asayowai

アクアマンのasayowaiのレビュー・感想・評価

アクアマン(2018年製作の映画)
-
クリプトンやパラダイス島とかこれまでのDCユニバースでも異世界は出てきたけど、異世界をメインの舞台として描けるのは本作がはじめてだからなのか、VFXの力のいれようがすごかった。

近未来的な海中都市の世界観はスペクタクル要素満載だったし、クリーチャーたちも多種多様で視覚だけで存分に楽しめるようになっていた。地味なところにもCG処理が施されていて芸が細かい。例えば父親と母親の出会いから二人が灯台で結ばれる場面転換。部屋にあった置物のスノードームにカメラがよっていきついにはその中へと軽やかに侵入していく。すると場面は二人が夕暮れの日差しを浴びながらキスを交わす場面へと転換している。シームレスに場面をつなぐことで無駄な説明カットを省いてテンポアップできているように感じる。

個々のキャラクターの心理描写が薄く、アーサー(ジェイソン・モモア)の母を失ったことへの罪悪感みたいなのはとってつけたような葛藤に見えてしまったが、それでもジェイソン・モモアの存在感は抜群で、あの長身とバルクの前にはCGも霞んでみえる。この手の映画では演技力よりもCGに当たり負けしない身体感で役者を選んだほうがいい(彼に演技力がないってわけじゃないが)。

トライデントを探す旅の展開もなかなかいい。古典的なアクションアドベンチャーかと思いきや、世間知らずの王女様に庶民の暮らしを教えてあげる『ローマの休日』っぽいロマンスをさりげなく混ぜてくるし、ご当地名産のシチリアワインを能力に利用する遊び心も楽しい。

エンタメ映画としては申し分ないけど、映画の方向性としてマーベルとほとんど違いがないのは少し残念。陽キャのマーベル、陰キャのDCで成功を模索し続けてほしかった気もする。個人的にヒーローものは食傷気味なので多少なりとも味つけでアクセントをつけてもらいたい。
asayowai

asayowai