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草原の追跡のasayowaiのレビュー・感想・評価

草原の追跡(1952年製作の映画)
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 ジャック・ターナーによる異色の西部劇。まったく西部ではないし、ジャンル映画としても「西部劇」といえるかどうか怪しいけど。
 草原のカウボーイ、ガウチョが主人公で美しいアルゼンチンの草原や山々をバックに彼らの生き様を描く、といった趣向の映画。ちなみにガウチョってのは最近流行ってるガウチョパンツのガウチョね。今ではもう見られない職業らしいが彼らの生き様がノスタルジーと憧憬を持って語られるところから日本の侍のような位置づけなのだろう。
 んでなんで異色かって映画冒頭でわざわざアルゼンチン政府に謝辞いれてることからも明らかなように現地までロケいってるのね。ヒロイン役ジーン・ティアニーも行ったんだろうけどびっくりだよね。ロケが難航したのか、あるいはジャック・ターナーのB級映画魂が炸裂したのか早撮りしたっぽい作りになってる。例えば冒頭の主人公ロリー・カルホーンが決闘中のアクシデントで相手殺しちゃうんだけど、すごいあっさりしてるんだよね。あれこれ死んでるの?みたいな。プロットに必要な最低限の会話でばんばん場面転換していくし。いわゆる「アメリカの夜」のシーンで影使った演出しちゃうし。ストイックの男の生き様映画かと思ったらあっさりメロドラマ展開になるし。
 ジャック・ターナーって再評価の都合上、成功作しか知られてないだけでかなり当たり外れの大きい監督なんじゃないだろうか。ネットでざっとレビュー洗っても無理にこの映画を評価しようとしてるひと見かけるけど甘めにみても野心的な失敗作でしょう。
画質が良ければもう少し見れたかな。
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