ロッツォ國友

戦場のメリークリスマスのロッツォ國友のレビュー・感想・評価

戦場のメリークリスマス(1983年製作の映画)
3.0
「花と饅頭を食ったが…
 花の方が美味かったぜ」


龍一ちゃんのご逝去に合わせてリバイバル上映されてたので急いで仕事を終わらせ(た事にし)て観に行きました!!!!!
追悼企画で"リバイバル"上映なんて、粋じゃねえかよ。
ご冥福をお祈りするぜ。

自分が産まれる前の名作をシアターで観られて、本当に喜ばしい限りでござる。
ドンドンやって欲しいなぁ。



有名な作品とは言え何も知らん状態で観たので、北野武が出てるのにもデヴィッド・ボウイが出てるのにもめちゃくちゃ驚いちまった。
一体なんだこのキャスティングは……w

てか、こんな話なんやね…何も知らなかったわ。



本作で最も有名なのはやはり龍一ちゃんのメインテーマでしょうな。
どの曲も先鋭的で印象には残るが、やはりメインテーマが何より素晴らしい。
いつまでも耳に残るね。
今も鳴り止まぬ。

この一曲のゴリ押しだけで本作は一見の価値アリと言えるだろう。
それくらいにメインテーマの存在感は只者ではなかった。

やはり、映画に音楽は欠かせないですね。
納得の名曲でござんすよ。



さて、個人的に本作で最も気に入ったのは、絵的なデザイン性の高さと役者の存在感の二つ、でしょうか。


まず色遣いに関して言うと、カラー映像の発色もそれほどいい時代ではなかっただろうに、或いは、だからこそなのか、色遣いがとても美しいと感じた。

ジャワ島の生い茂った緑、海の薄水色、軍服の淡い緑や鮮やかな赤、瞳の黒い光、そして俘虜の金の髪色。
4Kリマスターで観たからまぁ調整した結果ではあると思うんだけど、衣装と背景の色遣いが非常に気に入った。
とても絵になるね。


そして役者の存在感も、本作の大きな魅力と言えるだろう。

今よりずっと若くて幼い北野武がもはや新鮮だね。暴力演技がうま過ぎてちょっと笑っちまった。
イカれた暴力男にちゃんと見えるよ。

デヴィッドボウイの圧倒的存在感も忘れられない。何しててもサマになるよね。
軍服に巻いたスカーフが本当にかっこいい。

んだけど、なんで彼は映画に出てるんだ……????


ってのは置いといて、何よりやはり坂本龍一本人の出演には度肝を抜かれてしまった。

「坂本龍一の戦場のメリークリスマス」なんてよく言われるけど、作曲担当してるだけだと思ってたらゴリゴリに出演してたなんて!!!!!

"ヨノイパイセンのオーラすごいな、後で役者名を調べよう"とか思ってたら坂本龍一本人だったなんて…!!!

彼の顔、あまりにも美し過ぎませんか?

彼の顔立ちに、表情に、顔つきに、ものすごく惹きつけられた。

褒め言葉には微妙かもしれないが、軍服姿が誰よりも似合っていて実に美しい。
映画に出てること自体にひっくり返るほどビックリしたんだが、それ以上に彼のとてつもないオーラに圧倒されてしまった。

画面に彼が現れるだけで、空気が変わる。
凄い。
なんなんだよ、龍一ちゃん。
一体何者なんだ。

趣味でシンセサイザーいじってる変なおじさんとしか思ってなかったが、あのオーラはなんなんだ。

実はとんでもない役者だったのかな。
他の主演作を何も知らんが、彼の存在感だけで本作が成り立っていると確信させられるほどのパワーがあった。

圧倒。本当にびっくりした。
もはや怖い。




と、いう感じで褒めてはみたものの……
肝心の映画そのものは、普通に意味不明でした😆😆😆

全然ついていけないというか、面白い面白くない以前に各シーンで何を言いたいのかよく分からなかった。


演技もセリフも演出も「昔の映画だから…」とかではとてもとても説明しようがないほどに雑でぶっきらぼうな印象を受けた。

9割のシーンで、各キャラクターがどういう感情で何を考えてるのか、微塵も分からなかった。

これなに?誰がわかるのこれ?
何か原作があって、読んでて当たり前みたいなことなの?


なんとなーーくメインキャラのゲイの何かを描いていそうな雰囲気に思えたけど確信を持てる描写に乏しいし、ハラとロレンスの不思議な友情を描いていそうな雰囲気にも思えたけどその割には容赦なく殴りまくってるし……主題はなんなんだ?

なんかさ、各シーンから読み取れる情報に対して、それと相反したり全く関係ない描写が多くて結局何が言いたいのか分からないんだよね。


唯一なんとなく、強権的な集団論理が人の心や行動を毒し、時にそれは耐え難い暴力として発露する……的なことを言いたいような、そんな感じに見えなくもなかった。
一人一人は狂っていないのに、『軍』とか『国家』とか『学校』とか、一定の論理に従って作り出されたコミュニティが人を変えてしまうような、そういう理不尽のあり方を説いているような…いないような……

よく分かんないっすよ。高度過ぎますよ。


バカにするわけじゃないんだけど、YouTubeもネットもさして発達してない、すなわち大衆における映画リテラシーがそれほど高くなかった1983年の作品なわけでしょ?
当時の人、この作品観て面白いと思ってたのか??

一部の無限に賢い、いわゆる教養を極めた人には届いたのかもしれないけど…これは難解過ぎるのではないかね。
意味不明でした。普通に。


演技や演出がしっかりしてたらわかりそうなシーンもひたすらぶっきらぼうだし、音楽も上述した通りずっと先鋭ミュージックなので、ノイズばかりが多くて全然情報が読み取れなかった。

普通にさ、映画の技術としてはレベル低い部類じゃない??
うまくないよね?


音楽でゴリ押しされて興行収入が良かっただけなのではないのか。
音楽でも役者でも龍一ちゃんがズバ抜けて素晴らしかったので、これは単に龍一ちゃん劇場を楽しむ作品だったのかも。
デヴィッドと武の濃いめのスパイスを添えてさ。



そんな感じでござんした。
ハナシはよく分からなかったけど、坂本龍一の内側も外側もとてつもなく美しいということだけは否応なく確信できる、そんな作品だったかなと。

映像のパワーでずっと観てられたので、意味不明な割には結構楽しめましたと思います。
こんな難解だったなんて…大衆向け作品では全然ないのね。

とりあえず、これからあらすじを調べます。。。

ごっつぁんでした。
ロッツォ國友

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