富樫鉄火

ハーミド〜カシミールの少年の富樫鉄火のレビュー・感想・評価

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#34 イスラーム映画祭9
カシミール地方を舞台にした、少年の成長物語。
基本形は『君たちはどう生きるか』とおなじで、親の失踪(死)をいかに受け入れ、乗り越えていくかが主軸だが、そこにアッラーや、インド支配などの問題がからんでいるところが、通常の映画とは、まったくちがう。
少年役もうまく、風景も美しく、とてもよい映画だった。
ただ、パンフ解説によれば、この映画は完全なインド視点で、かなりデタラメな描写に満ち溢れているそうで、だとすれば、いったい、何を見せられたのか、いささか複雑な気分になった。
(そういう解説を堂々と載せる主催者も、すごい)
映画とは、あくまで娯楽で、仮に史実を題材にしていても、必ず作り話的な部分はあるわけで(特に本作は「寓話」的だし)、そこをこまかく言い出したら、なにも楽しめなくなってしまうと思うのだが、どうも、その度合いが、この映画はかなりのものらしいのだ。
よって、当初は★4~5を付けたかったのだが、あの解説を読んだあとでは少々興醒めなので、あえて無印にする。
富樫鉄火

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