アむーレ

ラスト・クリスマスのアむーレのレビュー・感想・評価

ラスト・クリスマス(1978年製作の映画)
4.0
本当は2019年の同名作品を録画したつもりだったんだけどね、録画されてたのはこちらの古~いイタリア映画のほうでした。

いや、しかし観てみて良かった。
イタリア映画ってなんでどれもこんなに心に沁みる映画が多いのだろうか、音楽も優しいしとても温かい雰囲気の映画。

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血液抗体欠落症という病気を持って生まれたトミーは、いかなる細菌やウイルスにも無抵抗であり軽い感染によっても死ぬ危険があるため、生まれながらにして8年間病院の無菌室で育ってきた。
トミーを生んで以来、夫婦仲がうまく行かなくなりついに離婚を決意した両親だったが、それを察したトミーは両親の仲を取り持つためにクリスマスの日に驚きの行動に出るのであった。
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『ラストクリスマス』…本当に最後のクリスマスだった。
自分の死を覚悟の上で、生まれて初めて外の世界へ出て思い切り自然の空気を吸うトミー。そして父親と母親が仲良く手を取り合って生きて欲しい一心で大騒ぎ覚悟で2人が待つ田舎の家へ行くトミー。
短い人生となってしまったけど無菌室でずっと過ごしてきたトミーにとってこのタイミングで両親のために最後のクリスマスを過ごすことはとても価値のあることだったのだろうね。

親友ラリーの存在もこの物語には重要に鍵になってくるのだけれど、ラリーがサンタクロースに街で出会ったときにトミーのために助けを求め、空を緑色にして欲しいって言ったことも、芝生に寝転んだトミーの視界には空が木の葉で青々と輝いていたはずで、洒落のきいた伏線もしっかりと回収されている。

ストーリーとしては極シンプルで分かりにくい部分全くないのだけれど、ラストシーンではトミーが両親に伝えたかった思いがはっきりと表現されていて心をグッと掴まれた気分になった。涙なしでは見れなかった。

ラリー、お前はホント良いヤツだな。
トミーを思って自分からは脱走させることはしなかったけど、トミーの本気度をこの目で見てそれを悟ったラリーは最後の最後まで親友を見守った心の熱い男。
そして途中2人を見つけた警察官も署に補導するんじゃなくて、全てを把握した大人として両親の待つ家に送り届けるという温かさを感じたシーンだった。

闘病物かと思わせといて病気のことはそこまで関係なく、病気によってそう生活せざるをえない檻の中のような心理的に苦しい環境の中で、両親を想うトミー、トミーを想う両親、そしてトミーを想う親友ラリーという、家族愛と友情を描いた感動的なドラマ映画でした。

フィルマークスさんよ、ちゃんと観てないでしょこの作品?…この映画はホラーではない。訂正してくれよ…
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