Misa

怪物のMisaのレビュー・感想・評価

怪物(2023年製作の映画)
4.2
もっと陰鬱な気分になっちゃうのかなと思ってたけど、全然そんなことなかった。すごく良かった、ここ最近、映画館で観た映画で1番良かった。

何が良かったって、たぶん、こういうことって大なり小なり日常に転がってて、客観視しないと忘れてしまう感覚なんだけど、それを呼び覚まされたところ。あとは余計なことに不快になるシーンがなかったところ。出演者に文句のつけどころがない。素晴らしかった。

お話としては、一つのある出来事に対して3パターンの時点で追いかけていって、真相を徐々に紐解いていくというものです。3パターン観て、わかったつもりになるのだけど、きっとまだ、捉えきれていないところもあるはずで。例えば、依里くんのお父さん(中村獅童)視点とかね。

現実はこんな映画みたいな観方はできないわけで。だけどいかに想像力を働かせて、できるだけ正しい事実を集めるか、なのだと思います。ま、そう簡単に言っても、それができていれば争いなど起きないはずなのですが。

新宿のプレミアムは「プレミアム」ですねぇ、良いお金の使い方なのだと思います。音響のことは正直よく分からないけど、少なくとも良いことは分かる。坂本龍一プロデュースということで、最も相応しい場所で観ることができたのではないでしょうか。

シンプルで繊細なピアノと合わさるエンディングに、言葉にならない涙が少し、流れました。
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7/9追記
観終わった1週間で、色んな感想や考察を見て、本当に深い作品で、終わった後もじわじわとその良さが沁みてくる作品だなと思っています。

もう一回観たら、また違った観え方をして、違う味わいを持って帰れるんだろうなと。すごい。
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