを読む

大脱走(1963年製作の映画)

5.0

コロナ禍のなか、6月の映画館再開第一弾、大スクリーンで観た。中学以来、今回でもう20回目くらいか。もう、いまさら、どこがいいとか、どれが魅力だとか、あらためて書かないが、長く愛されつづけている理由のひ>>続きを読む

ボヘミアン・ラプソディ(2018年製作の映画)

3.0

フレディのHIV発覚が、ライブエイド以前に「変更」されており(実際は、あのライブのあと)、たまたま、あたしは、そのことを知っていたので、「まあ、劇映画だからなあ」とは思ったが、それでも、「面白くするた>>続きを読む

もののけ姫(1997年製作の映画)

4.0

コロナ禍のなか、封切以来の大スクリーン鑑賞。いま観たら、どう感じるか、興味津々だったが、意外と新鮮に観られた。文明と自然の対立・共存の難しさを、ここまで幻想メタファーで描いた映画は、あまりないと思う。>>続きを読む

新聞記者(2019年製作の映画)

2.0

よくこういう映画を作ったとは思うが、ほとんどSF映画のような内閣調査室とか、政府のカネで第2の「ダグウェイ羊事件」が起きそうだとか、いくらなんでもあんまりな設定で、結局は娯楽「劇画」であり、にもかかわ>>続きを読む

ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密(2019年製作の映画)

3.0

さすがの面白さだったが、謎解き部分が、あまりにスピーディで、あれよあれよと解説され、初老のあたしとしては、わかったようなわからんような、なんだか煙に巻かれたようで、いまどきのミステリとは、こういうもの>>続きを読む

ぶあいそうな手紙(2019年製作の映画)

3.0

頑固で視力の衰えた独居老人が、風変わりな娘と知り合うことで、新たな(おそらく最期の)生き甲斐を見出す話。ブラジル映画とあって、普段観ている海外作品とはちがった味わいで、面白かった。ただ、あれほど個性的>>続きを読む

ジョジョ・ラビット(2019年製作の映画)

3.0

おそらく、『ブリキの太鼓』のような、諧謔的な戦争文学映画を目指したのだと思うが、いまひとつ、構成や演出に突き抜けたものがなく、少々、中途半端な出来になってしまった。せっかく、スカヨハのような人気女優を>>続きを読む

イエスタデイ(2019年製作の映画)

3.0

たしかに感動するのだが、冷静になってみると、この映画の物語やキャラではなく、「ビートルズの音楽」に感動している自分に気づく。要するに、彼らの音楽は、それほど素晴らしいということを、あらためて気づかせて>>続きを読む

天気の子(2019年製作の映画)

2.0

あたしの仕事場(神楽坂)と、自宅(目白)と、遊び場(池袋)と、文学散歩コース(田端)が、そろって出てくるので驚いた。アニメで、ここまで具体的な描写をしなければならないのか。でも、この監督は、『ほしのこ>>続きを読む

ダンケルク(2017年製作の映画)

1.0

IMAXで、あらためて見直したが、ただ戦場を再現するだけで、大画面で観たからといって何か変わるわけでもなく、やはり、壮大な資源の無駄遣い映画だと、あたしは、思う。ダンケルク戦が題材の映画では、『ミニヴ>>続きを読む

ラ・ラ・ランド(2016年製作の映画)

1.0

封切で観たので、いまさら評するのはいかがと思ったが、どうにもひどいミュージカルで、特に夜の公園のシーンなど、どう見たって『バンド・ワゴン』の、アステア&チャリシーの真似で、それが少しは形になっていれば>>続きを読む

はちどり(2018年製作の映画)

4.0

この監督は、たぶん、小説(純文学寄り)でも、相応のものを書くと思う。できれば、次は、まったくちがう内容を、まずは「小説」で書いて、それから、じっくりと映画化してほしい。いいプロデューサーさえ付けば、カ>>続きを読む

ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語(2019年製作の映画)

5.0

原作小説を、構成変更や換骨奪胎で映画化することはよくあり、今回も、そうなのだが、これが見事に成功しており、グレタ監督は、いままでの作品も見事だったが、今回も、素晴らしい出来。原作の第2部真ん中くらいま>>続きを読む

1917 命をかけた伝令(2019年製作の映画)

2.0

「手法」としては面白いのだが、それが先行で、「物語」は皆無なので、一度観れば十分の、中途半端な映画。

8 1/2(1963年製作の映画)

5.0

#12
デジタル版、再鑑賞。
人間の夢、思い出、幻想、希望を、モヤモヤではなく、「具体的な映像」で描いたらどうなるかに挑戦し、それに成功した奇跡の映画。
女性全員集合の館と、ラスト10分は映画史に残る
>>続きを読む

フェリーニのアマルコルド(1974年製作の映画)

5.0

恵比寿フェリーニ大会。子供時代のおぼろげな「思い出」を、具体的な映像に定着させることに成功した、奇跡的な映像詩。霧の豪華客船、雪のクジャク、春の綿毛、巨乳のタバコ屋おかみ…すべて、子供時代の、おとな世>>続きを読む

アルプススタンドのはしの方(2020年製作の映画)

2.0

かつて、高校野球・吹奏楽応援の指導を長く務めてきた、あたしです。
高校演劇の名作だというので観てみたが、この程度が、いまの高校演劇の最高水準なのかと思うと、暗澹たる気分になった。
そもそも、演じている
>>続きを読む

魂のジュリエッタ(1964年製作の映画)

3.0

恵比寿フェリーニ大会。基本的に『8 2/1』の女性版なのだが、行動原理が「亭主の浮気」なので、フェリーニの壮大な精神世界に見合わず、なんとも中途半端な出来になってしまったのが、残念至極。でも、むかし、>>続きを読む

レイニーデイ・イン・ニューヨーク(2019年製作の映画)

3.5


さすがの手練れだけに、特にあれこれ言うこともないのだけれど、でも、そろそろ、「毒っ気」のあるロマンス・コメディを見せてほしいと願うのは、あたしのわがままでしょうか。

甘い生活(1959年製作の映画)

5.0

恵比寿フェリーニ大会。今回で4回目くらいの鑑賞だが、冒頭とラストが、「声が聴こえない」点で共通しており、特に冒頭はキリスト、ラストは「天使」なわけで、ヨーロッパ人が抱く「神の沈黙」の不安みたいなことを>>続きを読む

剣の舞 我が心の旋律(2019年製作の映画)

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こんなに面白いネタを、よくぞここまでつまらなくできたといいたくなるほどひどい映画。肝心の「剣の舞」は、チラリとしか出てこず、「バラの娘」は全曲見せるアンバランス。クライマックスからラストも、素人の脚本>>続きを読む