アむーレ

スパイダーマン2のアむーレのレビュー・感想・評価

スパイダーマン2(2004年製作の映画)
4.0
サム・ライミ監督スパイダーマン三部作シリーズの第2弾。
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前作の2年後、高校を卒業しピーターは大学へ、親友のハリーは親父の会社を継いで、ヒロインMJは役者への道を歩み始めていた。

今回のトラブルの元はハリーの会社がスポンサーとなり、その援助を受けた研究者が核融合の技術を使いエネルギー革命を起こそうとするが、その発表の場で思いもよらぬ大惨事となる。
この核融合を安全にコントロールするために全身の神経に針をさし、自らの意思が、接続された機械の手足を自由に動かし間接操作できるようにするために作った装置の安全装置が吹っ飛び、人工知能に体が支配されてしまう悪夢付き。

再びパニックとなるニューヨークだったが、ヒーローとして生きる価値観に迷いが生じはじめていたスパイダーマンは姿を消す。
そんなスパイダーマンと、親父の仇を打つためにスパイダーマンを探すハリー、暴れまわるドクター・オクトパス…三者の心が絡み合い、物語は深まっていくのだった。
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前作よりストーリーがさらに面白くなってた!

ヒロインMJとの恋を取るか、MJを危険に晒さないためにMJへの恋心と決別しヒーローとして生きる道を取るかの選択に悩んだスパイダーマンは徐々にその特殊能力を発揮できなくなっていって、一度は世界から姿を消してしまう。
力を発揮するためにはスパイダーマン自身の主体性・意思が絶対条件であるということが新たに分かったし、フィロソフィーがなければ力は発揮されない、ある意味スパイダーマンとはアスリートなのかもしれない。

この悩めるスパイダーマンの心を吹っ切れさせてくれるメイおばさんの引っ越しを手伝うシーン。ここで語られるメイおばさんの言葉がこの作品の重要な見所だと思うし、良いなぁと思ったシーンのひとつ。
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「ヘンリーのような子にはヒーローが必要なの。勇敢で自分を犠牲にしてまで、皆の手本になる人。誰だってヒーローを愛してる。その姿を見たがり、応援し、名前を呼び、何年もたったあとで、みんな語り継ぐでしょう。苦しくてもあきらめちゃいけないと教えてくれたヒーローがいたことを。誰の心の中にもヒーローがいるから正直に生きられる、強くなれるし、気高くもなれ、そして最期には誇りを抱いて死ねる。でもそのためには常に他人のことを考え一番欲しいものをあきらめなくちゃならないこともある。自分の夢さえも。ヘンリーはその気持ちを教わったからスパイダーマンの行方を聞くの。彼には必要だから。」
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スパイダーマン自身が身をもって教えたヒーロー哲学をスパイダーマンに憧れるヘンリーという子供と身近なメイおばさんに改めて気づかされる。

揺れるヒーローの心がこのシーンをきっかけに太く強い決心により問題解決へ一気に進んでいく。
ピーターが改めてスパイダーマンとして生きる道を選んだことによりMJと一緒にいることを改めて諦めた、頼もしさと切なさの両面が感じられるきっかけとなるシーンであり、この作品のテーマの一つであるスパイダーマンの「揺れる心」を見事に表現したこのヒーロー哲学のシーンはアッパレである。

ドクター・オクトパスと戦うラストシーン…ドクター自身が語った「知性とは人類のために使う授かり物だ」という言葉や、スパイダーマンがメイおばさんから教えられた「正しい行いをするには常に他人のことを考え、時には自分の夢でさえも諦めなきゃならない」という言葉がキーとなり、ドクター・オクトパスはAIから体を支配されることに抵抗し、自分が犠牲となってピンチを救うことになる。
ここでも悪役となったドクター・オクトパスの「揺れる心」を描いていて、今作では改めて名言が多く、その哲学が事態を好転させていく感動的な仕上がりになっていて、観ているこちらも心を動かされたり共感したり、なにか心に刺さるメッセージ性の高い作品になっていると感じました。

電車のシーンで一般人に顔見られてしまったときのシーンも感動的だったな。
メイおばさんの言葉から改めて気づかされたヒーロー哲学、それによって行動したスパイダーマンの姿が人々の心を打ち、「誰にも言わない」と一般人もスパイダーマンの心に寄り添うシーンは感動的だった。

ラストのMJの決断のシーンも然り。
彼女も彼女なりにスパイダーマン=ピーターの心を理解した上で危険を省みず決断したシーンはこれもまた「揺れる心」を表現している。
揺れるスパイダーマンの心が強く太く変化したことで、周囲の心・生きる力も共鳴するように強く太くなっていく、これぞヒーローだなって感じた!

前作の終わりも思ったけど、次回作への繋げ方の演出もこの監督ホント巧いね!
ハリーとピーターの親友関係、親父を殺したスパイダーマンという人間関係に死んだはずの親父が語りかけ、悪の意思を焚き付けて終わる。
絶対これ次回、泥沼やーん!って気になる終わり方。こりゃ観たくなるわ。

ストーリー素晴らしすぎのサム・ライミシリーズ第2弾でした。
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