ロッツォ國友

シン・仮面ライダーのロッツォ國友のレビュー・感想・評価

シン・仮面ライダー(2023年製作の映画)
3.3
「バイクは孤独を楽しめる。だから好きだ。」


食欲のない池松壮亮を眺める映画!!!!!


庵野監督すげーっすね、バンバン出すじゃないの。
あの感じ、次回もやるつもりなのかね。興行がどんな結果になるのか楽しみだ。


全体でいうと、まぁまぁ楽しめたけど温度は低め…ですかね。
改めて難しい題材だなと思う。
というか、庵野氏の選ぶものが全部珍味だからな。誰も上がってこない土俵に居るよね。


あたいのライダーリテラシーについて書きますと、昭和ライダーは未見で、藤岡弘様の勇姿は見たことがないです。
平成&令和ライダーについては一応全網羅してて、トップ3を出すならクウガ、555、フォーゼって感じですね。

本数は観てるけど特撮ヲタって程の熱量はないので、ほどほどの距離感でございます。



さて、まず語りたいのは映画トータルとしてのデザイン!!
百点満点でした!!

ライダースーツは若干のチープさを感じなくもないけど、アレは初代リスペクトとして理解できるし、モノ作りとしての稚拙さは感じなかった。重厚感がちゃんとある。


素肌の首が出てて襟足が漏れてるのは…元々そうだったのか不明なんだけど、めちゃくちゃ好きなデザインだったな。
違う生き物になるんじゃなく、あくまで強大な力の象徴を着込む意味合いのものであることが強調されてる。


アンチ人間らしさと人間らしさを絶妙に混ぜ込んだ結果として、昆虫デザインヘルメット・襟足・マフラーという組み合わせになるのだろう。
カッコよかった。

仮面ライダー1号の昆虫デザインヘルメットのアゴ部分がちょっとだけシャクレてて、バイク乗りながらのナナメ下からのアングルが最高に色気あって好きだったな。
ウルトラマンの時も思ったけど、本来のデザインを上書きするのではなく、あくまでリスペクトとしてリファインするセンスは随一のものだ。

「ああ、仮面ライダーの顔ってカッコいいんだな」と納得させるデザインセンス。
見事ですよ。



敵幹部のデザインも超いいなぁーー役者がどハマりしててもはや驚愕した。
サソリもハチもチョウも、変身の前後もアジトのデザインも天才としか言いようがなかった。
マジで安っぽさがない。超いい。

演技もバッチリだったな。
存在感あるし、キャラ付けも丁度いいし。


ハチがマジで好き……衣装完璧じゃないすか???
西野七瀬の顔が可愛いってのもあるけど、着させられてる感がないし喋り方もハマってて超良かった。
初めて演技見たけど、すごくいい感じだね。もっと役者やって欲しいね。好きになった。

デザイン面では本当に言うことないですよ。
むちゃくちゃ良かった。


ロケーション選びや画面作りも実に素晴らしかった。
エヴァっぽさはやはり感じる。いや、作家性というべきだろうか。

画面全体を使って躍動的に静のモチーフを際立たせるのが上手い。
トリッキーなショットを挟みつつも、無機質でシンメトリーな画面を多用することで独特な雰囲気を表現することに成功している。

コテコテではない、されども日本でしか撮れない空気感が見事に表現されていると思う。
これぞ、特撮じゃないですか。
最高の雰囲気ですよ。



キャラクター設定も良かったな。
ライダー2号がマジで好き。元がどんな存在感だったのか知らないのであの性格や喋り方はどう異なるのか全然わかってないんだけど、これまたやらされ感がなく、キャラクターとして魅力的な存在感になっていた。
変身ポーズもバッチリ。
みんな2号が好きになるんじゃないかしら。

あと、ヒゲ二人も渋くて良かったな。
これまた原作に居たのか居ないのか全然分からんが、演技も立ち居振る舞いもキャラ設定に対して最適と言える。
味方側の単なるチョイ役ではなく、力ある組織から来ている底の知れない協力者という立ち位置が良く示されており、これまたテキトーさを感じなかった。上手い。



んだけどもぉ。
主人公二人…池松壮亮と浜辺美波は、元々この作品には合わないんじゃないかと思ってたけど、やっぱり合ってなかった気がする。
特別ヘタとかそういうのは無いし、たぶん設定で言ってもこのチョイスが最適なのかもしれないけど……好きになれなかった。

ピンとこないよ。
池松壮亮に"本郷猛"感はないんじゃないかと。
何か熱い、血の気というよりは義憤みたいなものを秘めた、もうちょっとマッスルのある男であってほしかった。

これは池松壮亮が…というよりは、キャスティングを含めたキャラ設定そのものがなんだかしっくり来てない気持ちがある。

分かんない、こんなキャラクターだったのかな。
仮面ライダーだ!って感じは、池松壮亮からは感じられなかった。


浜辺美波の方も合ってる感じはしないが…でも他に合う人が居るのか?と言われると困るくらいな存在感。
最適なのかもしれないけど、腑に落ちない。
他のキャラクター以上にアニメ的な描かれ方だったけれどもそれがハマっていない。
演技の技術の問題なのか彼女が担当するセリフ自体の問題なのか、どうも合ってない感じが拭えなかった。わからぬ。



あと、アクションシーンもあまり好きになれなかったなぁ。
アギトくらいから顕著なグロ描写の回避規制が無いので、出血描写が多く登場するのは良いが、あまりそれが生かされている感じはなかった。


個人的に一番楽しみにしていた肉弾戦もあまりなく、あったとしてもドアップ&手ブレ演出で何をしているのか殆ど分からない。
これまた原作リスペクトな味付けなのかもしれないけど、シンプルに見辛いでしょ。
普通に観たかった。

ウルトラマンの時のソフビ人形クルクル演出同様、今回も現実離れした珍妙な派手CGアクションが幾つもあるが、これまたあまりハマれなかったかな。
純粋に、かっこいいって思えなかった。


だから結局、素晴らしいデザインのスーツがたくさん出てきてそれは最高なんだけど、アクションシーンがイマイチなのでなんかモヤモヤする作品になっている。



うーーーーーーーーん
想定を大きく超えて、ビジュアル面でかなり楽しめたんだけど、
想定を遥かに下回って、主演二人と面白くないアクションシーンが足を引っ張っている印象。

特撮ジャンルの中では一番馴染んでいるつもりの仮面ライダーが、一番イマイチだった。

Twitterで見かける感想を見る限り結構好評だった気がしたんだけど、あまり良いと思えなかったかな。
よく分からん。

ごっつぁんでした。
ロッツォ國友

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