ロッツォ國友

パルプ・フィクションのロッツォ國友のレビュー・感想・評価

パルプ・フィクション(1994年製作の映画)
4.0
ずっと散らかってるのにおもろい!!!!


タランティーノのふしぎなチンピラハチャメチャ群像劇。
時系列を乱して表現している為、全部を捉え切った感じはしないが、多分、物語そのものの深さとかがウリな作品ではないんだろうなと思ったので、観たまんまの感想だけ。

いやーーリバイバル上映ありがてえっす。
どんどんやってほしいす。



あんまりテーマ的なところはよく分からない…感じだったのでそんなに書くことはないんだけど、全体としては時系列をシャッフルしてのチンピラ達の群像劇を楽しむ作品なんでしょうな。

登場人物全員が、想定外のトラブルに次から次へと見舞われ掻き乱され、その都度命の危険に晒されている。
とことんツイてない。
ツイてる!神に愛されてる!って言い張ってる奴もいたけど、トータルで見るとあんまりツイてない。

どれもこれもが微妙な誤算やツメの甘さから引き起されているトラブルなのだが、いちいち危険度が高いのでヒヤヒヤさせられる。
それをなんとか応急処置しているうちに次の困難がやってくるようなトラブル自転車操業状態。



それぞれのツイでない出来事に適度な謎要素と緊張感を持たせながら、思わず笑ってしまうようなコミカルさも挟まれていて非常に見応えがある。

ただタランティーノ特有というべきか、いちいち長ーーーーーい会話シーンを楽しめるかどうか?が作品の好き嫌いを大きく左右しそうではある。

基本的にあたくしはどれも楽しめてて、間延びしてるはずなのに鑑賞快適度としては常に高く、見飽きることはなかった。
会話もなんか機知的で面白いんだよね。表情含めて居心地の良い会話シーンばかりだ。



ストーリーについても、物語というよりはただ出来事が連なってるだけで、それが交差することもちょいちょいはあるけどホントに交差してるだけ。
何か壮大な仕掛けがあるとか、後々につながる重大な伏線があるとかってほどのものではない。
なんとも不思議な作品だな。


一個一個の出来事が面白くて観てられるのと、あとはキャラクターがどれも魅力的で目が離せない点もあり、見所は沢山ある印象。
個人的にはジュールスとMr.ウルフが好きだなぁw


例のレストランでの朝食シーンもマジで印象的だったな。
どこに着地するのか全く分からないあのライブ感に痺れる。
ヒリヒリするセリフの応酬も味わい深い。誰がどのタイミングで引き金を引くのか、それとも引かないのか、全然分からなかった。

軽はずみで殺人をやるようや人々の人生が、危険地帯で交差していく独特の緊張感がイイんでしょうね。のっぺりしたテンポではありつつも、数秒先には誰かが死んでいるかもしれないから目が離せないのだろう。

何が起こるか分からないというか、予想させまいとする天真爛漫な設計なのかな。



あと、主題と関係ないけど、個人的にはご飯のシーンと運転のシーンが印象的だった。

こういうギャングとか出てくる映画って、映像的にはご飯も運転も必ずと言っていいほど出てくるけど、結構蔑ろというか、皿にあるものはガッツリは食べないし、運転も会話メインなのでよそ見しがちじゃない?

そういうの、結構気になるのよわたし。
(「ジュラシックパーク」で、元凶ジジイが腹ペコとか言ってたのに専門家にディスられ過ぎてヘソを曲げ、一口も食わずに退席したのを未だに根に持っている)

本作ではご飯はご飯、運転は運転でちゃんとやってた感じがなんか印象に残ったw
ちゃんと食べてるし、よそ見をし過ぎない程度にちゃんと前を見て運転してる。

つまり、いずれも会話シーンの為の演技じゃなく、この人たちは本当に必要に応じて食べたり運転したり…つまりはリアルにこの世界を生きている事が信じられる演出になっている。

あまり本質的じゃない部分かもしれないけど、食事にも運転にもリアリティがあるからこそ、命のやり取りに通じかねないトラブルシーンの緊張感がより増すのではないかな。

観終わった後、すっごい運転したくなったしすっごいパンケーキ食べたくなったんだよね。
デニーズ行きました。
美味しかったです。



クセたっぷりの会話シーンと共に、チンピラ達の命懸けのトラブルを楽しむ作品……としか受け取れなかったので解説も何もないのだが、その理解度の割にはむちゃくちゃ面白かった。
3時間は感じなかったなぁーー超満足でしたわ。
また観よう。

ごっつぁんでした!
ロッツォ國友

ロッツォ國友