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雨にぬれた舗道のGyGのレビュー・感想・評価

雨にぬれた舗道(1969年製作の映画)
4.0
何の予備知識も持たないまま鑑賞しました。

手の込んだ心理劇であることはすぐに分かりましたが、それは一側面にしか過ぎませんでした。
最後まで観れば、これは単なる”心理劇”ではない、もっと別のくくり方があることが明確になります。

しかし、そこに触れるとネタバレしそうなので、技術や手法面に限定してレビューします。

師匠のヒッチコックは実写的ですが、アルトマンは実写よりも背景をエンチャントした表現を好むようです。
例えば、ブロックガラスに映る歪んだ顔、外景の非常階段、内景の壁、廊下、壁、家具の窪みや陰影を効果的に撮り、独自の世界を醸し出している点。
注意深く観てても何を言おうとしているのか中々見当がつかない点。
部屋数も区画構造も判然としないから恐怖感がふくらむ点などなど。

いろんな要素が凝縮された密度の高い映画でした。

余談
オーラスの後、フランセスと青年には更にタイブレークが残されている?
そう考えるのも一興かと思います。
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