ロッツォ國友

コカイン・ベアのロッツォ國友のレビュー・感想・評価

コカイン・ベア(2023年製作の映画)
4.2
「出典:ウィキペディア」


めちゃくちゃおもしろかった!!!!!
けど想像の160倍グロくてびっくりしたwwwwwwww

「コカイン・ベア」という刺激性と語呂の良さに優れたワードセンスのタイトルに、メインディッシュが丸見えなバリアフリーフライヤーが合わさっており、全く知らなかったけど道端で見かけて即鑑賞を決めた!!!
最高の出会い方したよ!

やっぱさぁ、クチコミだのSNSだのくだらねえツールじゃなく、たまたま劇場を見かけたとかの「出会い」で観る映画を決められるのが一番幸福だと思うし、それが本来の姿なんじゃないかと思いますよ。



とにもかくにもコカイン根性…いや、見世物根性全開のバカムービーです!!!!!

たのしい!!!!!!!

冒頭のWikipediaの引用から、もうサイコーの一言。
"強いクマ相手の時こそ 立ち向かった方が追い払える……なんて説はこの作品の中では通用しないよ"、という皮肉も込めつつ、"Wikipediaごときを平気で引用する軽薄な作品だから間に受けず気軽に楽しんでね!"というメッセージにもなっており、最初から観客に最適な鑑賞スタンスを促しているわけだ。
うますぎっしょ。

俺ずっとずーーーっと言い続けてるけど、やっぱりさぁ、おバカ映画はバカには作れないんだよね。
気軽に笑える作品作りには、即座に人に伝わるモノ作りとしての"賢さ"が絶対に必要だから。
バカにも届かせる知性が不可欠だから。



まぁまず脚本が天才的と言っていいでしょうね。
群像劇にあたるだろうか。

あんなに沢山の異なるキャラを出してアクションを同時進行させ、さらに順序&テンポよく大活躍(そして血祭りに)させる構成力は尋常ではない。
若干コカ…いや、テンポが気になるところもあるが、極めて良質な構成だったと思う。


また全員キャラが立ってて活きがイイよねえ。
思いっきり死んでもらう為には、まずイキイキと生きてもらわないとダメなんですよね!

個人的にはやはりチンピラコンビが好きだな。
失恋トーク全部爆笑した。急に泣き出したり叫んだりして、弱ってる時特有の情緒不安定さが実に面白く表現されていた。
そのメンタルでよくチンピラが務まるなw


あとはやっぱりセリフの掛け合いがめちゃくちゃ面白いんだよね。
会話シーンとしては長い部類だけど、絶妙なところで切り上げて別チームのキャラに焦点が当たる為、間延びした感じはあまりない。

ナンセンスギャグ優先だから、時には変な雰囲気になるところもあるにはあるが、基本ずっとコカ…いや、ニコニコしていられますね。



で、そんな感じの楽しいギャグメインでホンワカしていくのかと思えば、序盤の終わりに突如始まる暴力描写には一切の妥協がなくてビックリさせられる。
これめちゃくちゃコカ…いや、グロいじゃないかw

長尺で血みどろにしながら、次から次へと凄惨なベアアクションが見られる親切設計で素晴らしいですよ。
やり過ぎだ。

見せ方も超上手いよなぁーー!!
その場面その場面で鑑賞者が思いつく限りの「こんなシチュエーションになったらヤダなぁ」を全部やって魅せてるのがスゴい。

いくらクマっつってもそんなに人を殺しまくらないと思うよ……w

天才的なアイデアをこんなサイテー展開にふんだんに使う謎の思い切りによって本作は成り立っていますね。



「エイリアン・コヴェナント」という作品を観た時に、登場するキャラクターが全員自業自得のバカしかいないので、誰がどんな死に方しようがどうでも良くて、全ての惨殺シーンがとにかく気楽で楽しくて仕方なかった思い出がある。

その点でいうと、本作はキャラ描写もなかなかコカ…いや、技巧的である為、どの人物にもそれなりに感情移入できてしまう。
よって、その分だけ本作での殺害シーンは殺されるとちょっぴり残念な気持ちになる…気がしました。

いや、もちろんそれでいいんだけど、「ほれ見ろバーーーーーーカ😆😆😆😆😆」という気分にまではならなかったですね。
なんかいいキャラ揃いだから、死ぬのはちょっとだけつらかったですw



まぁ何はともあれ、とにかくサイテーな死に方殿堂入りオールタイムベストを突っつきまくるサイテーサイコー演出の数々、本当に楽しかった。
いちいちアイデアが非現実的且つ天才的過ぎて笑っちまうw

あまりにも容赦がないので、おかげで誰が死ぬのか最後まで読めずコカ…いや、ハラハラしちゃったな。
その点では誰が生き残るか見守る面白さは担保されてたのかも。




ストーリー的にも最後までツイスト効きまくっててよく出来てる。
中弛みもなければオチの弱さもない。

全体において見せ場の多い親切設計、且つ暴力描写の豊富さにも関わらず、一つの物語としてもちゃんと落とし所を捉えており、エンタメとしてこれ以上ないほどコカ…いや、誠実で剛健な仕上がりだと思う。


全般に、バイオレンスとユーモアのコカ…いや、バランスの極めて優れた作品でした。
めちゃくちゃ面白かったです。
2回目は…もういらないけどw



さて最後に。
実話について言及すると、マフィアが大量の麻薬を森に落としまくったのは本当。森のクマさんがそのコカ…いや、コカインを食いまくったのもの本当だ。

実際は、75ポンド…つまり約34キロ?ものコカインを摂取したクマがラリっている目撃例が幾つかあり、最終的には中毒で死亡しているのが確認されたそうだ。

ので、コカインをやったクマが人を襲った事例は一切なく、本作における暴力描写は全てが創作だったということになる。
まぁなんか、良かった…のかな…?w


マジマジメな話をすると、これは本来、「麻薬取引」という人間特有のバグみたいなものに巻き込まれて野生動物が命を落とした話であり、動物は一方的に可哀想な目に遭った被害者でしかない。

そんな出来事すら、こうして娯楽映画として凶暴化させられ消費されてるのもなんだか可哀想な気持ちにもなるもんですね。



これ、あまりに過激な味付けだけど、ある意味クマ対策啓蒙にいいかもね。

猟友会とかがクマを殺したニュースでわざわざ役所に苦情の電話を入れるスットボケどもに見せたらいいのよ。


いやぁ、いい映画を観たなぁ。。。
休日の娯楽に本当にちょうどいい。
そしてよく出来てる。
大変コカ…いや、面白かったです。
ごっつぁんでした。
ロッツォ國友

ロッツォ國友