ロッツォ國友

レザボア・ドッグス デジタルリマスター版のロッツォ國友のレビュー・感想・評価

4.0
タランティーノ様珠玉の会話(と暴言と犯罪)劇!!!!!!

パルプフィクションに続いてのリバイバル上映、本当に最高っすね…!!!!

もっとやって欲しい!
支援金を払えるなら払いたい!!


まーーよく知らないけどタランティーノ様って、レンタルビデオ屋であらゆる映画を観まくった末に繰り出す渾身の変化球を投げまくる変人なわけでしょう。
それが今や映画ファン必見作品をたくさん撮った映画界の重鎮みたいに扱われてるのは…おそらく彼自身も狙ったところではなかったのではないかと。

パルプフィクションを観た時も思ったことだけど、彼の作品に「映画史に残る大名作」というノリで挑むのは間違ってると思うし、なんか失礼な感じがするんだよね。

たふん"ミシュランも唸る老舗の名店が作るナイスなディナー"じゃないんすよ。
"なんか知らんけど意図せず数十年続いちゃってるヘンな店で出てきたワケ分からんジャンクフード"なんすよ。
で、それがなんかずっと心に残っちゃう味と香りで忘れられない…
そういうのがタランティーノ作品の魅力なんじゃないかと。

よく分かんないけど忘れられない、変な変化球。
で、今回はレザボア・ドッグスってわけっす。



強盗犯の内輪だけの話なのに強盗シーンが1秒もないのがもう面白え。
しかし彼らが危険な犯罪者であることにも強い納得感がある。
演出の妙だよね。

全体を通してむちゃくちゃ喋るが大半はムダ話で、しかしどれも「聞き応え」がありタイクツしない。

"セリフ"というよりは"喋ってる"感が大変心地良い。
流れるような汚い言葉遣いと名優の存在感ある表情がずっと観てられますね。
本当に楽しい作品だ。


時系列にフォーカスするのではなく"人物の事情"にフォーカスする撮り方もさすがといったところ。
本丸のストーリーは倉庫の中で進行させつつ、回想という形で過去のエピソードが断片的に挿入されている。

一人一人のエピソードはそれほど深く振り下げられないものの、過去や現在の会話やポジショニングからキャラクター像が少しずつ理解でき、全員ほぼ同じ格好なのに混乱混同はしない描き分けは見事なものですよね。

次の瞬間には何をしでかすかわからない人物達の、どこへ転ぶかわからない緊張感と狂気の会話劇が超楽しい!


ラジオ聴きながらのサイコ拷問シーンもイイね。

周りの評価はともかく、やっぱぶっちぎりのサイコ野郎だよな。
明るい音楽をかけて拷問…というと、個人的にはずっと後のデビッド・フィンチャー作品「ドラゴン・タトゥーの女」を思い出すところだけど、同じくらいの狂気でいつつここまで軽薄に描けるんですなぁ。。


そういやパルプ・フィクションでも、ギャングのナイスなダンスを長回しで見せてたね。
観客みんなでフルクスリーンのギャングダンスを鑑賞するこの光景そのものが、ひとつシュールなギャグになっていておもろい。


パルプ・フィクションに絡めていうなら、血まみれカーの片付けを担当したウルフと同じ人ですねホワイトは。
今作時点でもスーツ姿がめちゃくちゃサマになっててイイ。

この後もギャング役多いんじゃないかい?
ハマり役だったなぁ。


あと、汚いなりにも割と平易で分かりやすい言葉遣いだったのか けっこう聞き取れるワードが多くあり、字幕との対比がなかなか面白かったな。

セリフ上「J.P.モルガン」と発音していたところは「億万長者」と訳されていたし、恐らく「Rat」と発音していたところは「イヌ」と訳されており、もちろん誤訳とかではなく大衆向けの意訳として受け取れるが、言葉の当て方の差異が感じ取れて面白い。

個人的には終盤の、裏切り者を指す「イヌ」のことを「Bad Guy」と発音するセンスが超好きだった。
実際は刑事以外の全員がBad Guysなんだけど、彼らの世界でいうとみんなをハメた刑事こそが唯一のBad Guyなんだよね。

善悪のひっくり返った群像劇で起こすどんでん返しが最高にクールだったよ。


文字色がずっと"オレンジ"なのも…なんかいいですね。
彼はずっと腹から赤い血を流してたけどもね。

タイトルコールから、既に彼らは"レッドゾーン手前"だったってわけよ。



いやーおもろかった!!
ずっと綱渡りだから、実社会以上に"信用"が全てな世界観だってのをエッジの効いたエンターテイメントに仕立て上げていて見事。

役者選びが最高にシビれる…!!
これもBlu-ray買おう。

あと、やっぱりよく分かんない立ち位置のキャラクターに監督本人出演してるのも笑えてよかった。
なんやその死に方。

大満足。
ごっつぁんでしたぁーーー
ロッツォ國友

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